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さよならの向こう側。

もしも、犬が話せる動物だったら。それも大阪育ちのわんこなら、間違いなくわたしがボケでgooはツッコミ役だっただろう。

たぶん、こう言うてるな。そんな想像をしながらともに生活していた。ある意味、相方だったのかな。お互いが妙に天然らしきものを持っていた。

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2019年7月1日 gooはお空組に逝ってしまった。

二日後の朝、友人に教えてもらったお寺へ連れて行き供養してもらうことになっていた。

それまでの間は、いつものように愛用のベッドに寝かせ、保冷剤で囲いタオルを体にかけていた。蒸し暑さもあり、耳には小さなコットンを入れ、おちりにも被せる。人間なら鼻にも詰めるが、小さな鼻には息苦しそうでやめた。

エアコンはつけっぱなし、身体も冷えひえになっている。これで大丈夫だ。冷たく硬直したgooをわたしの右側におき、ふた晩一緒にねた。

その時がくるまで、ぎりぎりまで抱っこしたい。ギリッギリまで触っていた。ダンボールにgooを寝かし、花やおもちゃ、おやつと手紙を入れた。

小さなダンボール箱でやってきたgooが、今度は小さく丸まってダンボールに入っている。想像なんてしていなかった光景に、気が遠くなり体が浮きそうになっていた。

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助手席で小さな箱を膝に置く。はこ、冷たい箱を覗くと、花に囲まれたgooがいる。身体は覚えている。わたしの膝の上で立ったり座ったり、ごそごそと丸まり、すやすやと眠っていた。そのなんとも言えない温もりを、身体は忘れないのだ。

この先も、車に乗るたびに記憶が蘇る。あの小さな温もりを抱いた時の重さも、膝の上の感覚も触れた時の感触も、みんなみんな身体は覚えてる。薄れることも、消えてしまうこともないんだろう。たぶん、おばあちゃんになっても、いいあんばいに覚えてるはずだ。

そんな、あったかい感覚を持てた私は幸せだ。だってずーっと覚えてる温かさをもらえたのだから。ずーっと寂しくないように、小さな犬が教えてくれました。

その先にあるものは、喪失感だけじゃないんだょ。いままでよりも羽、広げないともったいないょ。まだまだ走れるぜ、お姉ちゃん。

また、いいように自分は受け止めた。

車がお寺に着いた、話には聞いていたが「ほんまにここ?」古民家のような小さい佇まい、何やら貼り紙だらけで、ほんのちょっと不安にかられた。

どうぞ、こちらから。中からぽっちゃりした住職さんが出迎えてくれた。

このお寺は、元々は人間の為に造られた。だが、ある時そこへ愛猫の供養をして欲しいと訪ねてきた方がいた。住職はそれほど猫は好きではなかった。それでも、その方が愛情を持ち、家族と同じように供養を望んでいることは、人間も動物も同じなんだと気付き受け入れることになる。

それから、あれあれと言う間に猫や犬や鳥たちが供養をしてほしいと、お寺を訪れる人が増えたらしい。

それだけなら、あー人間と同じように真摯に対応してくれるから、評判が広がったんだなと思う。

ただ、これだけではすまなかった。毎日のように玄関先に段ボールに入れられた子猫や、飼えなくなったのでお願いします、と書かれたゲージが置かれていた。

あまりに後を絶たないので、何匹かお寺で面倒をみているという。そのうち防犯カメラも取り付けたり、貼り紙で対応していた。その後、平成25年大阪市に動物愛護、管理条例が執行される決定がくだされた。

以来ぴたりと、玄関先に段ボールは置かれなくなった。そんなはなしを聞いたのは、gooをお寺へ連れて行った時、住職さんがポツポツと話してくれた。

あの貼り紙は、その条例のことが書かれた記事を貼ってたのか。こんな時に、ひとしおに納得している自分は案外冷静に周りはみえていた。

中に通され、名前や住所を記入しgooが入った箱を机の上に置いた。わたしと夫は、その後ろに座りお経が始まるのを待っていた。

ん?わたしの足元に1匹、横に1匹、ぷくぷくとふくよかな猫たちが何匹も集まっている。

保護猫はいったい何匹いるのだろう。心の声が聞こえてしまったのか、住職さんが「これでも少なくなったほうです。」と応えてくれた。

そのあと、手を合わせお経が始まった。目の前で行われてることが現実じゃないような、遠くからお経が聞こえてくるように、身体から力が抜けるのを感じていた。

お線香の煙りにまかれ、このまま目を開けなくてもいいのなら、あと何時間か閉じていたかった。

そのあと、焼き場で待機しているが、ご自身で連れて行かれますか。それともこちらで済ませ骨壺に入れることもできますが。

即答でした。自分たちで、焼き場へ連れていき骨をひらい骨壺に入れたいと申し出た。

また、膝の上に乗せ「もうこれが最後、一緒に車に乗れるのは最後やから。」いぬバカは、どうしようもない。あの日から、どうしょうもない。

車で20分ほどの山間に住職さんの息子さんが待つ焼き場があった。

今日は長すぎました。また、書きます。

今日もいちにち、ありがとうございました☻





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