SPIRITUS GARDEN
バルアトルケものがたりは読み聞かせられるように、と思って書いています
「バルアトルケものがたり」は読み聞かせられるように、と思って書いています。
「バルアトルケものがたり」は読み聞かせられるように、と思って書いています。 第Ⅱの20話をまとめました
バルアトルケものがたりv*9 アリィはポリッジを食べ終え、セオナルドに言いました。 「なんだかおかしな夢を見たの。なんだかよく覚えていないんだけど。 大事な夢な気がするの。」 「おかしな夢?もう一度みたほうがいいのかな?」 セオナルドは考えながら答えました。 「それならピリルのところに行こう。体がつらいなら、僕だけでも行けるけど、どうする?」 ソファーに寝ころんでいたルシスが口をはさみました。 「ピリルを連れてきたらどう?」 「だいじょうぶ。ゆっくり行くし。
バルアトルケものがたりv*8 ハーブティーの香りが部屋いっぱいに漂っています。 おかあさんは洗い場に立ち、洗い物をしています。 ルシスはケホケホしながら ハーブティーを飲んでいます。 「ぼく アリィの様子を見てこようかな。ちょっと心配だし。」 セオナルドが言うと 「そうね。起きているようだったら 朝ごはん食べるか聞いてみてくれる?」 おかあさんが答え、セオナルドは台所をあとにしました。 アリィの部屋のドアをノックして、様子をうかがいます。 返事がなかったの
ホォン ホォン ホォン 響いてくる音に 貝殻は目を覚ます 遠い遠い昔 体があったときを懐かしく思いながら また眠りにもどっていこうとする 夢のふちに腰を掛けて あしをぶらぶらしようとしてから 気づく そうだ、もう体が無かったんだ 体が無いのに 考えているのはどうしてなんだろう? 貝殻は 夢と現実の真ん中でたちどまり 空白のときをあじわう そこは空っぽで 少しの音でも ひびいて 何倍にも大きく こだまする 貝殻は からっぽだ からっぽって 悪くな
バルアトルケものがたりⅤ*7 セオナルドとルシス、おかあさんはポリッジを食べ終えました。 おかあさんがお手製のハーブティを準備しています。 おかあさんのハーブティはその日によってブレンド、割りあいがかわります。お天気や一緒に飲む人によっても変わるのです。 「今朝はみんながいつもとちがうからむずかしかったわ。」 おかあさんはハーブティをマグカップにそそぎながら言いました。 「わあ。いいにおい。おかあさんのハーブティ 大好き」 セオナルドはマグをのぞき込みながらいい
バルアトルケものがたりⅤ*6 それは波打ち際でのできごとでした。 砂と貝殻でアリィが夢中になって絵を描いているいるときのこと。 なんだか視線を感じ、目の前を見ると遠くの海面に白いものが見えたのです。 あれ?なんだろう? アリィが目を凝らしてみていると、その白いものは波にのって、ゆっくりと近づいてきました。 近づくにつれて、その白いものはイルカだとわかりました。 体がそれほど大きくないので、まだ子供のイルカです。 すぐ目の前まで来て、アリィを見つめています。
バルアトルケものがたりⅤ*5 セオナルドは元気よく帰ってきました。 もとはといえば、夢見が悪かったので気分を変えようと家を出たのです。おもいがけずピリルにも会えたので気分はすっかりよくなっていました。 空はすっきりと明るくなり、鳥の声が響いています。蜂たちも起きたばかりなのでしょう。ブーンと言う羽音が聞こえてきます。 家が見えるところまで来ました。煙突から煙が出ています。 おかあさんが起きてるな。ぼくがいないこと、きづいたかな? ドアを開けて、家の中を見ると、リビ
バルアトルケものがたりⅤ*4 セオナルドのおかあさんの朝はとても早くはじまります。 居間の暖炉の火をおこしてから、お湯を沸かします。ティーポットに茶葉を入れてお湯が沸くまでの間、暖炉に手をかざし、朝ご飯になにをつくるのかゆっくりかんがえます。 ところが、今日はいつもと違いました。居間のテーブルにマグカップがひとつ、そしてマグカップのとなりにはティーナプキンが丸められて置かれているのを見つけたからです。 「あら。誰かもう起きてるのかしら?」 おかあさんはひとりごとをい
バルアトルケものがたりⅤ*3 その日の夜中、アリィは目が覚めました。なんだか胸がむかむかして、頭もズキズキとしています。こんなに気分がわるいのは、かなり久しぶりです。すこしでも楽な体制をとろうと動いていると、物音に気付いたルシスが目を覚ましました。 ルシスは少しの間アリィの様子をみていましたが、具合が悪い様子なのを察してそっと声をかけました。 「アリィ、大丈夫?お水飲む?」 アリィは返事をすることもできずに、頭を振って、いらない ということを伝えようとしました。ルシス
バルアトルケものがたりⅤ*2 ふたりは森の奥の奥の大きな石の上に座りました。 空が青くひかって、ところどころに雲が浮かび、ゆっくりと流れています。 のどかな景色とはうってかわって、二人は真剣です。頭を寄せ合って話しをしています。 「そのゆめのなかは雪で真っ白だったんだ。ぼくは何かを探していたんだけど、何を探したのかはわからない。」 「雪かあ。ずいぶんと季節はずれだねえ。寒くはなかったの?」 ピリルの問いに、セオナルドは少し考えてから首を振りました。 「寒くはなか
バルアトルケものがたりⅤ*1 セオナルドは家を出てピリルの家に向かって歩きはじめました。じぶんの足元をみながら歩みに合わせじゅもんをとなえながら進みます。おかあさんが教えてくれたじゅもんです。 一歩足を踏みしめて ガ・オ・エ!ハ~! 一歩足を踏みしめて ガ・オ・エ!ハ~! 一歩足を踏みしめて ガ・オ・エ!ハ~! ハーツ!のところで空を見て、思い切り口を開けます。くりかえしているうちにおかしくなってきて、ハーッのあとにハハハと笑い声が自然に出るようになってきまし
バルアトルケものがたりⅣ*20 ピリルの朝の時間は瞑想ではじまります。ユニコーンのちからをのばすために必要な時間なのだ、とおとうさんユニコーンは言います。まだピリルの本当のちからが何なのかはっきりとしていませんが、毎日欠かさず瞑想を続けています。その瞑想のおかげで、ドラゴンのスカイ、ルシス親子と出会い、たすけることができたのです。 今朝も朝起きてピリルは静かに時間を過ごしていました。 白い世界にいます。まわりはぼうっと白く煙って視界はさえぎられています。光は淡く、ふわふ
バルアトルケものがたりⅣ*19 ぃぃやだー!! セオナルドは自分の声におどろいて目が覚めました。心臓がどきどきし、全身に汗をかいています。からだは緊張していて、なんだか自分のものではないような気がします。 ふうーっと大きく息をはきました。横になったまま、手のひらをてんじょうにかざします。部屋は真っ暗ではなくうっすらと光が入ってきていて、淡い光の中でセオナルドの手は、いつもより色白に見えますが、透明ではありません。 ・・・・よかった 消えてない。 セオナルドは、ほっと
バルアトルケものがたりⅣ*18 サクッ サクッ サクッ 雪を踏みしめる音が静まり返った木々の中、きこえています。 どこへいったんだろう・・・? 必死になって探していたのに、何を探していたのかわからなくなるくらい長い時間が経っていました。世界は白い雪に覆われて、それまでのすべての痕跡をみつけることはむずかしく、振り返っても見ることができるのは自分の足跡だけ。やみくもに歩き回っていたのか、いちめんに足跡がついています。 モノクロの世界の中で小さな赤い色をみつけ、ほっと一
バルアトルケものがたりⅣ*17 セオナルド達はアースのともだちの奏でるパイプのおかげで元気になって家に帰りました。 その日の夜のこと。セオナルドはふと目を覚ましました。窓辺がぼうっとひかっています。 なんだろう? すぐにおきあがらずに、よこになったまま見ているとそのひかりはゆっくりと近づいてきました。 その光の主はみたこともない、いきものでした。手のひらよりも少しだけ大きく、からだに厚みがなく、ひらべったくてひらひらしています。そのからだからぼうっとひかりがでている
バルアトルケものがたりⅣ*16 セオナルドたちが村のお祭りで聴いていた音は、細い笛や、木で作った木琴、太鼓、まわりの石をたたいたり、といった身近なもので作る音でした。それらの音も大好きでしたが、アースの友達が練習している楽器は見るからにちがっていました。袋のようなものから笛が何本も出ていて、わきに挟んでいます。アースの友達は頬をおおきくふくらませて音を出しています。 その音は張りがあり、ぴんとして空の中を飛んでいきます。 音がみえるなんて、びっくりだ セオナルドは思い
バルアトルケものがたりⅣ*15 ルシスが来てから、4人は森の奥の奥の砂地で遊ぶことが多くなりました。ルシスは毎日ルプアの木のところへ行き、スカイと交信するのです。ルプアの木がメッセージを伝える電話のような役目をしてくれるのです。 「おかあさんは、すごく大変みたい。地下の水脈を調べてみたらやっぱり流れがかわっていたって。なんとか流れるようになったんだけれど、ルプアはまだ元気がないって。」 ルシスがいいました。 「アースさんにも聞いているんだけれど、ルプアの木の記憶にアク