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備忘録 | 23年8月

(できれば毎月)残していきたい備忘メモ。基本は月々の振り返りになるけれど、詳しく記すというより、あくまでメモのようなものとして。


劇場鑑賞 映画

『バービー』

監督:グレタ・ガーウィグ

バス停で老女に目を向け、マーゴット・ロビーが「美しい」と伝える。老女は顔を上げて「わかってる」と答える。作品内で最も美しいシークエンスだと思う。
また何より本作で輝いているのはライアン・ゴズリングのケン! ケンの歌唱シーンは切なさが胸に迫る名場面だ。 
大量の説明的なセリフや一見重要に受け止められるメッセージよりも、これら瞬間の煌めきにこそ、世界を変える力が宿っていると信じたい。それを自分は「映画」と呼んできたはずだ。

『メーヌ・オセアン』(1985)

監督:ジャック・ロジエ

軽やかな映画ってこういう作品のことを言うのだと思う。前半でブラジル出身のダンサー、デジャニラが主役だと思っていたが、いつのまにか検札係が主役になって終幕する。その自由さに感動してしまう。
物語は電車から船、陸路から海へと移動し、ラストで再び陸路に戻ってくる。ブラジル出身のデジャニラはフランスからアメリカへと飛び立っていく。国境、陸・海、そして主役・脇役と境界線が軽やかに乗り越えられていくことの清々しさが、私たち観客の心も自由にする。

『クライムズ・オブ・フューチャー』

監督:デヴィッド・クローネンバーグ

臓器手術ーセックスー食事は、それぞれ相関関係を織りなす。なぜならどれもが異物を体内に招き入れる行為だからだ。ヴィゴ・モーテンセンがスプーンで豆(?)みたいなものを食べる食事シーンが何度か出てくる。しかしそのどれもが、全くおいしそうに見えない。
唯一、食事シーンでおいしそうに見えるのは、冒頭ブレッケン少年がプラスチックのゴミ箱をバリバリ食べる場面。ラストで見せるヴィゴ・モーテンセンの恍惚とした表情は、進化した人間になれる希望よりもむしろ、これからプラスチックをおいしく食べられる喜びに満ちているからだろうか。


プレイリスト

自分は『yeezus』大好きなので、トラヴィス・スコット『UTOPIA』も好みだった。しかし何よりジャミラ・ウッズ! 今回リリースされた2曲とも最高だ。

仕事

宮藤官九郎×大友良英 対談 - NiEW

取材執筆:島貫泰介さん 撮影:寺内暁さん

新海誠 インタビュー - JFF+

取材執筆:嘉島唯さん 撮影:黒羽政士さん

その他

JID Forever & A Day

曲がいいアーティストや、盛り上げ上手なアーティストのライブを見るのも、もちろん楽しい。しかしとにかくスキルがすごいというだけの理由でテンションがいつのまにか上がってしまうライブは気持ちがいい。特に"Off Deez"の詰め込んだラップは会場が一体になってそのラップテクニックに狂乱していた。
ライブ終わり、10分以上かけて最前列のファンにJIDはサインをしていた。この日のライブは本人もご機嫌だったみたいでうれしい。

『アレックス・ダ・コルテ 新鮮な地獄』

金沢21世紀美術館

素晴らしい展示はたくさん見てきた。しかしここ数年の中で一番自分がFeelできるアーティストだと感じた。もちろん才能などは桁外れだけど、見てきたもの、好きだったものが自分と似ているのではないかと思う。
友人から送られてきたエミネムの写真を、自分の写真と勘違いしたというアレックス・ダ・コルテのエピソードが大好きだ。
さらに、展示会場の周囲に3つポンッと置かれたこのエミネムに扮した展示物の1つを、年配女性が「休憩用の座席」と勘違いしたのか普通に座っていた。この「2つの見間違え」には同行者とともに大爆笑した。

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