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「国際映画祭」が変質する (WE ARE ONE : A Global Film Festival、SXSW2020ほか、"配信型国際映画祭"というモデルへの雑感)

トライベッカ映画祭を運営するTribeca EnterprisesがYoutubeと手を組んで、5/29〜6/7でカンヌやヴェネチア、サンダンス、トロント、東京など20の国際映画祭が選んだ新作・旧作映画をはじめ、ドキュメンタリーや短編、音楽、マスタークラスのコンテンツなどを無料配信するチャリティ配信型映画祭「WE ARE ONE : A Global Film Festival」を開催することを発表しました。

このイベントは単発チャリティイベントであって、各国際映画祭とも自前で握っている重要作品をこの配信イベントに積極的にエントリすることはなさそうという見方が強いですが、
まさしく現在Amazon Prime Videoで展開中の「SXSW2020 Film Festival Collection(4/27〜5/6。残念ながら日本からは閲覧できませんが…)」やトライベッカ国際映画祭のVRショートフィルムの無償公開、そして本件などによって、今後”国際映画祭ビジネス”のあり方は完璧に変質すると思います。

小規模ながら自分も国際映画祭+商談会の運営に数年携わった経験からすると、国際映画祭+商談会の現場では、何より会場で生まれる「各国から集まった映画関係者同志のface to faceの対話」「ランダムな人的/情報のネットワーキング」こそが最重要価値であるからこそ(数年関わってつくづくめちゃくちゃ人間的な原理で回ってるんだな…!と驚かされたほど)、国際映画祭自体がなくなることは無いとは思いますが、
これまでその場に行かねば参加できなかった商談機会や、関係者と来場者だけに提供されていた限定的なスクリーニング機会(プレミア上映なども含め)は今回以降どんどん開放されていくことになると思います。

また「国際映画祭」自体がひとつの観光/都市ブランディングとしてごりごりのビジネス・事業的な側面があるわけですが、今回こうして配信型映画祭が続々実現してしまえたことにより、以降「各国で開催する映画祭」の意味や観光資源としての映画祭産業は、完全に変質するんだと思います。

この辺、引き続き動向を見届けていきます。

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