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[決算分析]ドラクエタクトでS高のAiming 2020年12月期Q1をじっくり見る

どうも、GOEMONです。

今回は先日発表されたAimingの2020年12月期Q1の決算を見ていきます。業績は望ましくないものの、決算発表後にはスクウェア・エニックスと共に絶賛制作中の「ドラゴンクエストタクト」の開発が順調であるとの発言を受けて、翌日にはストップ高まで買われておりました。

多くの方は今後ドラクエタクトがあるから今は割安だろう、との判断で買われていますが、何となく買うのはよろしくないのでしっかりと現状を把握しておきます。

決算概要

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まずは全体の数字から。

・売上高:11億円(前年同期比 -30.2%)
 ・売上原価:4.2億円(前年同期比 -19.3%)
 ・売上総利益:6.9億円(前年同期比 -35.5%)
 ・販管費:8.3億円(前年同期比 -17.3%)
営業利益:-1.5億円
経常利益:-1.5億円
純利益 :-1.5億円

となりました。

売上高が前年同期比で30%減と現存タイトルの売上が年々落ちてきているのがわかります。売上原価は同-19.3%と減っているものの、ゲームの場合はプラットフォーム手数料が売上の30%ほど変動費としてかかりますから、特筆することはありません。

販管費も抑えており、外注費や広告宣伝費を減らしたとのことです。周年イベント以外では現状広告を打ってもそれほど復帰ユーザーを獲得できる見込みはないでしょうから、打倒な判断と言えます。

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業績予想に対しては売上が未達なものの、営業赤字は5,000万円ほど下回りコスト削減は一定の成果が出ています。

資産状況

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赤字が続いているAimingですが、資産状況は新株予約権の行使(割当先:グロービス・キャピタル)により、4.8億円を調達しキャッシュが増加。まだ全ての新株予約権を行使しておらず、総額で約20億円の調達を予定しています。

流動負債のうち、1年内返済予定の長期借入金を1.25億円ほど減らしたことと、未払金1億円ちょっとを返済したことで過去の負債が徐々に精算されてきています。

売上減の要因

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前年同期比-30%と減収となっている売上ですが、こちらのグラフは前期(2019年12月Q4)からの分析グラフ。

現在サービス提供中のタイトルが
・ログレス物語(ストーリーズ):2019年9月18日 リリース
・CARAVAN STORIES PS4版:2019年4月18日 リリース
・CARAVAN STORIES スマホ+PC版:2017年11月28日 リリース
・剣と魔法のログレス いにしえの女神:2013年12月17日リリース
・戦国大河:2018年11月21日 リリース
となっています。

その他、2016年あたりからリリースされていたタイトルは1年ほどでサービス終了を繰り返している状態です。

ログレスはリリースから6年が経過し、微減が続いているのは致し方なし。キャラスト、ログスト、戦国大河は限られた広告予算の中で最低限の売上を確保しているように見受けられます。

KPIの改善等、できることはしつつもやはり既存タイトルを今から大きく伸ばすことは難しいでしょうから、微減または横ばいがしばらくは続くと予想されます。

費用推移

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昨年から進めている人員削減ですが、台湾スタジオ縮小と2020年4月1日付けで大阪スタジオを譲渡。広告費や外注費に加えて、人件費もコスト削減を進めています。

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人員は2年間で約半分の416人まで減少しました。

人件費が今期約5億円かかっており、売上11億円に対して45%ほど。1人あたり四半期で100万円程度ですから来期は8,000万円~1億円程度の削減が見込まれます。

今期の営業赤字が1.5億円、人員を削減したことにより既存タイトルの売上が大きく下がるかと言えば、よっぽどアップデートやサポートが酷くならない限りは今の微減が続くでしょう。

しかし、人件費削減の一方でQ2は「一時的に増加した共同事業の相手先負担分の減少による売上原価の増加」があるとして、営業利益は-2.2億円という業績予想が出ています。

Q3以降はこの一時的な原価の増加がなくなると、1億円未満の赤字幅で抑えられるのではないかと思います。

今後の新規タイトル予定

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開発中のタイトルについては前四半期から変化は無く、オリジナル1本(共同)、ドラクエタクトの2本が2020年中のリリース予定、ディライトワークスとの共同タイトルがリリース時期未定で進んでいます。

このうち、ドラクエタクトが株式市場から高い期待が集まっていて、開発が順調に進んでいるとのことでストップ高まで買われているのが現状です。

他社の有名IPタイトル振り返り

ドラゴンクエストという根強い人気を誇るIPを使っての新作ですが、過去に有名IPを用いたタイトルで復活を遂げている企業を参照しておきます。

まずはDeNAのFF レコードキーパー、リリース後すぐに月商10億円タイトルに。gumiのFFBE幻影戦争、リリーズ前期からリリース後四半期で17億円売上増、営業利益約10億円増。コロプラ、ドラクエウォークもリリース後四半期売上30~40億円程度まで成長、営業利益大幅改善。

など、特に直近ではgumiのFFBE幻影戦争とコロプラのドラクエウォークが記憶に新しいところでしょうか。

どちらもスクエニのIPで、FFBE幻影戦争はドラクエタクトとゲーム性も似ている部分もあり、FFとドラクエの違いはあれどある程度ベンチマークになる数字かと思います。

まとめ

既存タイトルが厳しい状況にあることは変わらず、しばらくの間はコスト削減を継続して赤字幅を縮小し、新規タイトルに注力。

ドラクエタクトがリリースされるまで大きく変わることはなく、横ばいとなりそうです。

ドラクエタクトを除く2本のパイプラインはまだ読めない点が多く、市場からの注目もドラクエタクト1本でしょうからこちらの動向をチェックしておく必要があります。

5月1日の終値が547円、決算発表前の427円から28%ほど上昇。ドラクエタクト発表前の2月は300円前後でしたから、80%以上上がっています。

ドラクエタクトが当たり、月商10億円タイトルになり営利率が20%と仮定し、既存タイトルも合わせて通期

・売上高:160億円
・営業利益:32億円

PER 10倍~15倍ほどまで付くことを予想すれば、860円~1,300円/株まで上がることもないかもしれません。

懸念材料としては当然ながらドラクエタクトがコケた時で、そうなるともう救済措置が受託案件しかなくなってしまうので、そうなると次なる高騰材料が出るまでは撃沈することになります。

既にゲームのプレイ映像はβテスト時点のものは出ていますので、ゲーム性と国内のゲーム市場を見つつ、慎重にどこまでリスクを負うか悩みどころです。

個人的にはもう少し落ち着いて下がることがあれば、保有しておき、リリース後の2四半期分の決算発表後あたりにいくら好調でも売切っておくのが良いかなと考えています。

リリース延期の発表がされて下がるタイミングがあると良いんですけどね。

皆さんも自己責任で検討してみてくださいb

ではまた!

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