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chilldspot MV「愛哀」-原作


1/19日に公開された、chilldspotによる新曲「愛哀」MV。今の限定的な愛と刺激を求める、歌舞伎町の女子大生を主人公に展開されるMVの総監督を、自身もホスト通いを続ける佐々木チワワが担当しました。
本作は、そんなMVの主人公である女子大生、マリナの物語。映像では書ききれなかった彼女の狂気を孕んだ人生を、読みながら楽曲も楽しんでいただけたらと思います。

「すぐ行くから、待っててね。」そう言われて店を出た後の歌舞伎町は思ったよりも冷え込んでいて私は目的地へと足早に向かう。「お姉さん、バー初回どうですか」「お姉さん可愛い!仕事探してない?」うるさい勧誘の声。「今日の店まじ渋かったね〜」「今日の初回はハズレ引いたね」「明日から出稼ぎマジで鬱」私と同じような服装で同じような人生をこの町で辿っていそうな女の子たちの声。その全てをすり抜けて、私は歌舞伎町のど真ん中にあるシーシャ屋に向かう。

板には私のような女の子達が注ぎ込んだ金額で輝いているホストが、「12ヶ月連続1000万over」などという数字とともにフォトショップで作り込まれた顔で笑っている。看板争奪イベントで私が高額をぶち込んだ結果、初めての看板となりやや緊張した笑顔を浮かべているのが私の担当ホスト、湊叶迴みなとかなえだ。彼の看板を過ぎたビルの4階がいつも私と叶迴が使うシーシャ屋だった。

深夜1時を過ぎたシーシャバーはホストに通う女性で溢れている。私みたいに1人でシーシャを吸っている子が何人もいて、待ち人であるホストと合流して楽しそうにしたり喧嘩したり、女の子同士で集まって担当の愚痴を言い合ったり。隣の二人組が、「私担当に限界来て、もう切る!って言ったらさ、電話すごくて。それも無視してたら担当が家に来て、泣かれてさ」「え、マジで?やば〜!必死じゃん」「お金も今までみたいに使わなくていいからそばにいて欲しいって」「えっ待って無理、それもう実質本カノ宣言では??」「いやでもさ、こっちもエースのプライドがあるわけで。担当の嫌なとことか全部話して、私もごめんねってお互い泣いて、んで結局仲直りシャンパンおろしてきた、80万現入です。」「カリスマで笑うんだけど。え〜いいな、なんか青春してるなぁ、私ももっとホス狂したいわ〜。」

彼女たちのいう「ホス狂をしたい」はきっとこの世界で主人公になりたいってことなんだろうな、と私は写メ日記を書きながら思う。今日の出勤中に撮った下着の自分、大学の講義の白板、叶迴とのまるで恋人みたいなツーショット。今の私の人生をそのまま写したような後ろめたさと矛盾を孕んだカメラロールを眺めていたら気分が落ち込んで、その時湧き上がってきた感情を何も精査せず、そのまま親指に乗せてSNSの海にぶちまける。

シーシャが運ばれてきた。住所を送ったラインにはまだ既読がつかない。時刻は一時半を回っている。嘘つき、すぐに来るって言ったのに。最近できた被りのところに顔を出してから、私のところに来るのだろうか。来るたびにテキーラ観覧車を卸して、ヘルプと騒いでバーみたいな飲み方をするあの下品な女。「飲み卓だから結構きついけど、単価上がるから。」確か叶迴はそう言っていた。私には明日の仕事に響くといけないから、とか言ってテキーラは全然飲ませてくれないくせにそんなこと言うから腹が立った。私の叶迴にそんなに飲ませないでほしい。酔った時の叶迴はいつもよりも甘ったるくなって、不意に私の耳を甘噛みしてきたりする。そんな姿を、あの女にも見せていると思うとよくない感情が湧き上がる。お金使ってイライラするなんて、私は何て馬鹿なんだろう。

やっときた叶迴はそんな私の不機嫌さを瞬時に読み取ったらしい。「お待たせ。」と言って席に着くと少し気まずそうに無言の時間が流れる。「今日店でバタバタでごめん。」「うん。」一番好きな人がせっかく作ってくれた時間なのに、こうやって子供みたいな拗ね方をしてしまう自分にも腹が立つ。私が手に持っているシーシャを「一口ちょうだい」と言って私の手ごと引き寄せて口をつける。ああ、ずっと顔を見ないようにしていたのに。結局私は叶迴のことが大好きで、その端正な横顔を見たら結局どうでも良くなってしまう。この男のために毎日知らない男に抱かれ続けていることも、出勤を詰め過ぎて大学の授業が疎かになっていることも、今こうやって叶迴の隣を勝ち取れた高揚感が全てを忘れさせる。

私も徐々に素直になって、叶迴にもたれかかる。そんな私の頭をゆっくりと撫でる。「いつも俺のこと理解してくれてありがとね。マリナが頑張ってくれるから、俺も頑張れる。マリナにはいっつも無理させてるよね。」「いいよ、叶迴だから私も頑張れるんだよ。」「今月も締め日、お願いできる?」「うん、今んとこ順調だし大丈夫。」そう。順調に私は若さと身体を男に消費させ、コツコツと金を貯めている。最初は綺麗な人だな、と思って送りにして、ラインもマメで電話とかしてくれて、悪いな、と思って店に一度足を運んで。私が会いに行って金を使えば使うほど、叶迴は私が欲しいものを全部くれた。私が求める気持ちは普通のバイトじゃ追いつかなくなって、「みんなやってるし、そう言う街だし」って自然と私もそう言う仕事を始めて、60分1万円でかき集めたお金を、10分のシャンパンコールで何十枚も溶かすようになっていた。

何気ない日常会話からお互いの過去の話、大学の話。何気ない話ができるのが嬉しかったのに、最近は締め日に使う金額の話とか、お互いの仕事のことばかり。友達とランチに行く時間があったら鬼出勤をしている私は、叶迴に「今日こんなことがあってね」と話すことがなくなっていた。私があのテキ観女を腹立たしく思うのは、私と叶迴の間に確かにあった何も気にせずただ楽しくホストクラブで遊べていた時代を思い出すからなのかもしれない。

昨日は結局、始発の時間まで叶迴は一緒にいてくれた。シャンパンを入れてないのにそうやって一緒にいてくれる優しさは、締め日までの「ケア」なのもわかってる。でも私はその地位を勝ち取った。毎月200万近い金額を叶迴に落とす私は、叶迴の好きな人にはなれなくても叶迴の失うと困る人にはなれている。

家について泥のように眠り、なんとか3限から出席する。1度歌舞伎町の服装のまま、オールで大学に行った日によくない噂を立てられた日から、大学ではできる限り目立たない服を着ていた。最初は大学生活に馴染もうと頑張って話しかけて作っていた友達も、今ではインスタのストーリーでしか交流をしなくなった。学校に来て、特に誰とも話さず軽い挨拶だけで終わる日も珍しくない。授業は今の私の人生に必要そうな情報は1ミリもなくて、私はスマホで叶迴の店のホスラブ、自分の仕事用、裏垢、ホス狂垢を巡回した後インスタに戻るというルーティーンで90分をやり過ごした。

授業が終わって階段を降りていると、5月ごろまで一緒に授業を受けていた2人とすれ違う。軽い挨拶を交わした。彼女たちはこの後サークルでのマネージャー活動に精を出すのだろう。私は足早に電車に乗り、横浜の事務所に出勤する。少し都内から離れている方が万が一同級生に呼ばれることは少ないだろうという根拠のない理由で神奈川まで出勤するのが億劫だったが、待機所が綺麗なところは気に入っている。完全個室でロッカーもある在籍は私の第二の生活拠点だ。仕事で使う安い化粧品、身バレを防ぐためのウィッグ、無駄に高い下着なども全部ここに置いてある。風俗嬢としての自分は、この1畳にも満たないスペースとSNSのアカウントだけに閉じ込めておきたい。家にいる時やかなえといるときに、そう言う仕事をしている自分を忘れたい。

今日は本指名が2人と、写真指名が3人。短い出勤時間にしては上々だ。1人プレイがめちゃくちゃ乱暴な人がいて、痛い、嫌だと言ったのにやめてくれなくてさらには無理やり入れてこようとするから最悪だった。少し前の私だったらしばらく落ち込んだりしていたが、最近はもう金がなんか喋ってるな、としか思わない。店に電話をかけるふりをしてブチギレて、正座させて謝罪させた上で5万もぎ取った。これで今日の稼ぎは10万。我ながら天才かもしれない。

私は笑顔でXを立ち上げ「今日のラス客マジでクソ過ぎてガシマンだし本強エグ過ぎたから店に電話するふりで喚いたら焦って謝ってきてた、言うこと聞いてれば普通にこっちも笑顔で接客したのにね。当たり前にヤクザなので5万カツアゲした❣️」「なんで客って自分から嫌われるようなことするわけ?金払った上で嫌われるとかどういうお笑い?」と呟いたところで、最後の文章は不覚にも自分にも刺さって自嘲が溢れる。まあ私だってたかが数万なら痛くならないわ、毎月3桁使ってて痛くならない方がおかしいもん、と正当化する。私の日々はいつだって矛盾に溢れている。

締め日まで10日を切った。手元には90万。予定では120はあるはずだったが予定が崩れた。パパの予定のキャンセルと、デリヘルでの連日の暇具合。稼げていないことを叶迴にはバレたくなくて、連絡はあまり返せていない。

サイトに並ぶ、同じような加工を施された下着の女たち。ちらほら空いている子もいるが、恐らく今日一番店で暇なのは私だった。どうして。今の店に受かりたくて3キロ痩せた。ロングの方がウケがいいからウィッグも買ったし、写メ日記だって毎日あげている。やりたくもないSNSで「本日もお仕事楽しかった」なんて嘘をついて、際どい写真を自らアップし続けている。ここまでしても、私は誰からも指名されないの?私ってそんなに無価値?こんなことまでして、それでも、それでも需要がないの?暇という事実は、私の精神を確実に蝕む。結局その日は2本で終了。出会い喫茶か立ちんぼでもしてプラスで3万くらい稼ごうかとも思ったが、今の私にそんな余裕はなかった。

コンビニでスト缶を買い、家までの少し長い道を飲みながら歩く。家に着くと残りの半分の酒と咳止め薬を1箱飲み尽くす。何も考えたくない時、思考を停止したい時にはいつもこの方法に頼っていた。ぼんやりとした頭でスマホを触る。ODしている時のふわふわした感情を書き溜めたアカウントは、我ながら笑ってしまうくらい支離滅裂だ。鍵垢でフォロワーは数人。私の綺麗も汚いも全部吐き出せる唯一の場所。叶迴との思い出も、叶迴がしてくれて嬉しかったことも全部ここに残ってる。同じようにODして歌舞伎町の屋上でふらふらしてた私を迎えにきてくれた日のこととか。指名して少しした時に売掛をしてシャンパンを卸したら、青伝にメッセージを書いてくれていたこととか。

ラインで嬉しかった言葉をスクショして何枚も載せている。そんな過去の幸せな思い出を見返しながら、いつの間にか眠ってしまっていたようだった。

朝方に帰宅して、起きたのは18時過ぎだった。叶迴から不在着信と心配の連絡が何件も来ていた。「ごめん、ちょっと病んでて。」そう送ると、すぐに既読がついた。「大丈夫?」「あんまり。」「今電話できる?」「うん。」少しして電話がかかってくる。
「マリナどうしたの?」優しい声色に泣きそうになる。
「最近連絡くれないから寂しかったし心配したよ。」
「ごめん。」
「何かあった?」
「…あんま稼げてなくて」
「…そっか。」
「目標額いけてないから、会いたくても会いにいけないし。稼げてないっていうのも恥ずかしくて距離置いてた。ごめん。」
「理由聞けて安心したよ。でも何も言わないから不安だった。」
「…うん。」
「俺のために頑張ってくれてたんだね、ありがとう。」
「…うん。」
私のことを見てくれて、私の努力を認めてくれるのは、やっぱり叶迴しかいないのかもしれない。

「マリナは頑張り屋さんで真面目なのはわかるけど、あんまり無理しちゃダメだよ?無理な時は無理って言ってくれていいし、相談してくれていいし、愚痴も聞くし。息抜きで楽しいことする時は付き合うし。」
「うん、ありがと。」
「…じゃあ、そろそろ支度するから切るね。」
「うん。電話ありがとうね。私頑張るから。…大好き。」
「ん、俺も。」
電話が終わり、私はLINEを打ち込む。
「愚痴聞いてくれてありがと🥲🥲」
すぐに返事は返ってきた。
「いろいろ大変な中頑張ってくれてるからこそ出る不満や愚痴はいつでも聞くよ😢」
「うん、締め日までちょっと寂しいけど頑張るね」

私は一つ、駆け引きをした。もし今日店に呼んでくれたら。昔みたいに、私が会いたくて、幸せになりたいときに叶迴が幸せにしてくれたら。締め日の目標額はいかないかもしれないけど、それでも叶迴が私の気持ちを優先してくれたら。

淡い期待を胸に、シャワーを浴びる。急いで上がったのに返事が来てなくて落ち込むが、YouTubeを観ながら髪を乾かしていたら通知が来た。

「俺も寂しいし今日逢いたいな」

速攻でスマホに文字を打ち込む。

「えっいいの🥺いこかな🥺ちょっと締め日の金額不安になっちゃうけど😢」
ちょうど打っている時に叶迴から追撃で「締め日も楽しみだよ」と来ていたが、私の返信を受けて

「まずは今日楽しもう🥺❤️‍🔥時間あるし沢山つけそう!その後も一緒にご飯とか行こうよ✌️」と返ってきて、私は昨日までのぐちゃぐちゃした思考も、締め日の不安も、全部どうでも良くなってしまった

「え!うれしい!今から行くね!」
絵文字も打つ余裕がない私は慌てて支度をする。叶迴に「俺の黒い服とコーデ合うね」と言われてから、店に行く時はいつも地雷系の服で、私の中では正装でありお守りのようなものになっていた。

ドアも閉めず、タクシーに駆け込む。締め日に使うはずのお金を私は生身でリュックサックに全額ぶち込んだ。楽しい日に勢いで使うお金が一番楽しい。多分叶迴は怒るのかな。使わせてくれないかな。タクシーがキラキラとした宝石箱のようなネオン街にたどり着く。何時にきてもここは明るくて、人がたくさんいて、それでいて孤独が増す景色をしていた。

煌びやかな階段を降りて、席に座る。叶迴がくる前に今日は飲む気分、ってアピールがしたくてショットを頼んだ。「今日は飲みべ高め〜!」とわざとらしくヘルプに伝えて、次々とグラスを空ける。戻ってきた叶迴は少し驚いてたけど、「こうやってマリナと飲むの久しぶりだね」って笑って乾杯してくれた。それだけで私は十分すぎるくらい幸せで、もう今日のことしか考えたくなくなった。

気づけばラストオーダー直前。多分今の会計は15万も行かない。手元には100万少し。手元には十分な戦闘力があるし、今日高額シャンパンを卸しそうな客はいない。締め日はほとんどのホストのエースが高額を使いにくるから、私と叶迴だけが目立てるわけじゃない。でも今日使ったら、今日ここでの主役は私たちだ。

「ラストワンセットもらっていい?」
叶迴が戻ってきて、伝票を見ながら私にいう。けれど私の目は、店に常に置かれているタワーに釘付けだった。
「やだ」
「え?」
「あれやりたい」
「…マジで言ってる?」

普通はホストの特別なイベントで、凝ったデザインで作られるシャンパンタワー。店に常に置いてあるものは飾りとしての意味が強いけど、やろうと思えば小計100万でできるって前にヘルプが教えてくれていた。

「通常日に常設タワーとかめっちゃ面白いじゃん」
「まあ…」
「やったことないこと、かなえとやりたい」
いつになく強くいう私に、「今手持ちいくら?」と聞くかなえ。「100万ちょい。お願い。」

仕方ないなぁ、という顔で笑う叶迴。私は彼の困ったような照れ臭そうな笑顔が大好きなのだ。

店の中央に運ばれてくるシャンパンタワー。準備が終わり、音楽とともにタワーが始まる周りのホスト達が自分の客を置いて、私達の席に集まってくる。こっちをぼうっと見る客もいれば、すぐにスマホに目を落とす客もいる。今この瞬間、ホストクラブの全ては私たちの為にある。

ヘルプに促され、2人でシャンパンを上から注ぐ。まるでケーキ入刀みたい。2人でドボドボと注ぐほとんど飲まれないシャンパンの匂いが私の全てを酔わせていく。横で笑顔でシャンパンタワーを見る叶迴。たとえそれは流れているお金に対する笑顔だとしても、その笑顔を引き出したのは私という絶対的な安心感が、私の口角も上げてくる。

マイクを通して、店に響き渡る私の声。「締め日に使う予定だったお金全額溶かしました〜〜!でも私はカリスマなので締め日もちゃんと使いまーす。担当ワガママ聞いてくれてありがと、大好きですよいちょ〜!!」べろべろの私はいつになく饒舌で、お金を使って握ったこのマイクを通せばなんだって言えるような気持ちになっていた。そんな私からマイクを取り上げて「この痛客」って低い声で耳元で叶迴が囁く。そのやりとりをぐるりと囲んだヘルプが見ている。今日の主役は私。今日を一番楽しんでいるのは私。高揚感はシャンパンと共に身体に染み込んでいく。

叶迴がマイクで何を言ったかあんまり覚えてない。いつも通りの変哲のないことを言っていた気がする。でも来月もよろしくとか、そういう私たちみたいな不安定な関係が、当たり前に続くと思ってくれていることが嬉しかった。

二日酔いの頭で起きる。記憶が抜け落ちている。私は昨日160万少しを使った。手元には62万の青伝票。私がお金で愛を伝えた借金の覚書には、叶迴からの返信が書かれていた。こういうキザなところも憎めない。私はその伝票を棚に飾り、後ろを振り向く。べろべろの私と一緒に帰ってきた叶迴は、綺麗な顔で眠っていた。ぐちゃぐちゃで汚くて白を基調とした部屋に、1人だけ真っ黒な男が寝ている。この時間を買うために私は昨日大金を使ったのだろうか。そんな価値はあったんだろうか。そんなことはわからない。多分また明日から働いている時にふと、「もうあんなバカな真似はしない」って後悔する。でも私はバカだから、また結局そういう夜と、こういう朝を繰り返す。

「大好き。」そう心の中でつぶやいて、私は無音モードで叶迴の寝顔をこっそり撮影する。

どうか、どうか私がこの写真を、ネットの海にぶちまけてしまう日が来ませんように。




あとがきと裏話と個人的な想い

何度も曲を聴きながら、自分の過去の出来事だったり歌舞伎町の誰かに思いを馳せながら執筆しました。この曲が歌舞伎町の深夜のアフターバーで歌われる定番ソングになることを願っています。

出演した湊叶迴くんは現在2億円も売っている一流ホストなのですが、小説とMVに出ている彼は1億売る前の副主任あたりを想定しています。「コイツこんだけ仕事できたら売れるよな」と二人で話しながらMVのLINEの文面は作りました。マリナと叶迴が数年後も一緒にいれるかはわかりませんが、お互いが歌舞伎町という消費のサイクルが早い街で若さを燃やして生きた時間は、お互いの記憶に残っていてほしいと思います。

撮影中、ホストに通ったことない製作スタッフさんたちが「これはホストハマる気持ちもわかるかも」と言っていただいたことが個人的にはすごくうれしかったです。愛本店のシーン、お客様によってテーブルの注文しているドリンクが違ったり、毎回テキーラ観覧車を頼んでいる女の子が叶迴と乾杯しているときとテーブルでひとりぼっちなときのテキーラの煌めきが違うように見えたり、ホストに通ったことのある女の子なら誰かしらに自分を重ねることができるのではないでしょうか。(ちなみにチワワもお客さんとしています。自分でも見逃すレベルで一瞬です。)

今回はホストに通う女子大生を焦点に宛てましたが、自分が価値があると思ってお金をかけているものが人にはそれぞれあると思います。それは数年後には無価値に思うかもしれないし、バカなことをしたと後悔するかもしれない。周りの人に理解されないかもしれない。それでもその時の自分には必要な栄養素であり時間であったと、誰もが自分の「好き」と「必要」を肯定して生きていくことができればいいと思います。

…MVみていたらホスクラ行きたくなってきましたので、この辺で失礼します。改めてめっちゃいいMVなので観てね!!!(カメラワーク天才過ぎてプロの仕事に感銘を受けました)


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