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ちびたの本棚 読書記録「不可能な過去 警視庁追跡捜査係」堂場瞬一

堂場先生の警察シリーズのひとつ追跡捜査係。
未解決事件の捜査をする部署だ。

西川と沖田は50代になり、上司も変わり同僚にも新しい顔が見える。

二つの事件について並行してストーリーが進んでいく。
西川は比較的最近の未解決事件の捜査。
沖田は10年前の未解決事件の調査だ。なぜ捜査ではなく調査かというと、無罪が確定した人物について調べる事だから。
「一事不再理」という刑事裁判で判決が確定した人間は同じ事件で二度裁かれることはないという原則に則っている。

前半は読んでいて二つの事件がごちゃごちゃになりそうだったが、次第にストーリーに引き込まれていった。それぞれの事件で明らかになった事柄が一つ一つ絡み合っていく。

管轄をまたぐ事件がいかに捜査しにくいか詳細に書かれている。メンツを立てたり立てられたり、警察内の駆け引きもややこしそうだ。
でも、中には自身のプライドよりも犯人を挙げることができれば満足だ、という上司もいて爽快だ。

冷静沈着で頭脳派の西川と、直感を信じて動く沖田。二人とも年齢を重ねて幾らか角が取れてきたような雰囲気だ。
以前はすぐに口ゲンカが始まり、なんだかんだ衝突していたのにね。

取り調べ中に西川が困った顔をして沖田を見るというシーンには思わず笑ってしまった。
クールな西川のめったに見られない一面だ。

今回その存在が光っていたのは同僚の大竹くん。一日に数回しか口を開かず、普段は首を縦に振ったり横に振ったりしてコミュニケーションを取っている。でも、ここぞという時にその内なる能力を発揮する、追跡捜査係にはなくてはならない存在だ。

堂場先生の警察ものの中で、失踪課、鳴沢、検証捜査の各シリーズはひとまず終わってしまったようで残念だけど、まだ追跡捜査係は続きそうで楽しみにしている♪

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