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あめんぼあかいな、あいうえお

こんばんは。宵待と申します。妖怪です。昼間は、人間のフリをしています。

不思議なもので、こうして一人でいると、昔のことが蘇ってきます。

また、死ぬのか……。

今日浮かんできたのは、そんな記憶。
あ、でも安心してください。そう思う宵待の目線の先には、台本がありますから。
そう。これは、演劇をやっていた頃の記憶。といっても、プロではありません。部活として、三年間行ってきました。

今思い返してみても、演劇をやるようになったのは異様なことです。だって、ずっとテニスやってたし。(レベルとしては、ROUND1に行ってテニスをやっても、『本当にテニス部!?』と言われるぐらいです(笑))
なので友達からも、先生からも、「なんで?」と散々言われました。

なぜでしょう……?

確かきっかけは、好きな俳優さんが出ている特番を観たことをだったと思います。
それまでの私というと……
「運動部は大変そうだし……。かといって、文化部に入れるほど器用でもないしな……。マネージャーでもやるか。」
とまぁこんなかんじで、進学後の部活動に関しては何も決まっていませんでした。

そんなときに観たのが、ある劇団の歴史を追っていくという特番でした。その時は何も考えずに観ていましたが、見終わったあと、ふとこんな考えが浮かんできたのです。
「演劇もありか……?」
なぜ?なぜこのようになったのでしょう。未だに分かりませんし、あのときも分かっていないと思います。しかし、「演劇」という選択肢が加わったのは確かです。

そして、決定的となったのは、弟が借りてきた大衆演劇のエッセイを読んだこと。そこには、裏方の視点から演劇について語られていました。

「おもしろそうだな。」

素直にそう思いました。
何が私をそこまで動かしたのか、定かではありません。しかし、「物語を作ってみたい!」という熱がこの頃からあったのだと思います。
あと、これができるのは学生のうちしかない!と思ったことも大きかったですね。

そして、そこからは揺るぎません。あらゆる方々に、「私は、演劇部に入る!」と宣言してまわっていました(笑)

そうして進学し、気がついたら、演劇部の一員に。
そんな私に待っていたのは、楽しい演劇ライフ!
……というわけにも行きません。

まず、演技が全くできない。当たり前です。だって、演技なんてやったことがありませんから。あ、でもちょっとだけ自慢すると……テニスで培った声のデカさだけは褒められました(笑)
でもそれだけ。声の抑揚のつけ方、動き方、間のとり方、すべてが上手くいかない。

それに、台本も書けない。キャラが、言うことを聞いてくれないんです。作者に似て、話が長い……(笑)
『これじゃあ、60分に収まらないよ。』
と、序盤の序盤で言われてしまいました。

そして一番つらかったのが……やる劇みな暗いこと。
かつては、『ギャグの〇〇!』の異名を持っていた、我が校の面影はどこへやら。なんせ、劇の内容が暗い!あと必ずといっていいほど、人が死ぬ。
私が初めて演じた役も、いじめっ子でした。(ちなみにこの劇も暗くて、審査員の方々に『照明からSEまで、暗い雰囲気だね。』と書かれたほどです。)
あとは、殺したり殺されたり、そんなかんじ(笑)

そんな劇に嫌気がさしていた私は、とにかく「死ぬべきではない!」というアンチテーゼで台本を書きまくります(笑)
それが信念だったのか、泥沼にハマったのかは分かりません。まぁでも、原動力だったのは確かです。

そんな私ですが半年経った頃、ある機会をいただきました。私の台本が、次の公演で上演されることが決まったのです。
缶詰になりながらも、半年かけて書き上げた最初の作品。そう、『60分じゃ収まりきらないよ』と言われてしまった、あの作品です。

やりたいこともたくさんあったので、演出も買って出ました。もちろん、初挑戦。

しかし……まぁ、これが上手くいかない。

演出って、すべての指揮を任されます。大道具、小道具、照明、音響、衣装。それから、役者が上手と下手どちらから出てきて、どちらにはけていくのか。他にも、役者と道具の立ち位置も決めます。演技指導はもちろん、会場のスタッフさんとの打ち合わせなんかも、演出の仕事。

なので……
『宵待〜!これどうなってんの?』
『これは、どうすればいい?』
な〜んてのが、日常茶飯事。正直、脳みそ半分壊死してました(笑)

でも、様々な方々の支えもあって、なんとか当日のカーテンコールまで終えることができました。
本当に、当時の皆様には感謝しかありません。

そんな私の作品。ちょっとだけ、種明かしをさせてください。(誰にも、言えていなかったので(笑))
この作品は、星野源さんの楽曲「ある車掌」から着想を得たものです。実はこれ、私がいじめっ子を演じた作品へ向けた、私なりのお返事。くわしくは言えませんが、2つの作品とも銀河鉄道が登場します。
作品を否定するつもりは、全くありません。台本の構成や演出、セリフの美しさなど全てにおいて、全く頭が上がらないほど素晴らしい作品です。しかし、私だったらこうするもん!……っていう、あの……あれです。反抗期だったんです、私(笑)なんせ、暗い劇が嫌でしたから(笑)
でも……でもですよ、私のこの作品も十分暗い!暗すぎる(笑)

そんな演劇ライフも、気がついたら最後の幕が閉じていました。あっという間というか、なんというか……。演劇をやった感触としては、顕微鏡で見てみて、やっと何かいることは分かったかな〜ぐらいでしたね。何かは全く分かりません(笑)

うん、演劇って難しい!

思い通りにキャラ、台本、役者、スタッフを動かせません!舞台も、イメージ通りに作れません!暗転を少なくするのは、無理です!

でも……だからこそ、素晴らしい作品ができるのです。自分の想像を超えたものが。

あの時は必死だったし、悩むことも多かった。それでも、なんだかんだ羨ましくもあります。今は演劇と離れたところにいるけれど、いつか機会があれば、また舞台に立ちたいですね。
できれば、今度は喜劇を……(笑)

では、今日はこの辺で。
それでは皆さん、よい宵をお過ごしください。