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ロシュフォールの恋人たち - 恋の変奏曲 -

映画「ロシュフォールの恋人たち」を鑑賞。

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軍港の町ロシュフォールにめぐってきたお祭の季節。旅芸人たちはお祭の準備を始め、美しい双子の姉妹は新しい恋の予感を感じ思わず歌い出す。町中が沸き立つ週末に新たな恋が生まれ、かつての恋が再燃する —。めくるめくオーケストレイションによって、鮮やかに彩られた“ルグラン・サウンド”のショーケース。


双子の姉妹、若い画家、有名音楽家、元恋人同士。それぞれの人物には一つの共通点があった。それは、私の運命の恋人は「近くにいるのか 遠くにいるのか」という想い。

この台詞を一人ひとりが想い想いに何度も歌い踊る。

同じ一つのテーマでありながら色が違う物語。バッハのオープンスコアで書かれ楽器指定がなされていない「フーガの技法」—。そしてそこから着想を得て書かれた他愛もないひとつの出来事が99通りもの変奏によって変幻自在に書き分けられたレーモン・クノーの「文体練習」が想起されるような美しい物語。

私の運命の恋人は「近くにいるのか 遠くにいるのか」という誰しもが抱いたことがあるような普遍的な一つのテーマがミシェル・ルグランの美しい音楽とともにヴァリエーション展開され広がっていく。そして127分の映画となった「ロシュフォールの恋人たち」は“恋の変奏曲”のようでもあった。

また最後のシーンではその後どうなったのだろう?と考えさせる余白が残されていた。

それは鑑賞者が自由に物語の続きを想像し自分だけの変奏曲を奏でる時間という贈り物だった。

一緒に観に行った友人たちと同じ空間に居たにも関わらず、其々が異なる変奏曲を紡いでいた。

映画が終わった後も頭の中ではミシェル・ルグランの音楽が流れ口ずさんでいた。

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ロシュフォールの恋人たち
監督:ジャック・ドゥミ
音楽:ミシェル・ルグラン
撮影:ギスラン・クロケ
出演:カトリーヌ・ドヌーブ、フランソワーズ・ドルレアック、ダニエル・ダリュー
   ジーン・ケリー、ジョージ・チャキリス、ジャック・ペラン、ミシェル・ピッコリ
1967年/フランス/127分/カラー/モノラル
©︎ Ciné Tamaris 1996

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