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日本が他の北半球の国に比べて劣っている点はセントラルヒーティング(集中温水暖房)

日本が劣っている点は、セントラルヒーティング(温水暖房・スチーム暖房)だと思います。北海道や寒冷地の一部では普及し始めていますが、まだまだ贅沢品。特に北海道を除く本州以南ではほぼないに等しく、雪国の長野や新潟でも殆ど普及していないと思いますし、理解もされていません。

その冬の暖房ですが、北半球における主流は環境にも優しい温水暖房(スチーム暖房)が一般的です。

日本に暮らす外国人から指摘を受けることの一つに、「日本の冬は、カナダやロシア、北欧よりも寒い」ということがあります。冬でも比較的暖かいエリアも多い日本の冬と-20度にもなるカナダでは、カナダの方が断然寒いのではとお思いになるでしょうが、違うんです。日本の「家の中」が寒いということなんです。(逆に暑すぎるデパートとかオフィスビルとは全く別の話です。)

そもそも私たちが暮らす日本の家の生活では、部屋ごとにしか暖めず、暖房設備のインフラは非常に貧弱です。エアコン、ホットカーペット、石油ストーブ、ハロゲンヒーター… こんなものでしょうか。家やアパート、マンションには標準設備としての暖房設備はエアコン以外ないし、一棟一括で管理するシステムも無です。だから寝るときには、特に火を使う暖房は切らないと危ないし、もったいないしで普通は暖房を切ります。

日本に住む外国人は、特にこれに我慢ならないようです。日本の家は寒すぎる!

●日本では毎年石油ストーブを始めとした暖房が原因の火災が多く、多数の命が奪われています。また空気も汚します。そして主流であるエアコンは、上から空気を暖める方式のため、エネルギーの回転が非常に非効率だったりもします。あの温風が苦手な方も多いですね。新築のマンションでは最近になって床暖房が少しずつ普及もしてきましたが、基本リビングのみ。廊下やトイレ、寝室、他の部屋に関しては何もないのが一般的です。

●暖房に関しては韓国の方が国際基準です。もちろん日本の本州に比べて緯度が高いところに位置しており、冬は極寒になるという根本的な理由がありますが、韓国の家の暖房設備は、基本的にセントラルヒーティングシステムが標準設備されています。これは昔のオンドル文化(床暖房の原型)が温水暖房(スチーム暖房)となり、現代版に変化したものです。だから基本的には24時間、浴室も廊下も含めて全室が温かく、室内ではTシャツで過ごせ、冬もアクティブに活動できるという訳です。

<世界のスタンダードはセントラルヒーティング>

●北半球の多くの国々では、どこの家やアパート、マンション(コンドミニアム)でも、線とあるヒーティング(温水暖房)が法律で義務づけられているところが多いです。お湯を通すシステムのため火もでず、空気も汚さず安全で、24時間快適です。常時20度くらいの気温。寒くも暑くもありません。例えばアパートでは地下に温水暖房の設備があり、そこから全館にパイプを通して温水が通るという仕掛けです。しかもそれは基本的にオーナーの義務です。環境に優しく、またそのお湯はトイレやお風呂などにも再利用できます。私が暮らしていたカナダではガスでお湯を温めるところが多いですが、ごみの焼却エネルギーを利用したりするエリアもあります。日本と同じような火山国のアイスランドでは地熱を積極的に利用して温水暖房のシステムを設備しているところもあります。

●現在の日本の(特に本州の)ゴッチャ煮のような暖房設備のガラパゴスは、逆にエネルギーの非効率かもしれないし、冬は手がかじかんで行動も活発にならないため、経済的な損失も大きいのではと察します。今でも、寒い部屋におばあさんが一人、小さなストーブだけで生活していたりもします。寒い夜に火災でも起きたら大変です。

●これは木造モルタル (木賃住宅)がいまだ多いのと、壁が薄く断熱が殆どされていないこと、窓もサッシで2重窓ではない、しかも地震国なので、強固な作りの建築が発展しなかったなど色々あるのかもしれません。耐える文化もあり、全てを暖かくするのは贅沢、という文化もあるのかもしれません。

●床暖房なども少しずつ普及していますが、リビングルームだけというのは中途半端です。どうせなら全室に付けて、部屋ごと・全室などと調整できるようにすればいいのにと思います。 日本の暖房インフラにおける現状では、真の先進国と呼ぶことはできないと思います。日本も、地熱やリサイクル熱などを利用したセントラルヒーティング(温水暖房・スチーム暖房)の価値をもっと理解し、欧州、北米、中国の一部地域やロシア、韓国などでも使用されている世界標準の暖房設備に向けて動き出してもらえないかと、ひそかに思っている所です。


≪温水暖房(スチーム暖房)のメリット≫

  • 石油を使わない

  • 部屋の中で直接火を使わない、火の出るものを扱わない (火災という不安が払拭される)

  • 安全 (お年寄りや子供、体の不自由な方も大丈夫)

  • エコ、環境にやさしい

  • 普及すれば、(特に集合住宅では)暖房費が節減

  • 24時間全館保温のため、冬でも家の中の暮らしが活動的になる(経済や社会の活性)

  • 家の中では厚着をする必要がなく、TシャツでOK

  • 足元から暖める

  • 例え夜暖房をOFFにしたとしても、暖気が朝まで継続する

  • 安全なので、消し忘れの心配から解放される

  • エアコンのようなドライな暖かさではないため、エアコンが苦手な人でも安心

これだけで、日本の冬の環境は大きく変わるのではないでしょうか。冬でも快適に過ごせることから活気ある生活が生まれ、経済効果にも影響していくのではないでしょうか。


さて上記の件に関して、以前運営していたサイトにていくつかコメントを頂いておりましたので、下記に報告させていただきます。

≪Aさん≫
帰国子女です。日本の暖房インフラについては私も何かおかしいって思っていました。実際の国民がこんな状態で、先進国とは言えないと思います。島国だし、行政は利権や私腹を肥やすことで一杯なのか、全然目にも留めない問題だったのでは。他のアジア諸国を卑下してる間に、向こうの方が生活レベルが高くなってしまった、そんな気もします。皆気づかないのが不思議です。

≪Bさん≫
北海道では最近80歳以上の女性が凍死なさいました。ストーブに灯油がなくカラッカラだったそうです。マイナス20度とかでは 火の気がなければ 亡くなるのは当然です。生活保護を受けていた方で高齢では 過酷すぎます。誰も頼れない高齢者の方は灯油をストーブに入れることもままなりませんもの。日本は弱い国民に対して冷たい国だとつくづく思いました。

≪Cさん≫
以前、真冬のスイスに何度か出張に行ったことがありましたが、寒くて震えたのは、いつも帰国後でした。香港のように亜熱帯で暖房設備が貧弱というのは分かりますが、日本の冬は十分寒いです。日本のようにファンヒータなど、室内で石油を燃焼して排ガスを吸うような暖房がいまだに多く用いられているのはまったくおかしいです。

≪Dさん≫
日本の暖房システムの脆弱さが、逆に経済を弱めてしまう感じが否めないですね。暖房以外にも、環境、家の間取り、バスルームの数など、日本以外のアジア各国の方が、皆よい生活をしている(一般中間層)のは、何だかなあ、と思ってしまいます。

ウォシュレットなど細かい技は凄いのに、日本の一般的な住居環境ははっきり言ってよくありません。逆に言えば、今後の日本の冬の産業に関して成長が見込める分野でもあると思います。今後は温水暖房メーカーという新しいカテゴリーが出てくるのではないかと、ビジネス的に密かに思っていたりしています。

これからの日本の冬、どうなっていくのでしょうか。エアコンも各家庭に行き渡ってしまった昨今、もしかしたら、新しいビジネスの起爆剤になるかも?

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