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(連載67)アイデアのスケール変容:服飾デザインレポート:ロサンゼルス在住アーティストの回顧録:2011年


、、、、こんなことを思いついたのは、今から振り返ると、2011年前後は、コマーシャルの仕事がピークであったからだろうか。。。。


その仕事というのは、2002年あたりから少しずつ始まった服のリメイク、解体、お直し業なのですが、つまり古着を1点ずつ作り直して、また市場に復活させるというものです。

初めは一人でやっておりましたが、そのうち、アシスタントが必要になって、その人数も三人くらいになりました。専用の銀行口座を作ったり、ビジネス・ライセンスを申請したり、と。

それまでの行き当たりばったりのバイト業とは雲泥の差! 

まるでプロ!笑


この仕事のおかげで、以前のド貧乏から解放され、お金を使う罪悪感も多少なくなり、ある程度「まともな社会人」のようになった。


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もともとビジネスは、超へたクソ。そのおかげでお金には執着がないけど、ラッキーな事に結婚していたので、(夫はこの時点では本屋で働いていた)なんとか食べてはいけた。そして奇跡的に家も買ったけど(悪評高いサブプライムローンのおかげ)支払い額は、家賃と同じぐらいだったので、ローンも滞納した事はなかった。


そして、なんとか自分のやりたい事と仕事のバランスを微妙なところでとりつつ。。。。といっても、とれてたのか?とれてなかったのか?諸説ありますがー。苦笑

私の場合、アートも服、仕事(デザイン)も服なので、どちらも服を作る作業なのですが、仕事とアート活動は目的が決定的に違うのは、明らかですよね。。。

アート作品は、自分の為のものなので、売れる作品を作ろう!とか、そういうのはありません。もちろん展覧会などをやって、作品が売れたら、ものすごく嬉しいですが、別に売れなくても、そんなに凹みません。

それに比べ、リメイクの仕事の目的は、「売る」ことなので、作ったものは絶対に売りたいし、売れたら、めちゃめちゃ、嬉しい!!

ただ。。。

不思議な事に売れるものは、いつも同じようなものであります。

まあ、これが「トレンド」の宿命。。。。

流行り物だから売れる。たくさんの人が欲してるから、同じようなものがたくさん必要となる。

自分としては、リメイクの一点ずつ作るというのが、楽しいのに、、、、

同じものを作らなければならないと思ったら、途端に楽しくなくなる。。。。

しかし、売れるものを作らなければ、

結局はゴミを作ってるのと同じ!! 

つまりは「ビジネス=マス向けに売れるものを大量生産すること」かあ。


なんだかなー。


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この「なんだかなー?」を埋めるために、私は、今まで皆様に述べてきた、人から見たらどうでもいいような活動、バンドのライブをやったり、ファッションショーをやったり、絵を描いたり、などなど、あらゆる事をやってきて、気がついたら10年近くも経ってたわけです。

早〜〜っ! 汗

(何回、コレ言うかい?)


で。

この時点でコマーシャルの仕事に追われてはおりましたが、まあ、いつもの、楽観的ひねくれ者としては、またまた考えたのでした。

デザインはデザインで、なんか、出来ないっかっな〜っ??て。

出来具合いは、確実に市場をねらってるけど、コンセプチュアルのある??みたいな??? よくわからんけど。笑

おー!

いつもの挑戦癖じゃよ!

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今回の企画

一つのデザインからスケールをいろいろ変容させ、アイデアが量産していく。

みたいなイメージがつくれないかな?と思ったんですよ。


たとえば、音楽で基本のメロディーを決めて、それを変化させる。音は同じだけど、リズムだけ変化させたり、リズムのアクセント部分を変えてみるとか。また、ジャズのように基本のコードを決めて、その中で何をやってもいい。とか?

そんなやり方で、服を作ってみたらどうなるうだろう? 

具体的には、服の丈だけがどんどん長くなるとか、同じ服だけど、ボディの部分だけが大きくなってゆく。とか。逆に、小さくなってゆくとか。

同じデザインが繰り返され、大量生産的なイメージが表現できないか?

この好奇心を広げ、服飾デザインの実験をしてみようと決断。

同じアイデアをスケール展開!

いったイメージはどう変わるのか? どこまで変わるのか?


以下、実験レポートなので、これで、自分が言いたい事が表現できたかどうか? 意図するところが伝わるかどうか、わかりませんが、とりあえず、やった結果をここにお見せします。

材料の素材はすべて、リサイクルです。


はじまり、はじまり〜〜!!!

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まず、これです。白シャツ・ドレスの展開。

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カシミアのセーターのリブの部分だけをつなげて、ショールの4段階変容。

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腹巻?の3段階変容。

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リボンのサイズだけをどんどん大きくしてみた。

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襟のファーも、チェーンもパールも少しずつ小さく細くしてみた。もちろん、フェイクのファーです。

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デニムのウエスト・バッグ。 ユーズドのデニムで。

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先日の展覧会で、自分が描いたビートルズの服のバッグの5段階変容。

これ、写真ごと小さくしたんじゃないですよ〜。笑


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消防服を解体して、作ったバッグ。

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左の一番小さいのは、小さすぎてイヤリングにしました〜。苦笑


同じアイデアなのに、部分から全体に広げたり、一部分だけを強調したりすると、随分と印象が変わりますよね。



さて、このあたりで、読者の皆様は、こんなことやって、何になるんだろ?と、お思いになってるでしょう。

ファッション学校の宿題じゃあるまいし。

こんなレポートやって、何になる?と。

自分でも思いますよ。

なんで、こんなことやってんだ? って。

しかし、ご心配にはおよびません。

前回も申しましたが、

これ、単なる、思いつきなんで。


それに、この頃は、もうさすがに私も、まともな社会人でしたから。


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仕事さえしてたら、何やったって、いいじゃないですかー?

自分が「アーティストです。」って、いうと「この人まともに仕事してないんじゃないか?」って思われがちですが、これは間違いです。(少なくともこの頃は。汗)


学生時代に、成績トップの子が、「勉強さえしてたら、何やってもいいんだよねー」って、すずしい顔して、自由にやりたいことやってて、カッコよかった。

残念ながら自分はデフォルトが「勉強嫌い」だったから、この法則は、あてはまりませんでしたけど。苦笑


話、それた。

以上、今、お見せしたレポートですが、もちろん、これ、丸ごとイベントにしましたよ。転んでもただでは起きない。ココはアメリカですからね。苦笑

もちろん、ファッションショーにして、その場でお買い上げ、オッケーにしてみた。

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次回はそのお話です。

読んで頂いて、有難うございました。

引き続きよろしくお願いしまーす。

L*






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