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オカマバーに行った話

少し前に人生で初めてオカマバーに行った。

女性に振られて精神的にボロボロになり、半分ヤケになって行ったのだ。


少し敷居の高いように思われたが、入って観るとけっこう楽しいところだった。


「ウチは一時間5000円で飲み放題、揉み放題だよ!」


一瞬「どこをだ?」と思ったが、深くは考えなかった。

ちょっと怖いから。


入って席に着くと、バーの1人のホステスが相手をしてくれた。

確かによくみれば男性だが、なかなか綺麗な人だった。


正直失恋を慰めて欲しいのと、勇気づけて欲しいので入ったオカマバー。

性の不一致によって苦労もあったろうに。

苦しいこともあったろうに。

絶対に失礼や傷つけることがないようにと、気を引き締めていた。


ところが実際に話して観ると、彼女らはすごく強かった。


「あそこを手術した! あそこで手術した!」

繊細なことなはずなのに、私にガバガバと笑って話をしてくれる。

あまりにも豪快にはなしてくれるので、私もつられて笑ってしまう。

気づけば落ち込んだ気持ちなど吹き飛んでいた。

「辛いこともあるけど、大体は一晩寝れば忘れちゃう。

あなたも忘れちゃうことよ」


そんなふうに、笑いを交えて励ましてくれたのだ。


気づいてみれば強いのは当たり前かもしれない。

思い切って男性から女性へと転身できる人たちだ。

弱いわけがないのだ。



私は一種の尊敬を覚えた。

繊細な部分ももちろんあるだろう。

触れてほしくないところに触れられることも当然あるだろう。

だが彼女らはしなやかにそれをいなしてゆく。

自分の強さにしてゆく。


私は彼女らから大切なことを教えられた気がした。

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