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洋館猫又爪裂都市

暗い洋館の中を進む。床も壁も手すりもマホガニーで、木造の洋館。いや近代によく建てられたような、和洋折衷の建築かもしれない。とにかく、その洋館は大きく、果てしない。時折、暗闇に、原色をちりばめたステンドグラスのようなものが目に入るが、外の光は全く差し込んでいない。ただ、何がしかの室内照明がどこかに点いているのか、周囲の壁や床は、仄かに暗闇の中に浮かび上がっている。

その中を進む私は、猫又だ。雌の猫又。私は、灰色がかった水色の肌(毛ではなく、人間と同じ、あくまで「肌」)で、灰色の髪には(肌に対して、頭髪がある)ソバージュが掛かっている。そして、やはり灰色の、下半身がスカートになっているワンピースを着ていた。腹には、白い糸で縫われた、半月型のポケットがあった。ワンピースというか、エプロンとスカートが一体となったような服だった。

そうした格好の猫又である私は、目を吊り上げ、牙を剥き、暗い洋館を前へと進んでいた。猫又とは言えど、人と同じように肌があり、髪があり、服を着ていて、二足歩行している。そして、私はここが非常に危険な場所であると認識しており、警戒して、気が立っていて、臨戦態勢にあり、獰猛な唸り声を上げていた。

そうして進んで行くと、ふと、目の前に、どこまでも下方へ続き、暗闇に吸い込まれていて、先が見えない階段が現われた。しかし、その先はより一層危険な気がしたから、階段を迂回して、同じ階層を先へと進んだ。

そうして進んで行くと、暗闇の中に、巨大な障子や猫の顔などが、時々浮かぶ。私はそれをシャーッと叫びながら、爪で引き裂いて、前に進んだ。引き裂くと、それはプロジェクターによって映し出された光の幻のようなもので、千切れ、揺らめいて消えた。

そのような幻を、鋭利な爪で、宙に×を描くように、斜めに切り裂いて、暗い洋館を進んだ。そうこうしているうちに、突如、未来都市のような場所に出た。夜の闇に、様々な色の光に彩られた回廊が、空中をいくつも渡って、交差している。

その空中の回廊の一つを、誰か人がこちらを見ながら進んで行く。その動きは自動的で、水平型エスカレーターに乗って進んでいるようだった。

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夢は以上。ヘッダー画像は、佐賀県白石町、秀林寺の猫塚である。これは、かの有名な「鍋島の化け猫騒動」に登場する化け猫「こま」を祀るものである。十二年前に参拝した時は、夜になってしまったが、ものがものだけに、その方が雰囲気があるとも言えるだろう。夢の中の暗い雰囲気とも合っている。

ただ、写真の通り、この猫塚に掘られた猫又は、尻尾こそ何本もあれど、四足歩行の猫の姿だ。今回の夢で、私自身であった猫又とは違う。

しかし、かつてこの「こま」が登場した漫画・アニメがあることを思い出した。十五~二十年程前に連載・放映等していた「朝霧の巫女」という作品である。この中の「こま」は、黒い服を着た、黒髪短髪の女性で、今回の夢のイメージにかなり近いだろう。
https://dic.pixiv.net/a/%E3%81%93%E3%81%BE

なお、夢の中の猫又は、この「朝霧の巫女」の「こま」と同様、雌というか、女性であったが、現実の私は男である。

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