五郎丸夢蔵

アラフィフ教員です。名前は本名ではありません。ご感想やご質問をお寄せください。

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最近の記事

令和5年夏、熱狂甲子園塾!(その9/最終回)

おまけU18ワールドカップの「スモールベースボール」 U18ワールドカップで日本は初優勝を飾った。選手選考のときから、スモールベースボールという言葉が話題になっていた。馬淵代表監督(明徳義塾)は、「バントのできる選手を20人選んだ」として、小技と機動力で勝つことを宣言した。 大会前には、大砲として名の挙がっていた選手たちを選考しなかったことを疑問視する声もあった。しかし、馬淵監督は、自分の信念を貫いて初優勝に導いた。星稜高校の松井秀喜選手の5敬遠を永遠に批判される同監督だが

    • 令和5年夏、熱狂甲子園塾!(その8)

      あれこれ近江高校 最後はすべてをKEIOの大応援団が呑み込んでいったような印象のある今大会。初戦で負けはしたものの、滋賀県代表の近江高校には甲子園のスタンドから温かい応援が注がれていた。 慶應の人気が今夏瞬間的に沸騰したものであるのに対して、近江高校の人気はこの十数年の間に少しずつ積み上げられてきたものである。近江ブルーとよばれる鮮やかな水色のユニフォームを身にまとい、陽気なチャンステーマに乗って、多賀章仁監督の人柄を映し出したかのように誠実にプレーする選手の姿が、代は変わ

      • 令和5年夏、熱狂甲子園塾!(その7)

        もっと皮肉めいた考察古い日本の歴史へ 慶應義塾高校の優勝は、107年ぶりのことだという。それゆえ、前回の優勝経験者は存命でないとはいえ、全国の慶應中高のOBが結集し興奮していた。各界に著名人を輩出していることもあって、影響力が大きかった。次第にマスメディアの煽りが加わり、さらに「慶應」というだけでおそらく大学の卒業生などまで便乗して、甲子園内外で大騒ぎになった。 決勝戦、グラウンドでは慶應義塾高校の選手と監督とが令和の時代の新しい高校野球を今にも完成しようとしていた。しかし

        • 令和5年夏、熱狂甲子園塾!(その5)

          決勝戦最も失望した映像 今大会のNHKのテレビ中継で私が最も失望した映像が、慶應義塾高校の優勝決定の直後にあった。その数秒間、テレビは、マウンドのピッチャーの元に集まる慶應の選手たちではなく、外野守備から駆け出す一人の選手だけを映し出していた。 彼は、確かに、その決勝戦では決定的といえる活躍をした。端正なマスクのため、戦前から一部マスメディアの注目を集めていた。しかし、慶應高校の栄光は、その選手一人の喜びによって表現されるべきものでは決してなかった。活躍や人気なら、過去の大

        令和5年夏、熱狂甲子園塾!(その9/最終回)

          令和5年夏、熱狂甲子園塾!(その6)

          教育と甲子園テレビ中継 甲子園は全ての試合が開始から試合終了後のインタビューまでほぼ完全にテレビ中継される。放送時間に関しては、プロ野球以上の対応である。 近年は、地方大会の予選から多くの試合がインターネットでも中継されている。私も、今年、注目選手の地方大会をチェックした。それは、もちろん教育者の視点ではなく、ただのファン目線である。甲子園に届かなくても、お馴染みの選手が活躍するのを応援できるのは嬉しいものではある。 高校野球のテレビ中継の目的は何なのか。その目的の優先順位

          令和5年夏、熱狂甲子園塾!(その6)

          令和5年夏、熱狂甲子園塾!(その4)

          森林監督の問題提起に関する考察慶應義塾高校の森林監督は、全国で優勝することによって指導のあり方を含めて新たな高校野球観を訴えたかったらしい。 そうした監督の思いと生徒との間に以前は距離があったが、驚くべきことに、今年のチームは選手も同じ考えを持っていたそうである。 甲子園史上、そのような意識で戦ったチームはない。そんなチームが、現に甲子園優勝を成し遂げるのだから、恐れ入ったと言うほかはない。 ただ、そもそも慶應は何と戦っていたのだろうか。 丸刈り? 長時間練習? 管理野球?

          令和5年夏、熱狂甲子園塾!(その4)

          令和5年夏、熱狂甲子園塾!(その3)

          慶應現象持ち込まれた応援 今大会は慶應義塾高校の優勝で幕を閉じた。 慶應は強かった。センバツや神奈川県大会を見ていたファンならば、間違いなく慶應を優勝候補の一校に挙げていたはずであり、優勝は実力どおりだったといえる。 だが、大会では選手たちの頑張りよりも応援のほうが注目されることになってしまった。 慶應への応援は、試合を重ねるたびにヒートアップし、決勝を迎えたときには度を超えたものになった。 そうした慶應現象は物議をかもし、閉幕から十日以上が経った現在もネット上にはその是非

          令和5年夏、熱狂甲子園塾!(その3)

          令和5年夏、熱狂甲子園塾!(その2)

          今大会目立ったもの(昔目立たなかったもの)ガッツポーズ ワンプレーごとに選手がガッツポーズをする。 これを、どうとらえたらよいのか。 会心の一打を放った瞬間、ピンチを切り抜けた瞬間。 プレーに集中し、出せた結果に、思いが爆発する。 勝敗がつくのは、まだずっと先なのに。 もしかすると、今の選手たちは、 勝敗よりも大事なヒットやアウトを積み重ねているのかもしれない。 一瞬に真剣だからこそ、冷静だからこそ、 いいプレーができる。 自分たちのナイスプレーに、抑えていた情熱がはじけ飛

          令和5年夏、熱狂甲子園塾!(その2)

          令和5年夏、熱狂甲子園塾!(その1)

          はじめに筆者について 私は、現在、高等学校で非常勤講師を務めています。 夏休みは授業がなく勤務がないため、時間に余裕がありました。 それで、高校野球中継をずっと観ることができたという、 世間的にはどちらかというと特殊な立場にある人間です。 私は、以前は公立高校の正規教員でしたが、 運動部の顧問をするのがムリ(≒イヤ)になって退職しました。 そんな人間が、甲子園を語る資格があるのか。 しかし、何かを語ってみたくて仕方がない。 そこで、教師の端くれとして、それでいて高校野球の

          令和5年夏、熱狂甲子園塾!(その1)