淡い毒

 数日前に、私の事を何も知らない方と、私の親との関係について話す機会があった。

 そこで思ったのは、私の思う苦しみとか親への嫌悪、恐怖、依存心は人には伝わらないのだなという事だった。なんとかして理解してもらおうとする。だから口数が増える。だけど理解されない。私はどんどん早口になる。

 理解しようと思ってくれる人にしか伝わらない。理解しようと思ってくれていても伝わらない。そんな経験が増えていく。

 なぜ捨てたの?なぜそんなに助けてくれた人を捨てられるの?親なのに捨てられるの?

 なぜ理解されないかを今日なんとなく理解したつもりだ。私の親の持つ毒は淡いものだから。視点を変えたらものすごく娘思いな親だから。娘と婿の話し合いに付き合う。娘に経済的な援助をする。そのくせ自分たちがどれだけ素晴らしい親なのかを娘に言ってもらいたいと無言の圧力をかける。

 無言だから圧力ではないのだと思う人もいるだろう。

 わたしは生まれた時から、淡い毒の中で生きてきた。淡い毒はわたしを少しずつ蝕んで私から「普通の感覚」をなくす。

 わたしには人間として必要な何かが欠けていると思ってずっと生きてきた。人をたやすく信じる、人をたやすく裏切る、人を利用し利用される。そんな矛盾を生じる行動をたやすくできるのは私が真綿のような毒で育てられ、私自身も毒を持っているからなのだ。

 どうして親から逃げたの?どうして親を捨てたの?わたしの答えは彼らの求める答えではない。明確な何かが起こったわけではないから。介護に疲れたとか、日常的な虐待を受けてきたからとか、そういうはっきりと色づいた理由がないのだ。

 どちらかと言えば、私は愛されていたのだろう。愛されていたけれど、それは条件付きの愛だった。親を愛して初めて与えられる愛情。それは本当に愛情なの?


 悩みが深くなりました。カウンセリングに期待してます。

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