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辺境について考える

 辺境とは「中央から遠く離れた場所、くにざかい」のことだ。例えば宮本常一の『辺境を歩いた人々』で取り上げられた辺境は、八丈島や北陸、蝦夷、沖縄などで、どれも中央から遠く離れている。ここ蝦夷はつい最近まで正確には日本に属していなかった事実に驚くべきだろう。


 150年前にようやく和人が移住し始めた蝦夷、つまり北海道の、そのまた東のハズレに位置するこの地は辺境以外のなにものでもない。ということは、いまだ開拓途上だともいうことができる。戦後は終わった、かもしれないがこの地ではまだまだ開拓は終わっていない、進行中なのだ。
 そう考えるとワクワクしないだろうか。完成され手を加える余地のない場所など魅力的ではない。都会は便利だが、あなたが手を加える余地はあるだろうか? しかし、ここではあらゆるところで、あなたが手を加え、関わってくれることを待っている。


 ひと頃の言葉でいうと、ハードの開拓は大体済んでいるが、ソフトの開拓がこれからなのだ。生活の質を上げる構想力と妄想力のある移住者が、少しずつだが増えている。次からは、そんな移住者の声を拾っていきたい。

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