お薦め推理小説

さわやかな季節になりました。
秋の夜長に読書してみてはいかがでしょうか。

これまで紹介してきた小説の他にも面白いものがあるので

ご紹介させていただきます。





📘 ハサミ男  殊能将之 著


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初版は1999年なので、20年近く前のものです。

犯人の残虐さが異常で、なんだかなぁと思う部分もありますが
感想は、

大変おもしろかった。

の一言につきます。

そして、

あぁ~なるほど。と
これは、後に紹介する『 64(ロクヨン)』と同様に唸りました。
人間心理をよく捉えた、絶妙のトリックで素晴らしいのです。

ただ、残念なのは・・・

この作者が既に亡くなっており、続編が読めないということです。

ストーリー
美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯
「ハサミ男」。
3番目の犠牲者(ターゲット)を決め、綿密に調べ上げるが、
偶然にも、
自分の手口を真似て殺されたターゲットの死体を発見してしまう。
自分以外の人間に、何故、ターゲットを殺す必要があるのか。
「ハサミ男」は調査をはじめる。。。


殺害の内容は、とても残忍で、生々しいです。
「ハサミ男」とは一体何者なのか。
ここで、あまり書かないのはネタバレになるのを恐れてのことです。
読みやすい文章なので、是非ともハマってほしいです。
そして、最後のどんでん返しを楽しんでください。




📗 64(ロクヨン)  横山秀夫 著



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64(ロクヨン)というのは、昭和64年のことを指します。
昭和天皇が崩御されて、
僅か7日で幕を閉じた最後の昭和の時代に起こった、
幼児身代金誘拐殺人事件のことです。


これも、ドラマにも映画にもなりましたので、
ご存じの方も多いと思います。
このストーリーの最後のところで、
あぁ~なるほどそういうことだったのか!!
と感動さえ覚えます。

ストーリー
唱和64年に、D県(私は群馬県か栃木県と想像)警管内で
7歳の少女・雨宮翔子が誘拐され、殺害される事件が起る。
当時、捜査一課特殊犯捜査係に所属していた三上義信も追尾班として
初動捜査に加わり、犯人から要求された2000万円の身代金を運ぶ
父親の車を追った。だが土地勘に優る犯人に翻弄され、
身代金はまんまと奪われ、5日後に翔子の遺体が無惨な状態で発見される。幼い少女の死と遺族の慟哭を目の当たりにしたD県警は、
平成の世に紛れた犯人を逃がすまいとこの事件をロクヨンという符丁で呼び解決を誓うが、遺族に吉報がもたらされないまま時は過ぎ、
捜査本部は専従班に縮小され、名ばかりの継続捜査状態となっていた。
時効間近のロクヨンについて警察庁長官が視察に訪れることが決まり、
被害者遺族宅への長官の慰問許可を取り付けて来るよう
上司の赤間から命じられた三上が雨宮宅を訪ねると、
雨宮は長官の慰問を拒否する。
そして、
ロクヨンを模倣したと思われる誘拐事件が発生する。


この小説のキーワードは、電話です。
主人公の三上も家出した娘から電話を一日千秋の思いで待っていました。
同じ頃、主婦による重傷交通事故が発生し、
事故死した高齢の男性の話が、とても印象的でした。
その男性は、身寄りがなく、その日暮らし、
でも、良いことがあったときだけ、
コップ酒を一杯だけ飲むことにしていたのです。
少ない生活費が入ったときだけの月に一度のお楽しみ。
だが、その日は月に一度の日ではありませんでした。
ただ、その日、嬉しいことがあったんだと心から喜んでいたのです。
誰だかわからないけれど、自分のところに電話をしてきた者があったと。
身寄りのない自分に、誰かが電話をかけてくれた。と
それなのに、運悪く交通事故にあって亡くなってしまいます。
実は、これには理由があったことが最後にわかります。

最後にジグソーパズルのピースがピタリとそろうように、
よくできたストーリーです。
これが、現在でなく昭和の時代だからこそと唸らせる程、
素晴らしいどんでん返しがあります。

因みに、この作品の主人公の三上役は、
映画では、佐藤浩市氏
ドラマでは、ピエール瀧氏でした。
役柄としては、ピエール瀧氏がピッタリと思います。



📙 姫川玲子シリーズ(ストロベリーナイト等)
  誉田 哲也 著


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すでに「ストロベリーナイト」は、ドラマ化されていますので、
ストーリーはご存じの方が多いのではと思います。
シリーズとして、
10巻目(オムニバス 警部補 姫川玲子)が
出版されています。


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著者の誉田哲也氏は、松嶋菜々子さんを
イメージされて書かれたようですが、
ドラマでは、竹内結子さんが演じています。
姫川玲子の可愛くもひた向きなイメージが
竹内結子さんにピッタリでよかったと思っています。


ストーリー
主人公姫川玲子が、17歳の夏の夜、暗い公園でレイプされた上に
ナイフで腹部を刺される事件に遭遇する。
心身ともに深い傷を負う玲子だったが、
ある婦人警官に励まされ、次第に元気を取り戻していく。
そんな矢先、その婦人警官が奇しくも
玲子を襲った犯人によって殺害され、殉職してしまう。
その婦人警官を思い、玲子自ら警察官になることを決心するのです。
彼女は、ノンキャリア(叩き上げ)でありながら、
警部補の試験に見事合格し、警視庁捜査一課の班長として、
数々の事件を彼女自身の独特の嗅覚で、見事解決していく。


私が推理小説を読んだ中で、警察組織という国家権力を
これほどまでに、リスペクトしているのは珍しい感じがしました。
姫川玲子が警察という男社会で、
年上の屈強な男たちを部下にしている様は
フィクションだと思わないわけでもないけれど。
次々と起こる事件が、眼を背けたくなるほどの異常さで生々しく
そんなことには全く意に介さない玲子ですが、
ときにレイプのフラッシュバックで、恐怖にさいなまれます。
玲子のことを思いやりを持ってサポートする菊田巡査部長。

そして、

「お前の捜査はな。警察ではなく、犯人よりの視点からの捜査だ。」

と言い切る。
仇敵、悪徳刑事 頑固一徹 略してガンテツこと勝俣健作との対峙など。
事件だけでなく、署内の人間模様も興味深いです。


竹内結子さん登場のドラマでは、インシブルレインまでだったと思います。
ドラマの中では、姫川警部補と菊田巡査部長との恋愛の行方が
大変気になっていました。

本では、その後のことが書かれていて
姫川玲子は元気に、依然として活躍しています。

この本は10巻目で、まだ続いていますが
インシブルレイン以降は、
とくに、ガンテツの登場が多くなっています。

ストーリーは、さすが誉田 哲也ですね。
どれも充分に面白いと思います。



#読書の秋2021 #読書感想文

最後まで読んでくださいまして、ありがとうございました。



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