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読書録:GIVE&TAKE「与える人」こそ成功する時代 by アダムグラント ー ②

前回まとめてから1か月ほど時間が空きましたが、ようやく本著を読み終えました。後半部分をまとめます。前回はこちら。


人に影響を与えるアプローチ

人に影響を与えるアプローチは主に「優位」と「信望」であると話されています。

  • テイカー:優位を取り強気なコミュニケーションを行う。面接などのその場限りでは有効だと思われる

  • ギバー:一方でギバーは信望を活用する

コミュニケーションのコツ

その後、ギバーの取るコミュニケーションのポイントを事例を用いながら丁寧に記載されています。
質問を介したゆるいコミュニケーションと恐れずに自らの弱みをさらすこと。ただし弱みを見せて効果があるのは周囲から有能であると認められている必要がある。

また、人はアドバイスを求められることが大好きなので、アドバイスを求めることも関心を持つ相手に対して有効であると述べています(ただし無意識で行っているときに限る)。アドバイスを求めるメリットは下記の通り、情報収集に閉じず、自分の身になってもらえるため有用であると。

  1. 情報収集

  2. 自分の身になってもらえる

  3. 相手との関わりを強められる

  4. ごますり

アメリカ建国の父として知られるベンジャイン・フランクリンが自叙伝のなかでこう書いている。「一度親切にしてくれた人は、自分が親切にした人よりも、また親切にしてくれる」

GIVE&TAKE P240より抜粋

私はアドバイスを求めることがどうにも苦手なのですが、人を巻き込むコツの1つなのだろうと改めて理解しました。ただしあくまで無意識、というこからも意識的にやってはいけないのだろうと思います。

特に今回のマルチ商法の課題解決にあたっては、自分では分からないことだらけなのでアドバイスを求める癖があるのかもしれません。

成功するギバーは他者重視に加え利己的

私の周りの方が推していたところがここ。
ギバーを「自己犠牲型」と「他者志向型」に分けられていた。との感想だけ読んだだけでは何となくしか理解できていませんでしたが、丁寧に言語化されているのを読んで確かに納得しました。

成功したギバーは普通の人よりも他者重視であるだけでなく利己的で”も”あるということでした。他者の利益を追求しつつ、受け取るよりも多くを与えても、同時に自分の利益を見失わない。2つをかけ合わせて原動力にする。

GIVE&TAKE P248より抜粋。自己犠牲型と他者志向型のギバー

これはなるほどなと思いました。今私が自分の人生も大事にしようとしている背景にドンピシャだと思いました。当然ながら他者の利益重視(他者の課題解決に対しても後押ししたい思い)はあるのですが、同時に自己利益も追及しながら行動を続けていきます。

ちなみに、燃え尽きてしまうギバーがいるのは、時間とエネルギーを注ぎ込みすぎるためではなく、困っている人をうまく助けられない時である、とも書かれていました。これも納得です。私が本取り組みを進める中で何回も燃え尽きそうになったときは困っている人を目の前にしながら何もできない無力感でした。

自己犠牲型にならないコツ

上記が区別できた上で。自己犠牲型にならないコツをまとめています。

  1. 毎日少しずつではなく、相手に求められるままではなく、まとめて与える(P261)

  2. ボランティア活動の100時間ルール、時間の限度を設定しておく(P265)

  3. 燃え尽きそうになると他者からのサポートを仰ぐ(P269)

  4. 愛想のいいテイカーをペテンと見抜けるか(P290)
    ※ギバーかテイカーかは性格とは無関係である

  5. お互いの利益が対立する時は共感しすぎないよう、相手の気持ち(心)を想像するのではなく相手の視点(頭)から考えていることに注目する(P297)

  6. 自分のためではなく他人のために交渉する(例:家族を代表している意識、あるいはチームを代表している意識)(P308)

コツは、きつくなったときに見返そうと思います。かなり抜粋して背景を削って残すと大分強い印象ですが、1つ1つに納得感がありました。

GIVE&TAKEの答えは1つではない

本書を断片的に読むと「ギバーすごい!」と書いているように見えますが、与えすぎること以上に、誰に対してもたった一つのギブ・アンド・テイクのやり方で対応することは危険だとも述べています。
特に上述した自己犠牲型のギバーにならないコツに書かれている通り、「愛想のいいテイカーを見極める」などは、まさにその通りなのかなと思います。一定の線引きは自分を守る上でも大事、ということなのでしょう。(ただ見極めることはしつつも入りはギバーとしての姿勢で、とも書かれていましたが)

つい先日、仕事で情報クレクレ言う他組織のメンバーに釘を刺してしまいました。そうした取り組みも必要なことなのかなと改めて思います。

お互いに助け合う

困っている相手を自己意識に同化させ、相手の中に自分自身を見出す

GIVE&TAKE P329より

私たちが人助けをする理由は、結局は自分自身を助けているのではないか。というコメントです。オンライン語ろう会、自助グループはもしかするとそのような取り組みなのかもしれません。

テイカーをギバーにできるか

これはYESなのでしょう。行動を変えれば信念はついてくる、との記載もありましたが、結局は行動・小さなdoの積み重ねに尽きるのかなと思いました。

おわりに

本書は、海外の色々な登場人物の事例を背景情報として与えています。学術的な要素も強いため、正直結構読み進めづらかったです。

ただし、特に「他者志向」と「自己犠牲」のギバーとしての視点は私にとても刺さりました。そこだけでも読んで価値がありました。社会課題解決のような重たいテーマに取り組んでいる人には是非オススメしたい本だと思いました。

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