さっち

地方在住。夫婦二人暮らしのアラフィー女性です。大学生の息子は東京で一人暮らしをしていま…

さっち

地方在住。夫婦二人暮らしのアラフィー女性です。大学生の息子は東京で一人暮らしをしています。 人生の折り返し地点に立ち、ゆるりと回顧録を綴りたいと思います。

最近の記事

第20回 子育てを終えて

息子の幼少期のことを思い出すと、かわいいエピソードがいくつも浮かんでくる。その時の表情まで鮮明に覚えている。 ある時幼稚園から帰宅した息子は開口一番「ママとショウゴしたい!」と言った。「ショウゴしたい?どういうこと?」と聞くと「時計の長い針と短い針がぴったんこ重なったら正午っていうんでしょう?ママとこうやって正午したい!」と言って両手をそろえて真っ直ぐ上に伸ばしてみせた。 合点が入った私は息子を向かい合わせにして膝の上に乗せ「3、2、1正午!」と息子と同時に腕を真っ直ぐ上

    • 第19回 受験生の親として

      中学受験の時は、私が国語や社会のテキストを見ながら、よく口頭で息子に問題を出していた。模試で間違えた所は一緒に見直していた。正に二人三脚で初めての受験に臨んだ。しかし大学受験となるとそうはいかない。私が出来ることは、息子が勉強に専念できるようにサポートしつつ、静かに見守るだけだ。勉強の進捗状況や模試の判定などはあえて聞かなかった。必死の姿の息子に対し、気安く頑張ってね、きっと受かるよなどとは言えなかった。 息子の部屋は常に綺麗な状態を保った。机の上の消しゴムかすは捨て、ゴミ

      • 第18回 鳥の巣症候群

        2021年春、息子が巣立ってからしばらくの間、私は毎日息子を想い切なくなっていた。 スーパーで買い物をしていて、息子の為に買っていた商品を見るたび涙が出そうになった。お菓子売り場で「ママー」と聞こえて思わず振り向くと、小さな男の子が母親とお菓子を選んでいた。ちょっと前まであんなに幼かったのに、と男の子と息子を重ね涙が溢れた。ダメだ、お菓子売り場は辛すぎる!私は泣きながらカートを押して売り場を離れた。(マスクで顔が隠れていて良かった) 同じく一人息子を持つ友人と「息子が巣立

        • 第17回 プレゼント

          2021年春、夫が仕事で東京に滞在している間に、大学に合格した息子は上京した。食事付きの寮に入ることになった息子の生活の基盤を、夫が整えてくれた。 「〇〇(私)は今まで頑張ったから、ここからは俺に任せて!」と言ってくれたので全面的に任せた。(感謝!) 数日後、帰宅した夫が「受験お疲れ様。二人で選んだよ」と言ってプレゼントを渡してくれた。思いがけないことで驚いた。「袋の中に〇〇(息子)からの手紙も入ってるよ」と言ったので、プレゼントより先に手紙を開けた。 ママへ、と書かれた

        第20回 子育てを終えて

          第16回 大学合格

          2021年春、息子は東京大学理科三類に合格した。コロナ禍での受験生活にも関わらず、息子は常に落ち着いていた。不安を口にすることもなく、イライラすることもなく毎日淡々と計画通りに勉強を進めていた。 一方の私はというと、感染への恐怖から外出は必要最低限にとどめ、家族以外とは食事もせず、人と会わない日々を過ごした。毎日ひたすら家事と息子の世話をしていた。身近で陽性者が出ると緊張が走った。無事に受験を乗り切れますように、と毎日のように祈っていた。 インターネットで合格が分かった瞬

          第16回 大学合格

          第15回 中学・高校生活

          2015年、息子は地元の中高一貫校に入学した。この頃には将来の夢ははっきりと決まっていた。医師になって研究者になることだ。憧れたのはiPS細胞の研究でノーベル生理学・医学賞を受賞された山中伸弥先生だ。 息子は部活動や生徒会役員をしながら毎日しっかり勉強した。体育祭や登山などの学校行事で疲れて帰宅しても、あるいは多少体調が悪くても机に向かわない日はなかった。 中学3年の夏、息子は親知らずを2本同時に抜くために入院した。手術が終わり、病室に戻って麻酔から醒めた息子は「終わった

          第15回 中学・高校生活

          第14回 中学受験

          2012年秋、小学4年生の息子は塾に通い始めた。この塾に入ってから息子は、同じ学年に優秀な子が大勢いることを知り俄然やる気に火がついた。6年生に上がる頃にはトップクラスに入り、先生の勧めで力試しに本州の進学校も受験することにした。 これまで、水泳などの習い事はあまり長く続かなかったのに、塾に関しては一度も行きたがらないということはなく、むしろウキウキと通っている様子だった。トップクラスのメンバーとはとても仲良くなり、その内の一人とは今でも一番の親友だ。 中学受験用のテキス

          第14回 中学受験

          第13回 ドリルに夢中になる

          息子が4、5歳の頃私はよく絵本の読み聞かせをした。読みながらどうしても涙ぐんでしまう感動ものの絵本が何冊かあった。もともと涙脆い私は、分かっている内容なのに毎回同じ所で涙ぐむ。ある時息子は「ママ、これ読んで」と言って絵本とティッシュ箱を両手で持って来た。私がいつもの場面で声を詰まらせると、サッとティッシュを渡してくれた。なんて気が効く子。 笑 年長さんになると息子は、絵本よりカード遊びが好きになった。私が買った四字熟語カードやことわざカルタで遊びながらこれらを覚えた。また、

          第13回 ドリルに夢中になる

          第12回 日本の幼稚園

          2007年春、4歳で帰国した息子は幼稚園に通い始めた。入園までの期間が短かったので私は準備に追われた。とにかく持ち物が多く、その全てに名前を書かなくてはいけない。中でもおはじき一個一個に名前を書く作業は骨が折れた。 日本の幼稚園は帰宅時間が早く、行ったと思ったら帰ってくる!プリスクール時代は9時間位は自分の時間があったし、昼食とおやつまで出してくれるのでつくづく楽だったなぁと振り返った。日本のお母さんはキャラ弁まで作れたりするので、本当にレベルが高いと思う。アメリカでは子供

          第12回 日本の幼稚園

          第11回 帰国直前

          2007年3月、帰国を間近に控えていた。息子がプリスクールで過ごす最後の日、夫と2人で挨拶がてら見学させてもらった。この日はちょうどSt. Patrick’s Dayをお祝いする日だった。(アイルランドにキリスト教を広めた聖パトリックの命日)子供達は緑色の服を着ることになっているので、息子様に緑色のシャツを買っておいた。 先生方から寄せ書きとアルバムをプレゼントされた。アルバムには息子の成長記録の写真が何枚も貼ってあり、寄せ書きのあたたかいメッセージには涙が出そうになった。

          第11回 帰国直前

          第10回 アメリカ事情④

          日本では数年前からイクメンという言葉が定着し、育休を取得する男性も出てきた。私達家族がアメリカで過ごしていたのは15年以上前だが、当時からアメリカでは父親が積極的に育児に関わり育休を取るのはごく自然だったらしい。 平日の夕方、5時過ぎから6時にかけて道路は渋滞する。母親同様、仕事を終えて子供を迎えに行く父親が多いのだ。夫の研究室でも「子供を迎えに行くから」と言って5時前に仕事を終える同僚達がいた。 プリスクールで平日の昼間に、Father’s Dayのイベントがあり大勢の

          第10回 アメリカ事情④

          第9回 アメリカ事情③

          アメリカで暮らし始めて半年が過ぎた頃、私はカットとパーマをしに美容院に行こうと思った。ご近所の奥様たちは口を揃えて「微妙なニュアンスを伝えたいから、日本人美容師のいる隣町まで行っている」と言う。しかし私は、アメリカの美容院がどんな感じか知りたかったので、運転中にたまたま見つけた美容院に予約して行ってみた。 結論から言うと、全てにおいて雑だった。カットは、日本の美容師さんのように細かく分けて切ってくれなくて「え?もう終わり?」と言う感じ。そして問題はパーマ!日本ではパーマ液を

          第9回 アメリカ事情③

          第8回 アメリカ事情②

          アメリカ生活で不可欠なのが車の免許だ。生活が落ち着いてすぐ夫が取得し、私の番になった。アメリカでは日本のように自動車教習所がない。希望すればDriving school に通うことはできるが、多くの人は親から運転を教えてもらうようだ。 座学の講習を受けてから筆記試験を受け、合格したら実技試験を受ける。ちなみにこの座学の講習は、夫によるとただ座っていればいいだけだから半分寝てた、とのことだったので私は安心しきっていた。ところが私の担任教官は、質問をしてバンバン当てていくので、

          第8回 アメリカ事情②

          第7回 アメリカ事情①

          アメリカで暮らし始めてすぐの頃、ご近所の日本人奥様と一緒に買い物に行った時「一歩外に出たら絶対に子供から目を離さないでね」と言われた。彼女自身も来てすぐにお世話になった日本人女性に言われたらしい。 近所のスーパーの店頭に「Missing Children 今月行方不明になった子供達」と書かれたポスターが貼ってあり、何人もの子供達の顔写真が載っていた。子供が誘拐される犯罪はとても多いのだ。日本のように、小さな子供が一人で外を歩いているなんてアメリカでは考えられない。12歳未

          第7回 アメリカ事情①

          第6回 ネイティブのような発音

          2006年、年が明けて息子は3歳になり、プリスクールに通っていた。3歳になると、デイケアからプリスクールと呼び名が変更する。建物は同じでクラスが変わり、カリキュラムに学習的要素が増える。ダンスやテコンドーのクラスもあった。ちなみにテコンドーは英語でtaekwondo と書き、タイコンドーと発音するので、最初聞いた時は分からなかった。 週4日プリスクールに通っていたので、英語はかなり上達していてクラスの子となんら問題なく会話していた。日本人の友達と遊んでいる時でさえ英語で話し

          第6回 ネイティブのような発音

          第5回 ハロウィンパーティー

          2005年10月、デイケアでの初めてのハロウィンを迎えた。私はその様子をビデオに撮影したかったので、事前に先生に許可をもらって見学に行った。 子供達は様々なコスチュームに身を包んでいる。男の子は動物系、女の子はプリンセス系が多い。その愛らしいこと!息子は、プーさんに出てくるTiggerになった。10月に入ってからコスチュームを見に行ったら、残り少なくなっていてあまり選択肢がなかった。皆早くから用意するようだ。 デイケアでは、クラスごとに他の教室を周り先生方からお菓子をもら

          第5回 ハロウィンパーティー