えぞふくろう

北海道と札幌が大好きです。

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最近の記事

釧路でSLに乗った話

もう一ヶ月以上経ってしまったけれど、一月に釧路に行ってSL冬の湿原号に乗って来た。 札幌に数年住んでいたとはいえ、釧路は初めてだったので楽しかった。 何をしに行くわけでもなくただ釧路行きの飛行機を取ったのだけど、冬の釧路でやることといえばまずはSLに乗ることだろうということでSLのチケットだけは買ってから行った。 特に鉄道好きというわけでもないのだが、黒い煙を出して雪原を走る姿はかっこいい。 釧路標茶間を走るこの列車、車窓からは思わぬ景色が見られたりする。 人工物に囲まれた

    • 大人になって観た『千と千尋の神隠し』も特別な映画になりました。

      私が子ども時代を捧げた映画、『千と千尋の神隠し』。小学生の頃すでに全セリフを覚えていた。いつも何度でも暇さえあれば見ていたのでいったい何回見たのかわからない。どれくらい見ていたかというと、誕生日に千尋のプレートをサプライズしてもらったほどである。けれどもしかすると就職してから見たのは今日が初めてだったかもしれない。 いや、しみじみいい映画です。今でもセリフはほぼ映画と同時に言えた。子ども時代の努力の賜物である。こんなに何かに夢中になることは、きっとこの先もうないのだろう。最

      • 首都圏に生まれた特権性ってなんだろうか

        東京にいるとさまざまな文化的機会を享受でき、しかも首都圏生まれの人間はそれに無自覚である。というのはよく言われることだ。 私も都内ではないが首都圏と呼ばれる範囲の生まれ、でも寂れた住宅街や畑、広い駐車場に囲まれた土地でそんなに都会ではなかった。 私は18年東京に隣接した他県のその市で育ち、4年間札幌で暮らし、就職して東京で4年になるのだが、もちろん一番価値観が広がったのは札幌での4年間だった。知らない土地で、知らない人たちに出会い、大切な記憶をたくさん産んでくれた時間。自分が

        • 無音の札幌で聞いた冬の音のこと。

          北海道が好きだ。これはもう揺らがない。 全市町村に行ったわけではない。それほど詳しいわけじゃない。寒さに強いわけでもない。車の運転もそんなに得意じゃない。 じゃあ北海道の何がそんなに好きなんだろう? よく「北海道の魅力◯選!」みたいな記事や動画では、食べ物が美味しい、観光名所が多い、夏涼しい、物価が安い、自然豊か…のようなことが言われている。しかし僕にとっては何か違う。食べ物が美味しくて観光地が多くて物価が安いから北海道が好きなわけではない。 ではいったいなんなのだろう。

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          クリスマスイブのおばあさんに幸せを分けてもらった話

          クリスマスイブ、インフルエンザ明けの私は仕事関係でちょっとした用事があったので少し出かけた。まる四日間引きこもってほとんど寝て過ごしていたのでなんだかめまいがするような、ふらふらの状態で電車に乗った。 電車の中には若いカップルの男性に激怒しているおじさんがいた。なんだか、新宿駅で乗車時に抜かされたとか蹴られたとかで、席も空いているのにずっと怒っている。普段だったら「抜かされたのだとしても、ここで大声を出して周りを怖がらせていい理由にはなりません」とかなんとか言って(第三者が

          クリスマスイブのおばあさんに幸せを分けてもらった話

          映画『君たちはどう生きるか』とジブリ映画の狂気

          インフルエンザにかかっていた。非常につらかった。いつぶりだろう、社会人になってからは初だし、大学時代もあまり記憶にないのでもしかしたら最後にかかったのは高校生の頃か…。高校時代、懐かしい。文化祭の準備が特に好きだった。ああいう、みんなで喋りながら工作する時間はもう戻ってこないのだろう。幸福な時間だった。ダンボールとガムテープとペンキの匂いがまざって甘やかに香る教室で、日が暮れるのにも気づかず作業していた。 病の床に伏していた時間、米津玄師の「地球儀」をなぜか聴きたくなり、ず

          映画『君たちはどう生きるか』とジブリ映画の狂気

          映画『正欲』を見て考える自分の欲望

          毎日更新するつもりだったのだけれど、木金土となんだかバタバタしていて書けていなかった。くたびれ果てたまままた月曜日に突入する。毎週律儀にやってくる月曜日にうんざりもするが、月金で“普通”に働き、社会に適応している(少なくとも適応しているように振る舞う)ことにより、そうでない場合と比べれば想像することもできない何かを得てもいるのだろうと思う。 そんなことをこの深夜に考えているのは、昨日見た『正欲』という映画の影響を受けてのことだ。朝井リョウはデビュー時から注目を集めていたし、

          映画『正欲』を見て考える自分の欲望

          ここは編集者として生きる道。夢を叶えて思うこと。

          僕が大好きな北海道を去って東京に就職したのは、出版業界に入りたかったからだ。出版社の就活はとても厳しくて、かなり苦労した。僕は小説を読むことが好きだったので、総合出版社と呼ばれる会社と、文芸版元と呼ばれる会社を中心に受けたのだが、それはそれは長い道のりだった。…というのは語ればいくらでも語れるが、またそれを知りたい人が現れたときに話したいと思う。 特に優れた能力を持っているわけでもないが運よく拾われて、次の三月でもう社会人生活も四年になる。過ぎてみればとても早い。 同期の中

          ここは編集者として生きる道。夢を叶えて思うこと。

          北海道の冬と“根雪”のこと

          今日、札幌に住んでいるとても大切な友人(先輩)からLINEが来た。 「〇〇くん、根雪ですね。札幌、根雪です」 「根雪」という言葉、関東で育った僕にはあまり馴染みがなくて、札幌に引っ越した時に知った。根雪とは春になるまで溶けない雪のこと。積もって溶けてを繰り返しながら冬は深まってゆき、「根雪になった」と聞けば人々は本当の冬の到来を覚悟するのだ。 道外から、特に首都圏から来た身からすると、北海道にはとても豊かな方言がある。「なまら」は有名だけどあまり使っている人は見ない。おそ

          北海道の冬と“根雪”のこと

          人生を送る土地を考えたい

          北海道に住んでいた。学生時代、四年間だけ。 もともと首都圏出身で、大都会というわけではないけど、なんの不便もない場所で育った私は、なぜか北国に憧れた。 高校生の頃だったか、JRの「行くぜ、東北」の広告に惹かれて、幼馴染たちを連れて真冬の鳴子温泉へ、青春18きっぷで行ったこともあった。 だから、高校三年生の僕が北海道の大学に惹かれたのは当然のことだったと思う。 親の反対を押し切って(いま考えればただ単に息子が18歳にして家を出て行くということが寂しかったのだと思う)、一人で札

          人生を送る土地を考えたい