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「石井ゆかりの星占い3」デザインを終えて

「石井ゆかりの星占い3」が無事完成しました。

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わたしが石井さんの文章と出会ったのは、FIGAROのデザイナーだったころからですが、そちらのエピソードは過去に投稿したこちらに。

「わたしを育ててくれた雑誌」

今回声をかけてくださったのは、FIGARO時代からお世話になっているエディターの青木良文さん。coverのイラストは前回前々回に引き続き関根正悟さんが描いてくださいました。同じメンバーで3号目の制作を行ったわけですが、さらに溯るとFIGARO本誌で石井さんの連載が始まったころくらいからこのメンバーで作ってきましたので、おなじみの面々です。前号から数年たちましたが、これまでの経験が生きてスムーズに進行することができました。

今回は普段から一緒に仕事をしているErika Skeltonにイラストや素材の準備をお願いして、二人で誌面の世界観を作っていきました。彼女の持つセンスが好きだし、作業が早いこともありがたいところです。気の合うメンバーで和気あいあいと作り上げていく。打てば響く、投げれば答えてくれる。お互いができることを存分に出し合って作り上げることができました。いい仕事というのはとにかく流れがいい。どんな状態であれみんながいい感じをもって仕事できているときは、アウトプットにもそれが現れます。

主役は石井さんの文章ですが、引き立て役として我々がいるわけです。MOOKは誌面が大きいですし、ページ数もそこそこありますので、デザインで盛り上げる必要があります。演出が寂しいと誌面が持ちません。その上で決められたページ数に原稿を収めること、適切な文字の大きさにすること、雰囲気にあった書体選びにするなど、大切なことがたくさんあります。石井さんの文章であることと、FIGARO誌のMOOKであることを踏まえながら、パっと雑誌を開いた瞬間に視覚的な感覚を与え、その流れで文章に入り込みやすいようにページ作ること。そんなことを意識しながら作りました。

個人的にタイムリーだったのは、この1年で趣味から占星術の知識を蓄えていた事です。なんだか無性に気になり出して、動画やサイトをよく見ていました。出生図のホロスコープに興味を持ったことから、太陽〜冥王星までの星の持つ意味がおおよそ頭に入っていたのです。それぞれの星がもつテーマを感覚的・視覚的に表現することができました。しかも自由に。

エディトリアルデザインって波乗りみたいなところがあります。同じ波は多分ないんです。いろんなタイミングでいろんなお題がやってきます。来たものに反射的に反応して瞬時にスイッチが入り、深く考えてる暇などなく直感に従う。自分の中でではいつもそんなイメージが湧きます。ワクワクしながら仕事の波に乗る。だからこのお仕事が好きです。いろんなページとの出会いが一期一会なんです。

近年雑誌の休刊が目立ってわたしの仕事もどこへ向かうのか。この技術は廃れてしまうのか、それとも少数派となり重宝されるのか。webやデジタルのお仕事も増えてきましたが、本や印刷物の価値は変わらないと思うし、デザインの本質がつかめていれば、いろんな形に変容していいと思います。

今回の内容についても語らなければでいけませんね。生まれたときに太陽から冥王星までの10個の星がそれぞれ何座にいてどういう状況であったのか。そのことから自分自身がいったい何者かというヒントに立ち返ることができるのかなと。石井さんの情緒あふれる美しい文章がイメージ豊かに広がります。あと「成長」という言葉がキーワードになっています。星が成長するって何?って思いますが、知ると面白いです。同じ星座でも早い時期と遅い時期でタイプが変わるということだと思うのですが。そういう観点で自分の星座の特徴を読み込んでいくこともまた楽しみのひとつかと。

カバーのメッセージは「星はいざなえど、強制せず」。まさに!です。普遍的なテーマだと思いました。今と未来といつどんな自分が読むのかで受け取る感覚も変わっていきます。自然界のような一言では読みきれない深いものが石井さんの文章の魅力ですよね。

わたしは占星術を知ってから、人は生まれたときに与えられた個性や条件みたいなものがあり、それが空の肉体にプログラムされ生きているように見えるんです。空のマシンに内容が全て違うOSが搭載されるような…。スタートはデコボコとした個性でスタートするんです。よくわからないけど好きなこと。よくわからないけどこういうやり方になっちゃう。よくわからないけど無償に落ち込む。なんで自分はこうなのか最初はよくわからない。子供のときは自由奔放に生きてるのだけど、次第にうまくいくこといかないみたいなことを経験します。人の価値感・社会の価値感・秩序などが入り込んで、子供の頃の感覚がどんどん失われていく。それでも消えないプログラム。本当の自分はなんだったのか。どうしてこんな考え方をするのか、何に喜び何に悲しむのか。相性の良い人悪い人がいる。好きな人なのにどうしても理解できないこと。苦手な人なのに縁がある人。血がつながっているのにわかり会えない部分。よく知りもしないのに無償に気が合う存在。そういうことのヒントが占星術には存在してる気がします。本や映画を読み感性を豊かにするような力が占星術にはあるのではないかと。自分もみんなも生まれ持ったその条件を大切に生きてよい。自分の個性を受け入れ人の個性も受け入れる。苦手な部分を克服する努力をしてもいいし、得意な人に頼って補ってもいい。自分の得意なこと、枯れない泉はどんどん人の役にたてていけばよい。そうやってデコボコがあることがこの世の中が豊かさを生んでいる気がします。自分がうまれた出生図を知ることは納品時の取説みたいなものです。その特徴をどう活かすか、どんな機能を追加するのか、どこを努力して改善していくのか。

わたしの星の知識はまだ浅いですが、石井さんのおかげでこうして星の世界を知ることができました。感謝でいっぱいです。

ご協力いただいたみなさまありがとうございました。

おわり




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