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蘇民祭の歴史に幕がおりまして…

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本日のお題:蘇民祭の歴史に幕がおりまして…
呉服のきくや本店:https://www.kikuya.shop/

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2月のプレゼント当選者発表!

今回はプレゼント企画始まって以来の大量の応募がありまして驚きました。店側としてはすごく嬉しいです!来月も面白いプレゼントを用意いたしますので楽しみにしていてください。

そして今回見事当選されたのは

青森県十和田市 U・E様

と決定いたしました!昨日発送しておりますのでおそらく本日か明日にでも到着予定となっております。届きましたらSNS等でお知らせいただければ嬉しく思います。

そして今回外れた方も是非また来月ご応募くださいませ。本日は仕入れの日ですのでまた魅力的な賞品を探してきます!

当選発表ページ

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■蘇民祭の歴史に幕がおりまして…

今週のお題は「蘇民祭の歴史に幕がおりまして…」です。着物の話じゃないやん、と思いつつ着物(というか着物業界?)に通じるところもありますので今回のお題として取り上げさせていただきました。

先日テレビを見ていたら「日本三大奇祭、黒石寺蘇民祭1000年以上の歴史に幕」というニュースが流れてきました。私自身はあまりこういったお祭りは詳しくないので名前ぐらいしか知らなかったのですが1000年以上続いたお祭りが自分の生きている時代に無くなってしまうというのは、こうして少しずつ貴重な民俗や文化が無くなっていくのかなぁ、と少々残念な気持ちで見ておりました。

檀家さんの高齢化に伴ってお祭りを担っていく人が少なくなり、現実問題として続けていくことができなくなったと報道されており「どこも同じだなあ」と思いました。「どこも」というのはどこのことかと申しますと日本三大祭りと言われる、京都の祇園祭です。

京都の呉服問屋と祇園祭は深い関係にあります。そもそも祇園祭は京都室町の呉服問屋街近辺の町内会のお祭りでして、一般的には7月17日の山鉾巡行が有名ですが、実際には7月1日から31日まで様々なイベント(?)が行われており、それらの総称が「祇園祭」なのです。とはいえ、山鉾巡行が一番注目を集めますのでどうしても祇園祭=山鉾巡行というイメージですよね。

京都の問屋街のメインストリート、室町通や新町通に鉾や山が立ち並び7月13日頃から呉服問屋は休業いたします。私がこの業界に入った時、祇園祭が近づいてくると「祇園祭のため○日から○日まで休業いたします」というお知らせのハガキが届き、なんとオッペケペーな業界なんや!と思いましたが商品を発送するためのトラックを通る道に山や鉾が立ち並んで入れず、商品を出荷できないので営業できないんですね。ただし問屋によっては全国の呉服屋に一泊旅行つきでお客様を連れてきてもらって展示会をするところもあります。この話も悲喜交々ですのでまたそのうちこのメルマガでお話しさせていただきますね。

まあそんなわけであちこちの呉服問屋が山や鉾の維持運営に携わっておりまして、中でも「くじ取らず」と言われ、毎年山鉾巡行の先頭を動く長刀鉾は京都のメインストリート四条烏丸に立つ某超老舗呉服問屋が大きく関わっており、その会社のマークも長刀鉾になっています。

先ほどから書いているように、室町通や新町通あたりの呉服問屋が密集している通りが祇園祭で山や鉾が立ち並ぶ超メインストリートですので、大小はあるとしても呉服問屋が全く関わっていない山、鉾はないのではないか、と思います。おそらく維持していくために少なくない金額を負担していることでしょう。当店の取引していた卸問屋も個人経営の小さな業者さんでしたが町内会所有の家に住み、家の敷地内に大きな倉庫がありそこに鉾を保管、管理しておりました。

ところがこの祇園祭を続けるのも年々大変になってきておりまして、それは呉服業界が力を失ってしまったのと決して無関係ではありません。あれだけの鉾や山を維持していくにはかなり大きな費用が必要なのですが、呉服業界の縮小化、弱体化に伴ってその費用負担を捻出するのも難しくなってきていると聞きます。

昔は各山や鉾にお稚児さんが乗っていたのですが、今ではお稚児さんの代わりに人形が乗っています。唯一先頭を走る長刀鉾だけが生き稚児(いきちご)と呼ばれる生身のお稚児さんが乗っており、毎年祇園祭が近くなるとどこのお子さんが乗ることになったとニュースでご覧になる方も多いと思います。これは少子化とは無関係ではありませんが、経済的な問題も大きいと聞きます。

これはあくまでも聞いた話ですので間違ってたらすいません。あまり自信がないのでよそで「呉服のきくやのメルマガに書いてた!」なんて言わないでください笑。

お稚児さんに選ばれると、ある期間は女性との接触は一切禁じられ世話役の男性を雇わなくてはならない、床に足をつけないように馬を用意して、町内の各家にご祝儀を配らなくちゃならないと聞いております(自信なし)。というわけでお稚児さんに選ばれると2000万円ぐらいの費用を負担しなければならず、よほどエエトコの子しかなれないらしいです。毎年どこそこの会社(超有名大企業)の会長のお孫さんだとかが選ばれてますよね。

昔は鉾町内の呉服問屋のお孫さんが乗ることが多かったらしいですが、少子化と経済的な問題から受けることができず、先ほど書いたようにお稚児さんは長刀鉾以外は全て人形が乗ることになってしまいました。

部外者の勝手な言い分ではありますが、人形にするぐらいなら馬を用意したり女性との接触を禁じたりご祝儀なんてやめて、とりあえず生身のお稚児さんを乗せることを優先させたほうがいいんちゃうん、とか思…ゴホンゴホン。まあ伝統やらなんやらいろいろあって簡単にそういうわけにもいかないんでしょうね。

先ほどから書いているように、祇園祭のメインストリートは京都屈指の呉服問屋街ですので祇園祭の盛衰は呉服問屋の勢いと密接に関係しているといっても過言ではありません。ところが最近は廃業する呉服問屋が多く、中国資本で社屋が買い取られたり、近所づきあいの希薄なマンションが立ち並び、厄除けちまきを作るのさえ人手が足りず、人数を集めるのも苦労しているとか。とはいえ、あくまでも神事ですので観光客感覚で手伝いに来られると困るので祇園祭の趣旨を理解した上で、町内会のメンバーとも交流してもらえる方でないと手伝ってもらうわけにもいかず、そんなわけで存続に苦労していると聞きます。

全く別のお祭りではありますが、街の住人が高齢化してお神輿を担ぐ人がいなくなり、半分冗談ではありますが軽トラックにお神輿を乗せて走るという話も出ているようです。こういった昔からのお祭りはもちろん、風習がどんどん忘れ去られ、人と人のつながりが希薄になっている状況は、着物を取り巻く状況にも似ているような気がするのは私だけでしょうか。

生活様式や文化は人々の生活とともにどんどん変わっていくものですから、それはそれで仕方のないことかもしれません。個人が尊重される世の中でそれはそれで素晴らしいとは思いますし、生きやすくなった方も多いでしょう。でも昔からの伝統がなくなってしまうのも少々寂しくはあります。

以前にも書きましたが、現在着物市場は2000億円ちょっとぐらいと聞いております。この売上のかなりの率を占めるのが「着物の展示会等でお勧めして購入していただく売上」らしいです。一方このメルマガを読んでくださっているような普段から着物を着て、お勧めされなくても着物を購入するという方は500億とか600億などと聞いたことがあります。この数字はどのように取ったのかまったくわからないのであまり信憑性はないかもしれませんが、私の感覚ではまあそんなもんだろうな、とすんなり理解できる数字です。

500億とか600億の市場になるとアイテムが極端に少なくなり、少し珍しい柄は作れなくなり、八掛も別染でしか用意できなくなったり、ということになり、職人さんも生活できなくなってしまうのでこの辺でなんとか着物勢力を挽回するために頑張りたいところではありますが、当店のようなリサイクル屋さんでは職人さんの懐にはお金が落ちなくて少々申し訳なくもあります。

いやいや、そんな申し訳なく思う必要なんてない、まずは当店のような呉服業界の端っこにいるような店を利用して頂き、わずかな小遣いから着物に親しんでいただき、次第にいいものが欲しくなって呉服業界を支えてくださるような売上のお客様になってくださる…はず…なんて思いつつこのメルマガを書いています。

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発行:新品とリサイクル着物 呉服のきくや
住所:大阪市大正区泉尾3-15-4
電話:06-6551-8022

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