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寄り道したら大仏

 花粉や黄砂が落ち着いてきて、久しぶりに遠くの山が見えた。梅雨を控えるくらいの時期になると、私は海を眺めに行きたくなる。海に行くなら温泉もセットなのが私の決まりなのでgoogle mapで目的地を探していると、近所に「日本寺」という寺があるらしい。よし、今回はそこに寄り道をして温泉に入ろう。

進路は南!

高速道路を使って房総半島の南へ向かう。

 私は毎日車通勤をしているし、業務時間にも運転することが多いから割と年中運転しっぱなしだが、それでも時折、何時間も運転して遠くに行きたくなるときがある。今日はまさにそんなときで、天気も相まってドライブ日和だった。いつも混んでいる穴川IC付近は今日もやっぱり混んでいたけど、ようやく抜けて千葉東JCTを通過する。今日は南へハンドルを切って目的地へ向かう予定だ。
 本当は渋滞しているときに頭上すぐにあった大きな看板が撮りたかったけども間に合わなかったので、今か今かと待ち伏せて撮った一枚。字の一部に白い線が見えるのは、看板が逆光で真っ暗になるのを防ぐために字の形にスリットが入っているかららしい。

徐々に景色が山がちになってきた。

 景色が山がちになるにつれて再認識してきたのは、千葉県は山が少ないということ。千葉市に住み始めたころは目印になる地形がなくて困ったものだった。調べてみるとどうやら全都道府県の中で平均標高が最も低いらしい(平均標高42m)。どおりで山が見えないわけだ。私は高低差のある景色が好きだから、千葉県は退屈で仕方がない。本当かウソか知らないが、平均標高の高い都道府県ほど、美術館や別荘、旅館が多いらしい。起伏に富んだ地域に魅力を感じる人は私以外にもたくさんいるようだ。

目的地はすぐそこ。意外と言ったら失礼だが予想以上に人手が多かった

高速道路を降りて

踏切の向こうは海。こんな景色が見たかった!

 高速を降りてすぐ、願ってもないようなスポットが出迎えてくれた。神奈川に行くと、海が見える踏切があるアニメの聖地になっていて観光客が絶えない…なんてうわさを聞く。だが、この踏切は私が見つけた私の聖地であるから私の独り占めである。まあ、地元の人なんかはとっくに知っているだろうけれど。
 散歩の醍醐味はこういう願ってもない景色との出会いだ。そして、先に見える道を左折して海沿いを行くと目的の温泉につく予定。

空が霞んでいてよくわからないが実は左端に富士山が見えている。

 途中、あんまり海がきれいだから車を停めるとどうやら海水浴場の駐車場らしい。実は「海辺で温泉に入る」その一点で行き先を決定していたので、こんなにいい景色、きれいな海があるとは思っていなかった。とはいっても、海に入るには少し涼しすぎるので景色を眺めておしまい。夏に来てみてもいいかもしれない。
 霞の乱反射でカメラには収まりにくいが実は富士山が見えるほどの晴天。後述するが、実はこれカメラの設定のせいで余計白んで見えている。海の青さを十分に伝えられていないのが悔やまれる一枚。

 この駐車場に入る直前、山に伸びていく細い道に「日本寺」という看板を見つけた。第一の目的地へむかう。

日本寺に到着

参道から見上げる鋸山
参道自体も断崖にある。

 今回の目的地の一つ、鋸山は富津市と鋸南町を分かつ標高329.5mの山で、房州石の産地として盛んに採石が行われてきたことから、石切場の跡が随所に見られそのゴツゴツ、ギザギザした山肌から「鋸山」と呼ばれている…らしい。日本寺は神亀2(725)年、奈良時代の創立だから、寄り道で行った割にはめちゃくちゃ格の高いところだったらしい。詳しくは公式サイトから。

 鋸山は、中腹に無料の駐車場があり一番下から歩かないで済むようになっている。だから、実はタイトルにある大仏は険しい山道にもかかわらず駐車場からものの5分もしないで到着してしまう。

参道はほとんど階段

 東口管理所から入場して階段をいくつかのぼると日本寺のイチオシ、日本最大の石造の大仏座像にお目にかかることができた。

大仏にお目見え

大仏の足元、既に大きさがうかがえる。左の木陰では南アジア系の二人組が禅をしていた

 格が高いと先ほど言ったが実は大仏左手には、インド国政府から贈られたブッダガヤの聖菩提樹の分木が植えられている。もともと聖菩提樹は、その根元で仏陀が涅槃に入ったことで聖菩提樹とされているわけだが、当時の木がそのまま残っているわけではないらしい。菩提樹という樹種は挿し木でよく育つことから、仏教弾圧だったり、腐敗や嵐で木が枯れるたびに新しい木を植えてきたらしい。
 そうやって聞くとありがたみが薄れてしまうが、分木と言えども聖菩提樹が植えられているのは、インド近辺を除くとベトナム、アメリカ、フィリピン、そして日本の日本寺と非常に限られた場所なのは間違いない。
 だからだろうか、南アジア系の観光客が多く見受けられたし、木陰で禅を組んでいる人たちまでいた。

摩崖仏だったら日本最大の大仏らしい。

 仏像のジャンル分けは非常に面倒だ。石造の仏像の中でも、お地蔵さんみたいに持ち運べるようなのは「石仏」、自然の岩壁とかに作られたのが「摩崖仏」、石のくぼみの中になかで彫られたものが「石窟仏」らしい。
 そして、日本寺の大仏はその高さが31.0m。日本最大の摩崖仏と言われている。 
 余談だが、ネットで調べていると大分県にある普光寺の摩崖仏が日本最大という記述もあったが…少し調べると、普光寺大仏は大分県内では熊野摩崖仏と並んで県内ではちゃんと最大の摩崖仏らしい。

次回:千葉県屈指の絶景を眺めに

大仏広場は実は下の方。日本寺はまだまだ続く。

 大仏は駐車場から徒歩10分もしないところにあったが、日本寺…というより鋸山はまだまだ続く。東京湾を望む展望広場や、有名な地獄覗き。ほかにも、建築様式が特徴的な薬師堂本殿などにも一行は足を運んだ。



参考資料

〇鋸山関連

富津市HP「鋸山」 https://www.city.futtsu.lg.jp/0000000317.html

〇聖菩提樹関連


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