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貝殻

ホォン ホォン ホォン

響いてくる音に 貝殻は目を覚ます

遠い遠い昔

体があったときを懐かしく思いながら また眠りにもどっていこうとする

夢のふちに腰を掛けて あしをぶらぶらしようとしてから 気づく


そうだ、もう体が無かったんだ

体が無いのに 考えているのはどうしてなんだろう?


貝殻は 

夢と現実の真ん中でたちどまり

空白のときをあじわう


そこは空っぽで

少しの音でも ひびいて 

何倍にも大きく こだまする


貝殻は からっぽだ

からっぽって 悪くない 

いつか、きっと

そこに、なにかが入ってくるし

なにがはいるのかを決めるのは

貝殻なのだから





読んでいただき、ありがとうございます。 これからも楽しんでいただけるようにお届けしていきます!