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空洞

朝目覚めても何も良い気持ちはしなかった。
いつまでも夢の中に居させてくれはしなかった。
カーテンを開けて、朝日を浴びた。今日は天気が良い。
誰かに会いたくなるような天気だが、
誰かに会えるような自分ではなかった。
身体は鉛のように重たく鈍っている。
たってもいられず、アルコールを身体の中に注いだ。
そうでないと、平常心は保てなかった。
何も考えず見れる映画を観よう。
嗚呼、見事に集中できない。
脳内がどこか遠くに運ばれた。
仕方なくテレビの電源を切った。
今日は時間の流れが早い。外に目をやると
もう夕方だった。日が沈んでゆく。
私も同じように底へと沈んでゆく。
考え事をしすぎると、時間の感覚がなくなることを知った。
思わずまた、身体にアルコールを注いだ。
血管が和らいで、少し気持ちが楽になった気がする。
月が余りにも綺麗だったので、散歩に出掛けた。
星や月は毎日観ることが出来るのに、
今日見た夜空は
一生忘れないのではないかと思う。
高い丘の上で見たあの景色とこの景色
余りにも違い過ぎていた。
光が揺れている。
ぐしゃぐしゃに涙のつぶが溢れている。
私の大切にしていたものは果たして何だったのだろう。
私の心はどこへ連れ去られてしまったのだろう。
私の中にある空洞

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