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PR視点のチームワーク 〜マーケターとPRパーソンがもっと強いチームになる方法を考えてみた件〜

epilogue.マーケターもPRパーソンも悩んでいる....

 PRの仕事を始めてから約12年経ちますが、PRパーソンとマーケターが、うまく融合できていない、歩み寄れないという声や相談を両者からそれぞれ聞く機会が、日増しに増えてきました。
 本来であれば、「事業を成長させる」「商品やサービスを狙った企業やヒトに継続的に購入していただく」等、PRパーソンとマーケターのゴールは、同じはずです。では、なぜ冒頭のような「不協和音」が鳴り響いてる現場が少なくないのか。その理由を紐解きつつ、効果を最大化できる方法について、考えてみたいと思います。
 コロナウイルス感染を防ぐため、リモートワークが推奨されている会社が増えている今だからこそ、両者のコミュニケーションを密に取り、より強いチームワークを発揮するためのきっかけにできないか?というのが、このnoteをかく動機でした。もちろん、みなさんが普段業務の中で、当たり前に行なっていることも多いなずなのですが、なにかの気づきがあれば嬉しいです。
 このnoteが、誰かのgoodstoryにつながりますように。

episode01.ゴールは同じ。でも、スタンスは別が実は原因の一端なのかも

まず、原因を考えるにあたり、PRとマーケティング両者と仕事をしていく中で、それぞれの役割とスタンスの違いがあるのでないかと思っています。

○PRパーソンの基本スタンス:「パブリックとの関係づくり」をすること
 コミュニケーションを設計するために着目し重視するのは、コミュニケーションの対象となるパブリックだったり、社会的な動向で、さらに言えば、その人たちにとっての「社会的な課題」を探すことです。
 その社会的な課題と、商品を掛け合わせ、生活や社会活動の一部として参画させるための文脈を作り出すこといわば、「社会背景を利用した説得の仕掛け作り」が、彼らの主な仕事です。結果的に自ずと、文脈の主語は「パブリック」ということになります。

○マーケターの基本スタンス:「商品やサービスが売れ続けるための市場づくり」をすること
 売れるための仕組みをデザインするため、PRはあくまでも、仕組みの中のファンクションの一つとして捉えていることが多いと思います。
 コミュニケーションを設計するために着目し重視するのは、継続的な購買をしてくれる属性を定義すること。そして、その人たちが持っている「普遍的な悩み」の最大公約数を探すことです。
 そのために、結果的にコミュニケーションの主語を「商品/サービス」に置くことが多くなります。

episode02.スタンスの違いから生まれるスレ違いと溝を乗り越えるために必要な考え方

 スタンスの違いを整理してみると、「PRという手法を推進するPRパーソン」「全体感を見ながらPRを機能の一つと認識するマーケター」というPRの捉え方の違いが見えてきます。また、主語を「パブリックに重きを置くPRパーソン」と「商品/サービスに重きを置くマーケター」という考え方の違いも見えてきました。この部分をはっきりと認識しないまま、業務ベースで物事を進めると結果的に下記のようなスレ違いが、生まれてしまいます。

ex>よくあるすれ違い
1.マーケティング部で施策を決める

2.PR担当にブリーフィング

3.お互いにネガティブな状態になる
PR担当「いやいや、そんな施策じゃ、PRでできることないっしょ。無理っしょ」
マーケ担当「うちのPR、マジでメディア決めてこねぇ。アイデア出さねぇ」

4.マーケ担当者が独自でPRの勉強を始める
マーケ担当者「メディアインサイトはXXXXXだから、TVにこうやって仕掛けろ!」
PR担当者「は?ちげぇし。そもそも、情報戦略的にTVじゃないっしょ。」

 ああああ、書いていて胸が痛い、、、。
 では、こんな不協和音を打開するためにはどんなアクションが必要か?それは、PRパーソンをコミュニケーション設計の初期段階からJoinしてもらい、PR視点をコミュニケーション設計の最初から活用することです。
 これから、PRパーソンとマーケターが効果的なディスカションを行い、認識のズレをなくしていく上で、整理しておくべき事項とそれに伴う、必要なアクションを書いてみます。

actionA.「パブリック」のデザインと共有

まず、誰に対してのコミュニケーションを展開していくのか?になりますが、PRは、「具体的に誰のための?」という主語設定が重要となります。
そのため、マーケティング戦略に則り、
 1.どんな人に
 2.どんな利用のされ方で
 3.どのように語られるべきか?

の対象を明確化することこそ、最適なPR施策を展開することにつながります。そのために、誰(=というかどんな人)に対して、コミュニケーションをするか?は、必ずPRパーソンとマーケターの間で共通認識を持ちましょう。そうすることで、actionBの精度がグッと高まります。

actionB.「共通の敵(イシュー)」のデザインと共有

 actionAで「パブリック」のデザインをしてきました。これで、「誰のために」という、コミュニケーションの対象者ができたことになります。ここでは、コミュニケーションの肝となる課題のデザインです。この敵を倒すことが、主人公やその世界の人たちの幸せにつながります。

 イシューとは、パブリックと自社が解決すべき共通の課題を指します。例えると、少年漫画で言うところの、「世界を苦しめる魔王」。主人公とその世界に生きる人たちの幸せを阻害する共通の敵です。この敵を倒すことが、主人公やその世界の人たちの幸せにつながります。

 では、なぜイシューのデザインが必要なのでしょうか?それは、「何のためにその会社や事業、プロダクトが存在しているのか?」を見える化することです。そして、「説得の議論の核」を規定することです。見える化することで、パブリックに参画してもらうための旗印になるのです。そして、倒すべき敵が見えていれば、それに応じたファクトや施策をデザインすることができる。つまり、PR戦略を設計する上での「力の根源」をデザインすることになります。

actionC.「ユニバーサルゴール」のデザインと共有

 actionBまでに「誰のために」「何のために」がデザインできたら、次はコミュニケーション施策が、どこを目指していくのか?をデザインし、共有しましょう。
 ここでいうゴールとは数値設計というよりも、「パブリック」が求めている社会的な状態に対して、「商品/サービス」がサポートして、実現できる未来予想図であり、両者の関係性によって、どんな価値がもたらされるのかを規定します。
 POINTは、具体的かつ分かりやすい言葉で設計すること。そうすることで、actionDの精度がグッと高まります。

actionD.プランをデザインする

 actionCまでで考え方の軸を整理しました。あとはマーケターとPRパーソンで、それぞれフラットな視点で、ゴールを達成するためにもっとも効果的かつ費用対効果の高いであろう施策アイデアを出しあいましょう。
 大事なのは、お互いが手法にとらわれず、どんなことをすれば効果が最大化するか?という掛け合わせ方、そして、補完し合う方法を一緒に見つけ出すことです。
 お互いの考え方の視点を共有し合うことで、より強力なアイデアを見つけ出すことが徐々にできてくるはずです。

episode03.結局マーケティング戦略が明確か?がPRの成否を分ける重要な指標

 うまく機能している組織は、マーケターとPRパーソンが連携しながら、Oneteamで動いていることです。
 マーケティングもPRも、役割や機能が違うだけで、求められる成果は同じで、商品/サービスが受け入れられる環境を作り、参画を促すこと。特に小さい組織や提供しているサービスの数が少なければ少ないほど、マーケティングとPRは密接になり、目指すべきゴールは一緒になるはずです。
 改めて、PR戦略を設計していく際に必要な役割を整理してみます。


○マーケター
 どの市場を狙うのか、ターゲットをどこに定めるのか、そして、ターゲットのインサイトをどれくらい把握しているのか、といった利益を生み出す対象のデザインが求められます。でも、本当に大事なのは、誰を動かしたいか?の誰をより明確に描くことです。
 ありがちなのが、ターゲットのセグメンテーションが曖昧で、結局、どんな人たちを動かすのか?が不明確なため、施策の精度が高まっていかないことです。ここでのデザインが、PR戦略の精度につながってきます。

○PRパーソン
 マーケティング上取り込んでいくべきターゲットと取り巻く環境=パブリックを動かすために、必要なストーリーのデザインを行います。
ここでいうストーリーとは、パブリックが参画するための同意を得るための脚本を描くことです。
(※過去にその辺を書いたブログがありますので、ご興味があればこちら
 その上で、パブリックがそのストーリーに触れ、より参画するためのコミュニケーションの方法をプロットしていきます。それは、何もパブリシティだけではありません。イベントもそうですし、CSでの顧客対応もそうです。
また、プッシュ通知もその手段かもしれませんし、HPの文言でも、お手紙でも、、、なんでもその手段です。
 PR担当者は、どうすればパブリックが参画してくれるかのプロデューサーでもあり、ディレクターでもあり、プランナーでもあるのです。それらが、より強いファクトとなり、パブリックの参画を見込める方法を模索し、常にアンテナを張り、挑戦をし続けなければいけません。

 これまで書いてきた通り、常にマーケティングとPRの担当者は、一つのゴールに向かって、情報共有を行い、それぞれの進捗に合わせて、最適な一手を打ち続ける必要があります。
 マーケターは、PRで得られた流れを活かし、営業チームとの連携を考え、最適なリード獲得等の施策を展開を行うために。PR担当者は、そこから得られたファクトを最大活用と今後、作るべきファクトを考え、さらに参画を促すための流れを作るために。
 明確なマーケティング戦略のもと、PRとマーケティングの視点を掛け合わせながら、進むことが、全体的な実力強化に繋がるのはいうまでもありません。小さい組織であればあるほど、Oneteamで連携していくことは、PRを成功させる必要なバディシステムだと考えています。

epilogue.いろんな意見をぜひ、伺いたいので、Zoomしましょ!

 ここまで書いてきたのは、あくまでも考え方の1つですし、会社によって事情も様々なので、一概にこれが当てはまるというわけではありません。そして、さらっと書いていますが、融合だったり、チームとして機能するためには、簡単なことではないことも事実です。僕自身、意識はして取り組んでいますが、基本的にはできていないと思います。

 ただ、ウィズコロナの時代だからこそ、マーケティング戦略をデザインする上で、パブリックとの関係性をより重視するPR視点はなくてはならない存在だと思うため、ご批判を承知の上で、あえて書いてみました。

 まずは、「ユニバーサルゴール」と「イシュー」を共有して、お互いにできることをディスカッションしてみるだけでも、れまでとは違った手応えを感じるかもしれません。

 ちなみにいうとコロナで在宅勤務の時間が増えているので、ぜひzoomでお話しましょう!ぜひ、あなたのお話を聞かせてください。

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