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この世の幻想

微かな体温
心象を映し出す眼差し
今にも蕩けそうな 心地の最中
あなたはそう いつまでも優しくて

騒々しい現実
迷子になった この手を握る 確かな心地に
訳もなく 溢れる涙
そう あなたの優しさに
つい 絆されてしまいそう だったから

穏やかなる雲の上 蒼く颯爽と
疾る風に乗り あなたを捜した
燦めく夕間の暮れし刻 あなたは何処へ

揺らめく幽玄の空
果てしなく続く あの陽光の先には ねぇ
もう 二度とは触れ合えない
この指先の想いが 煌めいているから

混沌とした この世界の中で うずくまる
あなたのその眼に映る景色は 一体なに?

限りの無い 優しさの中
不意に零れ落ちた涙に 心騒ぐ
もう既に この温もりだけでは 淋しくて

一体 どうして?
この胸の中の気持ち 切なくて
触れ合えない時間が経てば 経つほどに
遥か未来の約束は 覚束なくなるのに

冷たく 弛緩する この瞳 見つめて
ずっと 微笑みかけてくれる
あなたは一体 どんな気持ちで居るの?

ねぇ
騒々しい現実は あまりにも唐突で
身体の奥深くにまで 傷跡を遺すの
この胸の苦しみ 深く侵食されたまま
あなたと果てたい

この想いに 絡まる運命の赤い糸
ねぇもう 何も要らないから
この手の温もりだけは 忘れないで

ねぇ 何処へ行くの?
二人だけの秘密 抱えたままの 瞳
思わず溢れ出しそうな感情に
想い留める為 幾度となく唇は重なる

ねぇ 胸の中に抱えたままの
二人だけの秘密

永いこの道の途上 儚き命の夢路に
もう 二度と逢えないのなら
ねぇ 辛辣なその笑顔 どうか見せないで

やがて星々の明滅に 静まり返る夜空の
鮮やかなる花々の揺られし その陰に
あなたと この世の幻想を見た

#詩 #現代詩 #みやすけの詩 #汽水空間

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