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がん細胞を克服するセロリ

 そのマイルドな風味、繊細で淡い色、そして栄養価の低い食品という(不相応な)評判をもつセロリは、実は青果売り場のクラーク・ケントのような存在かもしれません。 実際、この過小評価されている野菜は栄養価の高いスーパーヒーローなのです。
 
 セロリには必須ビタミン、ミネラル、食物繊維がたっぷり含まれているだけでなく、現在では、がんを予防し、さらには治療する素晴らしい力があるとする研究結果も報告されています。
 
●セロリに含まれる特性が分子レベルでがん細胞を標的とする
 セロリには多くの有益な化合物が豊富に含まれていますが、がんと闘う第一の成分は、アピゲニンと呼ばれる抗酸化フラボノイドです。 細胞実験でも動物実験でも、アピゲニンは腫瘍の発生、進行、転移を抑制することが何度も確認されています。
 
 そしてアピゲニンは、複数の作用機序によって、あらゆる段階でがんと闘います。 この万能性は、単一の化学予防化合物では効果が得られない患者を悩ます自然な遺伝的変異を克服するのに役立つ可能性があります。

●アピゲニンはがんを予防、抑制し、そして逆転させる
 血管新生(腫瘍に栄養を与えるための新しい血管の成長)は、がんの増殖において重要なプロセスです。 アピゲニンには、血管新生を阻害し、腫瘍の生存に必要な血液、酸素、栄養素を奪う能力があることが判明しています。
 細胞実験では、アピゲニンはヒトの膵臓がん細胞から、がんの増殖に必要なグルコースを奪って「飢餓状態」にする働きをしました。
アピゲニンはまた、分子シグナル伝達を阻害し、がん細胞が必要とする化学物質の産生を減少させます。 2008年に『Carcinogenesis』誌に発表された研究では、アピゲニンはフォーカルアドヒージョンキナーゼ(FAK)と呼ばれる、がんが健康な組織を破壊し侵入するのに不可欠なタンパク質の発現を阻害し、ヒト卵巣がん細胞の転移を抑制しました。

 別の研究では、アピゲニンがNF-κBサイトカインによって誘発される炎症やがんの原因となるダメージから膵臓細胞を保護することが確認されています。 さらに、アピゲニンはアポトーシス(がん細胞のプログラム死)を促進するのです。

●低カロリーのセロリは栄養の宝庫
 セロリは「マイナスカロリー」食品であるとよく言われます。つまり、セロリは摂取すると、その消化によって、セロリがもつカロリーよりも多くのカロリーを消費する、という説です。 しかし、これは事実ではありません。確かに、セロリは1本わずか6kcalしかない低カロリー食品です。 しかし、おそらくこの間違った思い込みが、セロリは栄養価のない食品である、という認識の原因となったのでしょう。
 
●セロリの実力
 セロリ(学名Apium graveolens)には、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンB群、葉酸、ビタミンKのほか、カルシウム、銅、鉄、亜鉛、カリウムなどのミネラルが豊富に含まれています。 また、カフェ酸、フェルラ酸、ケルセチンなどの強力な抗酸化物質や、健康的な量の食物繊維も含まれているのです。

 またセロリの化学予防成分はアピゲニンだけではありません。 近縁種のニンジン、パセリ、ウイキョウと同様、セロリにもポリアセチレンと呼ばれるガンと闘う化合物が含まれています。 また、セロリには水分だけでなく栄養素も豊富に含まれているため、脱水症状を防ぐ効果もあります。
セロリは栄養的に軽視されていますが、実際はがんと闘う強力な天然食品なのです。

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