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ガムボールと不思議な兄妹

数年前のはなしなんですが、コンビニでコーヒーマシンにカップをセットして     コーヒーが入るのを待っていると、

隣においてあるガムボールマシンで9歳くらいの男の子が、
おそらく、一個10円のガムボールを次々と買ってるのね。

しかも2代あるマシーンを使いガムボールを出しているんですよ。

後ろに一歳ぐらいの年下の妹に次々と渡していき、彼女はそれをスカートの          ポケットに入れていくんです。

最初は微笑ましいなーと、みていたんですけど、止まらないんです。

凄い勢いでお金をいれて二台のマシーンからガムボールを出していく、               後ろの妹が、そのスピードに着いて行けずつっかえている。少年も妹も両方のポケットともガムボールでふくらんでいました。

『それ、全部たべるの?』

思わずきいちゃいました。

今日日、知らない大人に声を掛けられたら注意するように学校や親からおしえられてるでしょう。こちらも知らない子どもに声なぞかけません。

でも聞かずにはいられないほどの、異様な光景でした。

すると、少年はしっかりとした口調で
『いいえ、普段お世話になってる人たちにくばるんです』
その意外な回答になんて答えてよいのか
暫くかたまって、『え、えらいねー』

すると少年が満面の笑みで

『よかったら、ひとつどうぞ』

赤いガムボールを差し出した。

なあ君、知らないおじさんに物をあげちゃいけないって学校で習わなかったのかい?習うわけないか。

その少年の意外な行動に、なんて答えれば良いのか答えが見つからず、

しばし間が空いて『いや、コーヒー飲むから、大丈夫。ありがとう』

と若干焦り気味に回答し、コーヒーに目をやると、少年は、すぐまたガムボールを勢いよく買い出しました。

できたコーヒーを取り出しながらチラッと彼を見ると、

目があった途端、

今度は二個のガムボールを両方の手で、

『ほんとに、いかがですか』と差し出した。

『気持ちだけもらっておくね、ありがとう』といって店を出るときも、彼はガムボールを買い続けていたんです。

今時、不思議に純粋な笑顔を持った兄妹でした。10歳にも満たない知らない子供達の、そのピュアーさに、ちょっと胸を打たれた出来事でした。

いい意味で、

親の顔が見たいもんだ。



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