見出し画像

日記「朝のひととき」

「今日も一日無事でありますように」

いつからか私の口癖となった言葉。周りの反応も様々で、
「そうだね」と頷く者もいれば、「無事に決まっているよ」とほほ笑む者もいる。私は反応に関しては実際どうだっていい。ただ、本当に「無事であってほしい」だけ。一体だれが?何に?…

浅い眠りから目が覚めて、時計をみると朝の4時だった。
二度寝は無理そうに思えたので部屋の電気を点けるとテーブルにあった味噌汁の袋が目に入り、無性に飲みたくなった。湯沸かし器に水を入れてお湯が沸くまでの間、ふと思ったのはお湯なんてすぐに冷めるのにお湯が沸くまではなぜこんなに長く待ち遠しいのか、ということ。

それは私の「現在」の比喩として捉えてしまった。なにかを成し遂げたくて、駆られるように生き急いで、見失って苛々して、あっけなく冷める。「無事」とは言えない今。それなのに口では「無事でありますように」と言う。

ひっそりと静かなこの時間帯に味噌汁を飲みながら私の中になにかが出入りしていくのを感じた。それは冷静さかもしれないし、諦めなのかもしれない。私は今一度、この言葉の意味を思う。

「今日も無事でありますように」

さあ、一日がはじまる ぞ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?