路地裏

最近、もう全部諦めても良いだろうか、と思える理由を探して積み重ねているような感じがする。

梅雨を先取りしたような日だった。日が出れば暑く、曇り空で日焼けした肌は今もまだ熱を帯びている。
午後は門前仲町まで足を延ばした。大通りは混み合って雑多な印象だったけれど、一つ裏道に入れば、小さくて静かな街が広がっていて好感を持たせた。小さな個人店が並ぶ裏道の景色に、いつかの北千住を思い起こして少し心がきゅっとした。
富岡八幡宮の辺りまで出れば、門前町は商店と出店で賑わって楽しげだった。明日また来てみようかな。好きな街だった。

用事を済ませた夜。また裏道を、両側の店を眺め歩く。常連だけが座っているような小さなバー。ギネスの看板を掲げる店。仲間内で大テーブルを囲む空間、漏れ出す暖かな光。それらは全部、自分には手に入らないもののように思われた。やっぱり北千住の路地裏に似ていた。

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