別名:おまけのシール
気付けば長い付き合いで、
手札は一枚ぽっきりだった。
"書く"
誰にだって経験のある、
誰にだってできてしまうこと。
そのたった一枚を時には傷付けながら、
ポケットにしまってここまで歩いてきた。
ぼろぼろの"書く"だけ。
ギターを弾いても、
絵を描いても、
おもちゃを手作りしても、
スポーツをしても、
写真を撮っても、
料理をしても、
しっくり来なくて置いてけぼりにした。
そうやって手元に残った、
"書く"
それだけがどうやら自分というらしい。
汚れて破れて、霞んだ文字の小さな手札だ。本当に、仕方がない。