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PR視点のバトン渡し〜「PR戦略とアクション設計のレシピ」を託します〜

prologue.本気のアナタたちに、知識のバトンを託します

そろそろ、PRを軸に外部から支援するのを一旦、ボリューム減らして、もっと経営に近いところの仕事をしようと思っています。
理由としては、いくつかあるのですが、やっている仕事や嗜好性が「PR」のカテゴリーだけでは、収まらなくなってきたこと。そして、いわゆる「PR」のイメージで、お仕事を受けると、どうしても、モヤモヤして終わってしまうことが増えてきたからでした。
それであれば、もっと経営に関わる領域、もっと事業を成長させられる領域の職能を掛け算したいと思い、いろんな人たちのお話を聞いた上で、決断をしました。

ということで、しばらく、PRに関するnoteを書かないと思うので、普段、僕がPR戦略だったり、アクションプランを設計する際に、頭の中で考えていることを、お伝えできればと思い、筆を取りました。

PRを生業に、PRで本気の人たちに、少しではありますが、バトンを渡します。
このnoteが、いつか、誰かのgoodstoryにつながることを信じています。

Step0. PRに求められるロールを理解・把握する

経営や事業に貢献するPR戦略を設計するために必ず行うべきステップであり、全ての土台になるべき事項が、「なぜPRを行うのか?」の解を持つことです。

よく散見されるのが、「PRをやること」が目的・ゴールになっているがゆえに、KGIなきKPIの設定や効果測定の話に終始している人たちが溢れていることです。

話を戻すと、このStepで必要なのは、
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1.経営や事業の進捗を妨げるボトルネックはなにか?
2.どのような状態になれば、ブレークスルーするのか?
3.その状態になるために、PRができること/貢献できる成果はなにか?
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を分析し、曖昧になりがちな、PRに求められるロールを設計します。
その際に、気をつけなければいけないのが、どれだけ具体的な言葉で設計できるか?です。

よく目にするイケてないロールの例が、
「認知度を向上させる」「知名度を高める」「理解を促進する」という、
なんか言ってるようで、なにも言ってないことです。
なので、イケてない例として、頭の片隅に置いておいてください。

「○○の△△という課題を解決するためにPRを利用する」ぐらい、
誰が聞いても、想像できるくらい、明確な言語化をしましょう。
それによって、戦略や施策の精度が大きく変わってきます。

PRも他の活動と同様に、「何のために」が必要です。
PRは、なにも特殊・特別なものではなく、あくまでも、手段のひとつに過ぎないことを自覚しましょう。
「PRの人たちって、なにやってるんだっけ?」と言われないためにも、
ここの設計はサボらないでくださいね!

Step1. PR対象のジョブを設計する

ここでいうジョブとは、PRの対象となるモノ/ヒト/サービスの「存在価値の定義」を指します。そもそも、PRでできることは、端的に書いてしまうと、

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1.ラベリング:どんな理解をさせるか?
2.リレーションデザイン:どのような理解を得るために、どのようなシチュエーションで、どのようなタッチポイントを作るか?
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の2点ぐらいなものです。

多くのPRの人たちが口にするのは、
「PRは、パーセプションチェンジだ!」
「PRは、メディア関係者と良好な関係を築き、メディア露出を獲得することだ!」的なことを言います。
ただ、ここに抜け落ちているものがあることを、みなさんは思い浮かびますか?

それは、PRの対象となるものを、
・どのような役割のあるものとして、
・理解させ、
・接触させ、
・態度を変えさせるか
の何を伝えるか?の幹の部分が抜けてしまっていること
です。
そのために、PRの対象となるモノ/ヒト/サービスの「ジョブ=存在価値の定義」を必ず行ってください。
仮に、一度行ったとしても、年月が経てば、その意味合いも変わってくるので、半年、1年の周期で、必ず再定義しましょう。

と、ごちゃごちゃ書いてきましたが、具体的な設計フローは下記の通りです。

1.Public(コミュニケーションの対象者)の定義

1-1.コミュニケーションの相手はどんな人か?
1-2.その人が成し遂げようとしているビジョン/目標はなにか?

を言語化する

2.Issueの定義

2-1.1で定義した人たちが苦心している状況はどんなときか?(環境要因)
2-2.上記を踏まえて、その人が成し遂げようとしているビジョン/目標を阻んでいる最大の要因はなにか?

を言語化する

3.ジョブの定義

3-1.PRの対象となるモノ/ヒト/サービスが提供できる価値はなにか?
3-2.その価値を魅力的に見せるためには、どんな役回りであるべきか?
を言語化する

この際に必ず、経営メンバー、経営企画、マーケティング、営業、人事の責任者へのヒアリングとコミュニケーションをしてください。PRの人たちが、そもそもの前提となる会社の戦略を理解していないとPRを行う意味がありません。

表現は違いますが、ここの項目は過去のnoteにも書いたので、興味のある方は読んでみてくださいね。

Step2. UXを設計する

次のステップは、
Publicとして定義した人たちが、どのような体験をすると、
PRを行うために設定した目的の達成を実現できるのか?を考えます。
ここで、混同してはいけないのは、具体的なアクションではなく、
下記の視点で、具体的な言葉で言語化していきます。

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・こういうタイミングに
・どんな形で
・PRの対象となるモノ/ヒト/サービスを
・どのような理解となるように
・どのような体験を設計すればいいか?
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ここで言語化したものが、アクションを設計するための軸となるので、
より具体的な言葉で、誰が聞いても、想像できる形で言葉に落としてください。PR戦略の定義は、ここまでで、基本的には完了です。
ただ、気をつけていただきたいのが、実現可能性やPRセクション以外の人たちが聞いて、すぐに理解できるわかりやすさがあるか?です。
その理由としては、「誰にも理解できる」というのは、「協力を得やすいこと」であり、そもそも、PRパーソンのスキルである、言葉の偏差値を調整するする能力の有無に関わってくるからです。

普段仕事をしていると横文字を使ったり、ビジネス用語を使ったりしがちなのですが、一つ一つの言葉がなにを指すのか?を徹底的にこだわり、言葉の定義を曖昧にしないようにしましょう。

Step3. 具体的なアクションを設計する

さぁ、あとは具体的なアクションを設計するだけです!
みなさんのアイデアの引き出しから、最適なものを設計していきましょう。
このあたりは、いろんな人たちが、手段、手法に関するコンテンツを書いているので、そこらへんを見ながら、設計してみてください。
ここは、普段の情報インプット量や思考量が試されます。
ぜひ、日々、PRだけではなく、いろんなことを見て、知って、引き出しを増やしてみてください。
知識の量が、最適なアウトプットにつながるはずです。

epilogue.君たちPRの仲間に伝えるべき事実がある

結局、「だーやまは、PRをやめるのか?」という部分でいうと、そうではないんですけども、結果的にはそうとも言えます。
もっと広義の意味でのPRにチャレンジしてみたい、というのが率直な想いです。ただ、それを一般的には、PRと呼ばず、マーケティングだったり、経営企画だったり、ブランディングだったり、と呼ばれたりしています。
つまり、もともとの部分を作り出す、よりクリティカルな部分をやりたい、そんな感じです。

ぼくは、約15年ほど、PR業界の末席で、ご飯を食べさせていただいて身からすると、PRパーソンは、まだまだパブリシティを獲得する人、という職務から脱却できないでいると思います。
僕自身が、それが得意であれば、ずっとそこに胡座をかいて、ふんぞりかえっていたかもしれません。正直、いまのPR業界は、そこさえできれば、かなりお金儲けできるからです。
しかし、社会は急速な速度で変化しています。そして、人の考え方も価値観も急速に変わっていく中で、このままでは、いつか絶望する未来しかみえていません。結局、PRの仕事をしていく上で、自分の天井が見えてしまったというのが大きいんだと思います。

領域・環境を変えて、自分を追い込むことでしか、新しい景色を見ることができないんだとここ2年間ぐらいは、ずっと考えていました。そう考えるとnoteを書く気も起きず、結局、最後に更新してから、約1年半以上もかかってしまいました。

もちろん、悩めるPRパーソンの相談には、積極的に乗るつもりでいますし、いまのクライアントの仕事は楽しんでいるので、より一層頑張ります。
PRパーソンではあるけれど、一般的にはそうではない僕をこれからもよろしくお願いします。

ぜひ、ランチ、お茶、お酒しましょう!
遊びも、もちろんお誘いください。
あなたのお話を、ぜひ、聞かせてください。

このnoteが、いつか誰かのgoodstoryになることを信じて。

だーやま


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