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老成した人。

駅のホームで、ベビーカーで寝ている息子を見て、「あなたもこうだったのよ」と、ぼくの肩をぽんぽんと撫で、声をかけてくれたおばあさまがいました。

全く嫌味がなく、老成された慈愛を感じさせる上品なお方。

その斜め後ろでは、おばあさまをどこか心配そうに見ている、ちょっと強面のおじいさま。


なんとなく、自分の両親の将来はこんな感じなんかなーと想像された。

父は、気丈な人で、感情表現がうまくなく不器用だけど、人一倍母さんのことが好きで、実は子どものことを大切に思っている人。

常識人で、人の迷惑になることを嫌う人。



たぶん、おばあさまに対して、「差し出がましく思われるからやめておけ」といった心配をしていたのだと想像される。
ただ、電車が来ると、率先して「お先にどうぞ」と言い、道を譲ってくれる。

その後自分が乗り、少ない単語でおばあさまを優先席に導く。


そんな不器用なおじいさま。


たぶん、ぼくの父もこんな感じだと思う。



自然とニヤけていたからだろう。


なんとなく、変なことを考えているのだろうと怪訝そうに見られているのを察知して、


(誤解されたら嫌だから、)


寝ている息子を見て、微笑んだ。


想像は自由だよねー。

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