嵐のような

「ねえ、いこうよ行こうよ、連れてってよ」
「な、なんだお前、どこから湧いてきた?」
「いやあねえ、けがらわしいものを見るような目でみないで」
「だってこの部屋にはぼくしか居ないはずなのに」

「ずいぶんと細かいこというと嫌われるぞ」
「だってきみはこの部屋に居るはずがないのに」
「へええ、ここにいないと本気で思っているのかな」
「どこからどうやって現れたか頭を悩ませているんだ」

「気にしないきにしない、ささいなことだと言っているでしょう」
「もっとも気になることだし、なっとくしたい気分なんだよ」
「もうしょうがないなあ、じゃあ帰る」
「ええっ、今のはいったいなんだったんだ」

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