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某食品缶詰のウジ虫混入について(食品知識のお話)

当記事は企業批判をしているものではなく、企業の正当性を訴えていることをご承知の上でお読みください。
noteでの検索による食品の特定を避けるために、タイトルやタグでは食品名を出していません。
当記事はYahoo!ニュースの記事内容に沿って書かれています。

まずは、こちらの記事を紹介致します。

シーチキンから生きたウジ虫が入っていたとSNSで主張されたという内容です。
シーチキンの製造企業である「はごろもフーズ」は、そもそも「缶詰内にウジ虫が生存できる環境はない」ということを訴えています。
その上で、調査中とのことです。


なぜウジ虫が缶詰の中で生存出来ないのか


分かりやすく言うと、缶詰そのものが製造の最終段階で高温・高圧で殺菌されているからです。

そのためには、どの程度の高温であるかを説明しなければなりません。

缶詰は素材が金属であるため、巻き締め(密封)をしたら、空気が通らなくなります。
これが何を意味するかと言うと、缶詰の中が嫌気状態(酸素がない状態)になるのです。
缶詰は製造の最中で、酸素による缶詰内の食品の腐敗が起こらないために、脱気をし、缶詰内部を真空に近い状態にします。

缶詰、びん詰、レトルト食品は、空気も水も細菌も絶対に入らない容器に密封し、中身は加熱殺菌を施してあり、殺菌料、保存料は一切使用されていません。 また空気をできるだけ除いて密封し、真空に近い状態で加熱殺菌してあるので、ビタミン、その他の栄養成分の損失もあまりありません。

公益社団法人日本缶詰びん詰レトルト食品協会Q&A

引用は以下のサイトの「Q.04」からです。

そして、缶詰内から酸素を取り除いた後は、微生物たち、特に細菌に注意を払わなければなりません。

食品業界では当たり前のことですが、一番気を付けなければいけない細菌が「ボツリヌス菌」という神経毒を産出する細菌です。
ボツリヌス菌による食中毒を「ボツリヌス症」と呼びます。

ボツリヌス症は、食品中でボツリヌス菌が増えたときに産生されたボツリヌス毒素を食品とともに摂取したことにより発生するボツリヌス食中毒と、乳児に発生する乳児ボツリヌス症等に分類されます。

 ボツリヌス食中毒では、ボツリヌス毒素が産生された食品を摂取後、8時間~36時間で、吐き気、おう吐や視力障害、言語障害、えん下困難 (物を飲み込みづらくなる。)などの神経症状が現れるのが特徴で、重症例では呼吸麻痺により死亡します。

ボツリヌス菌|「食品衛生の窓」東京保健医療局より

そして、このボツリヌス菌は「芽胞」と呼ばれる状態で存在するため、高温・高圧によって殺菌を施さなければ、死滅しない厄介な細菌です。

このボツリヌス菌に対抗するために、殺菌条件というものが定められています。

ボツリヌス菌は熱に強い芽胞を作るため、120℃4分間以上の加熱をしなければ完全に死滅しません。そのため、 家庭で缶詰、真空パック、びん詰、「いずし」などをつくる場合には、原材料を十分に洗浄し、加熱殺菌の温度や保存の方法に十分注意しないと危険です。 保存は、3℃未満で冷蔵又はマイナス18℃以下で冷凍しましょう。

ボツリヌス菌|「食品衛生の窓」東京保健医療局より

この条件下の加熱殺菌をした上で、生きたウジ虫が生き残り、缶詰に混入した状態になるのはあり得ません。
この時点で、缶詰にウジ虫がいることは不可能だと分かるでしょう。


SNSでの企業のクレームを広める怖さ


私はSNSで企業への文句やクレームを拡散することはまずオススメしません。

なぜならば、SNSは全世界に開かれて、誰でも見られる環境である上に、匿名であったとしても、企業が提訴したらIPアドレスで個人の特定が出来るからです。
SNSでのクレーム等の拡散によって、企業が損害を被ると拡散をした人に賠償責任が課せられます。

その金額がどれほどであろうとも、個人が企業から訴えられるダメージは大きいでしょう。

消費者には、消費者センターに相談することも可能ですし、企業に直接クレーム(暴言はだめです)を入れて対応を待つことも出来ます。

絶対にSNSに拡散することはオススメ出来ません。

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