図解すると何故か理解しやすくなります。その方法について簡単にご紹介します
図解すると、頭を整理しやすくなります。
これは、色々なところで紹介されていて、私があえて言うまでも無いくらい有名です。
例えば、以下のような感じです。
・論理的思考のロジックツリー
・マインドマップ
・チャート図
・フロー図
それぞれ、アプリケーションが開発されていて、とても便利に使えます。
ところが、いざ実践しようとすると、なかなか上手くいかないことが多かったです。(社会人38年の経験です・・・)
私が種々のツールを試してみて、最後にたどり着いた方法をご紹介しようと思います。
ちなみに私の記事でツリー図を多用していますが、それに使っている手法です。
Graph-vizを使うと楽です
データサイエンスの一種のベイジアンネットワークで使いました
ベイジアンネットワークと言うデータサイエンスの手法があります。
変数間の依存関係を確率分布でグラフィカルに表示できる、とても便利なツールです。
ただし、全自動でネットワークを構成させてしまうと因果関係がいびつになることがあるので、事前に人間が因果関係を整理しておく方が、しっくり来るネットワークになります。
そこで、AGC株式会社の小野氏が「因果連鎖分析」と言う手法を編み出しました。
詳細は下記の書籍やリンクをご参照ください。
小野氏は、「因果連鎖分析」にGraph-vizをツールとして使用しています。
Graph-vizについて
Graph-vizはAT&Tが開発したオープンソースのツールパッケージで、DOT言語で記述されたグラフ構造を描画するものです。
使い方は、以下のサイトに詳しくまとまっています。
私は今でもこのサイトを参考にさせていただいています。(感謝しています!)
以下のサイトにアクセスすると、簡単にお試しができます。
「でも、難しいんでしょ・・・」と言う貴方に!
確かに、DOT言語を覚えるのは一手間かかります。
ところが、そのハードルを越えると、手放せなくなるほど便利です。
図解する際に陥りがちなこと
図解する際には、イメージ図が頭の中に出来上がっていることが必要です。
通常のツールは、ほとんどが図を組み合わせて作成するものです。
ところが、これらのツールを利用して実際に図解してみるとこれが障壁になります。
・図の配置や色にこだわって完成できない
・ある程度作った図を改定するのが大変
・既に作られた自分のイメージから外側に出るのが難しい
1)図の配置や色にこだわって完成できない
どうしても、図が作られていくとその形にこだわってきます。特にプレゼンに慣れている人だと「配色で目立ちやすく!」「いや、このキーワードは形を変えるのが良いか」とかの枝葉末節にこだわってしまい、完成できないか、論理的に矛盾を含む図になることが多いです。
2)ある程度作った図を改定するのが大変
これを回避するためには図を見ながら因子を追加していく必要がありますが、それが一苦労です。
大きな因子を追加しようとすると、描くスペースが足りなくなり、空いたスペースに無理やり記入して見にくくなり、結局書き直しする羽目になります。それか、既に書いた図を移動してスペースを作るかです。
これが、数回続くと「まあ、これで良いか・・・」となります。
ロジカルシンキングの講習とかでは、付箋紙を利用して配置の自由度を上げたりしますが、図にするには誰かが清書する必要があります。写真で記録する場合もありますが、再利用が難しいです。
3)既に作られた自分のイメージから外側に出るのが難しい
複数人で議論している場合でも、図が出来上がっていくとその枠からはみ出す意見を出しにくくなります。
それは、前述の制約のためだと思います。
「ここまで出来たから・・・」
「今から新たな因子を追加するのは手間だし・・・」
こんな制約から、図を完成させるまでに結構苦労します。
それでも、ツールに習熟していたり、絵心がある場合だと、なんとかなりますが、そこまで到達するのが一苦労です。
Graph-vizだと言語で書くと自動で図にしてくれます
これがGraph-vizを勧める、主因です。
一度使っていただくとわかりますが、Graph-vizの左側にDOT言語で因子を羅列して、それぞれの因子をつなげると、勝手に図を描いてくれます。
ある程度DOT言語で書いてから、図を見て概要を把握して矛盾点や追加因子を考え、それをDOT言語に追記することが可能になります。
これで、図の配置やスペースの問題から解放されます。
さらに、言語と図を交互に行ったり来たりすることで、自分の考えをうまく整理できます。
言語と図は使っている脳が違うみたいです
専門家では無いので、経験談になってしまいますが、論理的に考える際は脳の言語領域(左脳)を使っていて、グラフィカルに考える際は脳のイメージ領域(右脳)を使っている気がします。
そして、両方を同時に駆使するのは、かなり難しい技術のようです。
特に、私はここを分離した方がすっきりします。もしかすると女性は得意かもしれません(左脳と右脳をつなげる脳梁が太いらしいです)。
例えばこんな図が作れます
永田豊志さんの「図解思考の技術」という本を参考に図解のフレームワークをGraph-vizを使って図にしてみました。
ちなみに永田さんは手書きで図解しているようです。たぶん、脳の中がとても整理されていて、完成イメージができているのだと思います。
あと、絵心があるので簡単に作れるのでしょう。とってもうらやましいです。
絵心の無い私は、Graph-viz頼りです。
図解のフレームワークでは大きく6種類あります。
・ツリー型
・マトリックス型
・フロー型
・サテライト型
・グラフ型
Graph-vizでは、グラフ型以外はほとんど表現できます。特にツリー型は最も得意とするものです。
グラフ型だけは、私の他の記事でご紹介しているようにBIツールやOrangeの方が適しています。特にBIだとインタラクティブにデータを扱えるのでお勧めです。
マトリックス型も、Graph-vizで表現できますが、素直にスプレッドシートを使った方が良さそうです。
参考にDOT言語を貼り付けておきます。
これを、Viz.jsに貼り付ければ同じ図が描けるはずです。(私がやったところ、一部エラーがでましたが、描画はできました・・・)
図を奇麗にするために、種々のテクニックを使っていますが、無視していただいて大丈夫です。
############################基本設定###############################################
# Graph-vizの基本設定です
# rankdir=LRを rankdir=UDにすると上から下に矢印方向を変更できます
# arrowsize = 1 を arrowsize = 0 にすると矢印を無くせます
digraph G {
graph [fontname="Meiryo UI",labelloc="t",rankdir=LR,layout="dot"]
node [fontname="Meiryo UI",style="filled", fillcolor=white,fontsize="16"]
edge [fontname="Meiryo UI",arrowsize = 1]
############################凡例
subgraph cluster_0 {
label="凡例"
}
##########################メイン
label="ご隠居_むらたん 作成\n2024年4月3日\n図解思考の技術\n永田豊志\n株式会社KADOKAWA"
#大項目
A1[label="「図解思考の技術」\n著者:永田豊志\n\n九州大学卒\nリクルート\n現:ショーケース社長"]
A1->FW
##########################項目 1
subgraph cluster_1 {
label="フレームワーク"
FW[label="図解の\nフレームワーク"]
FW->FW6
FW->FW5
FW->FW4
FW->FW3
FW->FW2
FW->FW1
FW1[label="ツリー型"]
FW11[label="まさに\n今書いている図\nGraph-vizで\n簡単に実現できる"][shape=box]
FW1->FW11
FW2[label="マトリックス型"]
FW21[label="普通の表\nGraph-vizだと\nかなり工夫が必要\n素直にエクセルかワード\nBIもおすすめ"][shape=box]
FW2->FW21
FW3[label="フロー型"]
FW31[label="形を変えると\nGraph-vizで表現可能\nただ微妙に違うが"][shape=cds]
FW3->FW31
FW4[label="サテライト型"]
FW41[label="二次元の配置が\nGraph-vizだと\n工夫が必要\nlayoutをdotからneatoに\n変更すると良くなることもある"][shape=box]
FW4->FW41
FW5[label="サイクル型"]
FW51[label="循環型\nGraph-vizでも表現可能\nただし位置は自由度が低い\nlayoutをdotからneatoに\n変更すると良くなることもある"][shape=box]
FW5->FW51
FW6[label="グラフ型"]
FW61[label="通常のグラフ\nBIかOrangeの方が\nフレキシブルに表現できる"][shape=box]
FW6->FW61
}
FW31->FL1
##########################項目 2
subgraph cluster_2 {
label="フロー型"
FL1[label="商品選択"][shape=cds]
FL2[label="説明方法\n検討"][shape=cds]
FL3[label="担当設定"][shape=cds]
FL4[label="営業活動"][shape=cds]
FL1->FL2->FL3->FL4
}
FW41->ST1
##########################項目 3
subgraph cluster_3 {
label="サテライト型"
ST1[label="因子1"]
ST2[label="因子2"]
ST3[label="因子3"]
ST1->ST2[arrowsize = 0]
ST2->ST3[arrowsize = 0]
ST3->ST1[arrowsize = 0]
}
FW51->SC1
##########################項目 4
subgraph cluster_4 {
label="サイクル型"
SC1[label="P"]
SC2[label="D"]
SC3[label="C"]
SC4[label="A"]
SC1->SC2
SC2->SC3
SC3->SC4
SC4->SC1
}
FW21->MT1
##########################項目 5
subgraph cluster_5 {
label="マトリックス型"
MT1[label="業界"][shape=box]
MT2[label="社名"][shape=box]
MT3[label="時価総額"][shape=box]
MT4[label="資本金"][shape=box]
MT11[label="半導体関係"][shape=box]
MT12[label="A社"][shape=box]
MT13[label="200B$"][shape=box]
MT14[label="1B$"][shape=box]
MT21[label="素材関係"][shape=box]
MT22[label="B社"][shape=box]
MT23[label="50B$"][shape=box]
MT24[label="10B$"][shape=box]
{rank=same;MT1,MT2,MT3,MT4}
{rank=same;MT11,MT12,MT13,MT14}
{rank=same;MT21,MT22,MT23,MT24}
MT1->MT11->MT21[ style=invis ]
}
A1->利点
##########################項目 6
subgraph cluster_6 {
label="図解の利点"
利点[label="図解の利点"]
両脳[label="左脳と右脳の\nコラボレーション"]
利点->両脳
右脳[label="右脳\n直感的思考\n映像情報整理"]
左脳[label="左脳\n論理的思考\nテキスト情報整理"]
両脳->右脳
両脳->左脳
左脳->可視化
右脳->可視化
可視化[label="可視化\n\nその人の\n発想\n理解\n"]
}
##########################項目 7
subgraph cluster_7 {
label=""
}
}
# {}の数が足りないとエラーになります
#色を付けたいときは
### 文字[fillcolor=yellow]
#形を変えたいときは
### 文字[shape=box]
#長い言葉だと繰り返し入力するのが面倒なので[label=""]を使っています
#A[label=""] で以降Aだけで処理できます
まとめ
図を描く方法としてGraph-vizをご紹介しました。
DOT言語を覚える必要はありますが、慣れると便利です。
Graph-vizに慣れると、「因果連鎖分析」や「ロジックツリー」を作成することが可能になります。
特に、「因果連鎖分析」は、複雑な実課題をデータサイエンスに適用する際に強力な武器になります。ご興味のある方は、ご紹介した書籍を読んだり、小野さんの講演(今でも結構やっているはずです)を聴講したりしてみてください。
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