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【note】ゲームストップ株で起こった「ネットの反乱」って何だったの?米国の株式市場を揺るがした事件の全貌

 ゲームストップとは、米国の大手ゲーム販売店です。しかし、近年はオンラインでのゲーム購入が増えて、店舗の売り上げが減少していました。そのため、ゲームストップの株価も低迷していました。

 しかし、2021年1月になると、突然ゲームストップの株価が急上昇しました。株価が1月28日、昨年来安値の約188倍の483ドルまで急騰したのです。

 なぜこんなことが起こったのでしょうか?実は、この株価の暴騰は、インターネット上の一部の人たちが仕掛けた「ネットの反乱」だったのです。


 この事件には、主に3つのグループが関わっていました。それは、ヘッジファンドとショートセラー、レディットの掲示板「r/wallstreetbets」のメンバー、ロビンフッドというアプリのユーザーです。

 まず、ヘッジファンドとショートセラーについて説明しましょう。ヘッジファンドとは、大金を運用する投資家の集団です。彼らは、株価が下がると予想した会社の株を借りて売り、安くなったところで買い戻して、差額を儲けるという手法を使います。これをショートセリングといいます。

 ショートセリングは、株価が下がると利益が出ますが、上がると損失が出ます。しかも、損失の上限は無限になります。つまり、株価がどこまで上がっても、買い戻さなければなりません。これをショートスクイーズといいます。

 ゲームストップの株は、ヘッジファンドやショートセラーにとって魅力的なターゲットでした。なぜなら、ゲームストップの業績は悪く、株価も低かったからです。彼らは、ゲームストップの株を大量に借りて売り、将来的に安く買い戻すことで利益を得るつもりでした。

 しかし、彼らの計画は、レディットの掲示板「r/wallstreetbets」のメンバーによって妨害されました。「r/wallstreetbets」とは、株式投資に関する話題をやりとりするオンラインコミュニティです。ここには、株式市場に挑戦する個人投資家が多く集まっていました。

 個人投資家たちはヘッジファンドやショートセラーがゲームストップの株を売りすぎていることに気づきました。そして、彼らに反撃するために、ゲームストップの株を買い始めました。目的は、株価を上げて、ヘッジファンドやショートセラーに損失を与えることでした(これをショートスクイーズといいます)。

 個人投資家たちは、掲示板で情報や意見を共有し、ゲームストップの株を買うことを奨励しました。彼らは、ゲームストップの株を「ダイヤモンドの手」で持ち続けることを誓い合いました。彼らは、自分たちの行動を「ネットの反乱」と呼び、株式市場の既存の勢力に対抗するというメッセージを発信しました。

 この活動は、ロビンフッドというアプリのユーザーにも波及しました。ロビンフッドとは、株式取引を無料で行えるアプリです。このアプリは、個人投資家に人気がありました。特に、若い世代や初心者の投資家が多く利用していました。

 ロビンフッドのユーザーも、レディットの掲示板の影響を受けて、ゲームストップの株を買い始めました。彼らは、ゲームストップの株を「人気の銘柄」として見て、参加することで利益や楽しみを得ることができると考えました。

 こうして、ゲームストップの株は、インターネット上の一部の人たちによって、大きな注目を集めることになりました。彼らの買い注文が相次いだことで、ゲームストップの株価は急上昇しました。


 ゲームストップの株価は、1月末にピークに達した後、下落し始めました。2月4日には13ドルまで落ち込みました。これは、株価の暴騰によって生じたバブルが崩壊したことを示しています。

 この事件は、株式市場に大きな影響を与えました。ヘッジファンドやショートセラーは、巨額の損失を被りました。一方、ゲームストップの株を買った個人投資家は、利益を得た人もいれば、損失を被った人もいました。また、ロビンフッドは、ゲームストップの株の取引を制限するという措置を取りましたが、これに対してユーザーや政治家から批判を受けました。

 この事件は、インターネットのコミュニティの力がどれほど強いかを示しました。彼らは、株式市場のルールや常識にとらわれずに、自分たちの意志で行動しました。彼らは、ゲームストップの株を単なる金儲けの手段ではなく、自分たちのアイデンティティやメッセージの象徴として扱いました。

 ゲームストップ株で起こった「ネットの反乱」は、2021年の株式市場の歴史に残るできごとでした。インターネット上の一部の人たちが、株式市場の既存の勢力に挑戦したという物語は、多くの人々に感動や興味を持たせました。ゲームストップの株は、ただの株ではなく、ネットの反乱のシンボルとなりました。

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