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この世界に堕とされて

もしも ねぇ こんな夜には
明けないはずの空に 願いを込めて
眠れない時間だけが
澱みなく透き通って行くのは そう
やがて眠りに落ちて行く
そんなひと時を待っているから

もしも こんな夜には
ねぇ 想像もしなかった未来への
憧憬ばかりが膨らんで行くけど
そう この胸の内には
色鮮やかな 花々の咲き誇る場所がある

それはまるで海原のような
遠く しんみりとした 夢心地

揺れるあなたの影に
そっと口づけを 相対する互いの景色が
ほら こんなにも憂鬱な響き
仄めかしてしまうから

もしも こんな夜には そう
星の流れる光景が燦々と揺れて
見つめ合う その一瞬の彼方に
この世の切なさを想う
大切なあなたを抱き締める
この限りの無い優しさの中で 眠る時を

揺れた 花々の影が
狼狽えた心の移り変わりを見ているようで
ねぇ どうして あなたは
そんなに優しい瞳をしているの?

木漏れ日のように さんざめく
この心の移り変わりが なんだか怖くて
もう離したくはない
と 願いを込めた 筈の赤裸々な告白なんて
期待してないから...

だから ほら
こうして華やいだ この花々の咲き満ちる
世界に堕とされて 出逢ったのは
きっと... そう
見つめ合う 一瞬の その彼方に
この世の切なさを 確かめる あなたへの想い
だったのかな..

狼狽えた うろたえた


#詩 #現代詩 #みやすけの詩 #汽水空間

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