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質問力その2~「いい質問」が人を動かす~

こんにちは。へびそるです。
私は普段、エンジニアのキャリア支援をしています。
今日は、前回に続き質問力について綴ります。
画像の出典:Mohamed HassanさんによるPixabayからの画像

こちら、私の自己紹介です。お暇があればぜひ見てやってください。

質問力を鍛えるために本を読む

前回のnoteでは、自分は仕事で質問をよくするが、決して質問力は高くはない。でもキャリア支援を行うには質問力は必須。だから質問力の本を読んで鍛えよう、と綴りました。
今回は「いい質問」が人を動かすを読んで得た気づきを書いていきます。

質問には相手の思考を強制する機能がある

質問には、相手の思考を強制する機能があります。したがって、否定的な質問をすると、相手に否定的な考えを強制してしまう結果となります。
たとえば、会社の上司が、部下に対し、「どうしてこんなことができないんだ?」と質問をすると、「うーん。俺はなぜこんなこともできないんだろう?能力がないのだろうか?」など、部下は、「できない理由」について考えて、できない理由を答えなければなりません。ネガティブな思考を強制される結果となります。

引用「いい質問」が人を動かす 谷原 誠 p47、48

質問には相手の思考を強制する機能がある、という点は激しく同意です。
質問というのは、良くも悪くも余韻がついて回るものだと思います。
その人の口から発せられた瞬間だけでなく、しばらく相手の耳と記憶に残り続けるもの。その人との会話が終わった後も、頭でその言葉がぐるぐる回る、という経験、ありませんか?
その相手が上司だったり、顧客だったり、自分にとってかかわりが深いひとであればあるほど、その言葉は重たいですよね。
その強制力をうまく活かすためには、よりポジティブに言い換える、ということ。

まずは相手に好意を持たれること

私たちがよき質問者になるには、まずは相手に好意を持たれることが必要となります。相手に好意を持たれれば、相手は喜んで情報を提供してくれます。相手は喜んであなたの質問を一生懸命考えて答えを出してくれます。部下は喜んで考えて成長してくれるでしょう。

引用「いい質問」が人を動かす 谷原 誠 p62

これは目から鱗でした。
どちらかというと、うまく質問しよう、いや、うまく質問してやろう、という考えだった自分は、浅はかで恥ずかしい・・・。
たしかに、好意を持っている人の質問には頑張って答えますよね。
単なる仕事上の上司と部下という関係性に+αがあるかどうかで、結果が変わってきそうです。

まず感情を動かす。その後理性で正当化する

人間が動くには、まず感情が動いて欲求が発生し、その後理性でその行動を正当化する、というプロセスをたどることがわかります。
テレビの通販番組は忠実にこのプロセスを守っています。決して最初から値段が出てきたりしません。まずは商品のメリットをこれでもか、というくらい打ち出します。その結果、消費者がその商品を欲しくなります。感情が動くわけです。そのような段階になった後で、ようやく値段を明らかにします。そして、理性であれこれ考えている段階で、「分割払い」や「金利ゼロ」など、理性が購入を正当化しやすいような情報を提供します。さらに「おまけでこの商品もおつけします」とさらに購入を正当化する情報を提供する場合もあります。このようなプロセスを経て、消費者は購入を決定するのです。

引用「いい質問」が人を動かす 谷原 誠 p100、101

このテクニックはぜひ使いたい。
チームのメンバーに奮起を促したいとき。あるイベントへ参加者を動員したいとき。結構こういうシチュエーションがあるんですよね。

私「いまのチームは全社のなかでこういうポジションだ。
      他からはこう見られている。これを聞いてみんなはどう思う?」
メ「ちょっと悔しいですね」
私「そうだよね。悔しいよね。だとしたらどうしたい?」
メ「見返してやりたいです!」
私「そうだよね!じゃあ、そのためには・・・・」
*メはメンバーの略

こんな感じで感情を揺り動かしたうえで、マネージャーとしてメンバーに求めたいこと(顧客提案とか顧客訪問とか、具体的なやりたいこと)をぶつけていく。
これをやるうえでは、メンバーを一堂に会したミーティングは効果的ですよね。感情に訴えかけるためにメンバーを集めてミーティングをやる、というのはミーティングの重要な目的になりそう。

人は他人から命令されたくない

人から命令されたり説得されたりすると、自己の重要感が低下し、自尊心が傷つきます。人は他人から命令されたことに従いたくありませんが、自分で思いついたことには喜んで従います。したがって、人を説得するときは、説得していることを悟られないようにしましょう。大原則です。そして、自分から思いついて決断するようにし向けるのです。そのためには質問することです。

引用「いい質問」が人を動かす 谷原 誠 p112

これは私もよく経験しています。妻は私にやたらと自分の推しのグループを好きになるように「いいでしょ?」「この人、本も書いているんだよ、あなたも絶対ためになるから読んでみなよ」と勧めてきますが、正直全く響きませんし、むしろ、絶対好きになりたくないし、読みたくない(笑)とまで思ってしまいます。
妻は本気で私をファンにさせたいのであれば、家でさりげなくそのグループの音楽をかけておいたり、読みかけの本を私の目につくところにおいておいたりして、自然に私が接触する機会をつくるべきなのです。

仕事においてもこの考えは使えます。
取るべき選択肢がA、Bと2通りあったとして、「Aをやろう」と指示をするよりも、「AとBどちらでいく?」とあえて質問することで、メンバーが主体的に行動するようにもっていく。「A(あるいはB)でいきます」とメンバーが宣言することで自分の仕事になるということですね。

相手に答えを出させる

(前略)私と少年が交わしたのは、こんな簡単な会話でした。特に熱く語ったわけでもなく、私は実体験をふまえて質問を続けただけです。ところが、後日、少年の親から連絡があり、「急に勉強しはじめました。何を話したんですか?」と聞かれたのです。私は質問しただけですが、注意したポイントがあります。
1 相手の意見を肯定する。
2 相手の立場に立ち、どうすれば相手が望む結果が得られるかを考える。
3 相手に答えを出させる。 

引用「いい質問」が人を動かす 谷原 誠 p179、180

このシーンは、著者が知人の子供(中学生)と親の意を受けて面談した後に出てきます。中学生は、将来社長になるという夢を持っていましたが、読んだ本に小卒で大会社の社長になった人の話があったようで、それをいいことに学校の勉強をせず親が困っていたとのこと。

1から3の手順はキャリアカウンセリングも同じですね。
自分が相手の立場になってみると、困っているから相談しているのであって、否定されてしまったらそれ以上会話したくなくなる。
相手の立場にたって、共感し、アドバイスする。
そして、私の意見を押し付けられた、となれば、人に命令されたのと同様に自尊心は傷つき長続きしないから、相談者が自ら決めた、となるようにもっていく。

相手の行動を変えるには

行動を変えるように言われると、それまでの自分が否定されるような気がして自尊心が傷つくのです。そのために反発するのです。
私たち弁護士は、犯罪を犯した被告人に会うために警察署や拘置所に行きますが、よく聞くのが犯罪者達の自己正当化です。「あいつがあのときあんなことを言ったから、こっちだって手が出てしまったのだ。あいつが悪い」「バッグから財布が見えていたら、取ってくれと言っているようなものじゃないか」などなどです。犯罪を実行しているのですから、誰が聞いても「あなたが悪い」と言うような行動をした人達です。それでも、多くの犯罪者は、「自分は悪くない」と自己正当化するのです。それが人間です。

引用「いい質問」が人を動かす 谷原 誠 p181、182

さて、自己正当化に邪魔をされずに相手の行動を変えるにはコツがあります。相手の自尊心を傷つけないことです。

引用「いい質問」が人を動かす 谷原 誠 p182

ここでのポイントは3つです。
1 相手の過去の行動を正当化すること。
2 過去の行動の理由とは関係ない理由によって行動の変更を迫る質問をすること。
3 相手が行動を変更したら、それを賞賛し、今後も継続するよう期待をかけること。

引用「いい質問」が人を動かす 谷原 誠 p184

具体的な例として、机の上が汚い部下の話が出てきます。
私も机が汚い人ですが、それなりに理由があるんですよね(笑)
だから、頭ごなしに「机の上を片付けなさい」と言われても、たぶんやらないか、表面上従うフリをして適当に片付けるでしょう。
相手の立場になって、相手の自尊心を傷つけない。まずは認める姿勢が必要だということ。
これはよく私やらかすのですが(笑)。
ストレートにメンバーに対して改善するよう指摘してしまいます。メンバーとしては、上司から言われたのだから従うしかないのですが、メンバーなりに理由はあるはずですよね。それを尊重すること。
そして、違う切り口で変更を迫る。これはセンスが問われますね。
最後に、指示通りに変更したら、すかさず賞賛する。これはちゃんと見ていないとつい忘れてしまいがち。大事ですね。

ポジティブ・クエスチョンに置き換える

先ほどの「なんでお前はこんなことができないんだ?」という質問をポジティブにするには、どうしたらいいでしょうか?
それは、まず質問に潜む価値観を抽出し、その価値観を満たすポジティブな質問に変換することです。「なんでお前はこんなことができないんだ?」という質問に潜む価値観は、「お前はできるはずだ」というところにあります。

引用「いい質問」が人を動かす 谷原 誠 p193

たとえば「なぜ俺ばかりがひどい目にあうのだ?」などと言う人は多いものです。このような思考をしていたらいつまでたっても成長しません。こんなことを言う人は他者に依存する性格のはずです。良いことも悪いことも、全て他から与えられるものであると信じており、自分から行動しようとしません。そこで、考え方を変えるか、行動を動機づけるような質問をする必要があります。

引用「いい質問」が人を動かす 谷原 誠 p194

どうしたら成果を得られるようになるか?どうしたら目標を達成できるか?メンバーを育成するにはいろいろと問いかけること、質問をすることが大事。否定的な質問をすれば相手は否定的に考えるし、肯定的な質問をすれば肯定的に考える。
メンバーの育成をするには、メンバーにポジティブに考えてもらう必要があるので、ポジティブ・クエスチョンを使って質問をしていくことが大事ですね。
メンバーの中には、まさに他者依存体質の人もいるので、考えや行動の変容を促すような質問を重ねていきたいと思います。
・どうすればもっとお客様に刺さるようになるのだろう?
・どうすれば結果が変わっただろうか?
・この状況を乗り切るにはどうしたらよいのだろう?
・あなたと同じことを思っている人は他にもいるのかな?

ここまで長文駄文をお読みいただき、ありがとうございました!

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