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【覚書・感想】文学フリマ京都8

先日の文学フリマ京都8、ありがとうございました。
おかげさまで『写真集×短歌 イスタンブール旅行記』を多くの方にお届けすることができました。

恒例の覚書を書いていきます。

全体のこと

今回は出店数が例年の1.5倍、売り場面積も全面使用に変更。最終的には来場者も1.5倍で京都会場過去最高とのこと。去年参加した京都、広島、大阪、福岡も全て最高記録を更新しており、コロナ禍を経てこのイベントの知名度・関心度はますます右肩上がりになっているよう。
しかし規模が倍以上の東京会場は広すぎ&人が多すぎて逆に売れない、という経験者の話を聞いているので、京都会場の成長は嬉しくても肝心の自分のブースが埋もれてしまう危惧もあった。去年広島会場、福岡会場に出てみて、小規模ながらもお客さんにじっくり見てもらえる良さ、ゆったり感を味わっていたからなおさらかもしれない。

単身で初めて出店したのが2017年の文学フリマ京都1で、2021年の京都5が中止になった以外は毎年出店しているからゴタンダ単身名義での活動歴としては8年目、出店回数は11回目(おかげさまで継続できているのだけれど、今年は仕事が忙しくなりそうだから、来年のことはちょっとわからない…)。
もし本づくりをしてみたい人がいて、さらに反響があるか試したい、という方がいらっしゃったら、経験者としてはぜひ文学フリマの波に乗ってみることを勧めると思う。自分などは年月を重ねるとともにできることが増えてきて、新刊を出すたびに見た目がグレードアップしていき、販売金額も上げざるを得なくなってはいるけれど、その分上達を感じているところ。中身についてはファンタジーだったり童話だったり詩だったり短歌だったり、今回は旅行記というように、毎回カテゴリが違うのでなんともいえませんが…。
書く楽しさと作る楽しさはまた別物であり、そこに売れたときの喜びが単純に加算される。入稿前はけっこうきついけど、毎年新刊出したくなってしまう魔力が文学フリマにはある。

新刊『写真集×短歌 イスタンブール旅行記』を発売

今まで活字がメインの本づくりでしたが、去年初めてカラー写真を使った『詩集 水の反映』を出し、それに味をしめて…というのもあるけれど、InDesignが期限内に使えるうちにレイアウトをがんばる本を作ってみるのもまた挑戦と思い、写真メインという今までとは違った雰囲気の新刊を出してみた。ビジュアルの訴求力は強く、文学とは違って「イスタンブール旅行記」というストレートなタイトルも中身の想像がしやすいと思う。今までの読者層にはひっかからないかもしれないけれど、ゴタンダの名前を外に広げていきたいと思ったときに挑戦しやすいジャンルであることは意識していた。経費がかさむ横綴じ製本にしたのも、レイアウトのしやすさに加えて、見た目のひねりを狙ったもの。おかげで、いつもは素通りされるような方にも手に取っていただけたのではないかと思う。立ち読みして「これ全部ご自身で?」と驚いてくれる方もいらっしゃった。デザイナーである知人は「本屋に売ってる本みたい!」と言ってくれたし、当日来てくれたしんきろうの面々もわりと感心してくれたよう。
ただ金額はやはり地方の文学フリマの相場より高くて、実際購入してくれるかと言うと一見さんには難しい部分もあるようです。でもその代わりに渡せるチラシ、それもカラーで見栄えのするものを作ることで、いつもより遠くまで種を撒けていたらいいなあ。

単価が高いこともあり売上は過去最高に到達したけれど、冊数的にはやや弱くて、内容のニッチさ、購入に至る金銭的なハードルの高さを差し引いたとしても、ブース位置というのは大きく左右しそう。詩歌は例年の場所ではなく、見本誌コーナーまでが遠かったのはどうしても不利になってしまう。せめて入り口が近くてよかったけれど、ふらっと来てすべてのブースを丁寧に回れる気はしないから、どれだけ目立つか、というところも戦略に入れないといけない。事前の告知も重要。今回WEBカタログの「気になる!」ボタンを押してくださった方がいつもより多くて、迷いなく新刊を買いに来てくださる方もいたから、みんながリサーチを始める前に登録しておくことが大事かと思う。今回はいろいろあってSNSでの告知が後手になってしまったけれども、ガチのリサーチ勢はちゃんとWEBカタログで情報収集してくれるんだな、という感覚がありました。自分はそれどころではなかったのですが…。

それから、今回は実は出店カテゴリを「写真集」にするか「旅行記」にするかで迷ったのだけど、作中に短歌をちりばめるという試みをしたこともあり、いつも短歌で出店されている人たちにも「短歌でこういう本をつくったよ」というのを知ってもらいたくて、あえて短歌のカテゴリで申し込みをしました。次の会場からはアウェイなので、「旅行記」「写真集」とかでいろいろ出てみて、売れ行きを見守りたいと思う。だんだんやってることが文学フリマオタクっぽくなってきた気がする。いや、でも研究しがいはあると思います。

下記ポストは実際に読んでくださった方に向けてあとがきみたいな感じで書いたのですが、表紙のがんばりとその反響についても詳しく書いています。

↓通販もしてます

その他

・とても印象的だったお客様の中に、小学生くらいの天使のような双子ちゃんがいらっしゃいまして、「これ詩だね」って言いながらふたりで『詩集 水の反映』を立ち読みされて、しばらくしたあと戻ってきてくれて、ふたりでお金を出し合って購入してくださったのです! ほんとは50円足りなくて、「これで十分です!」と喉元まで出かかったのですが、なんとなくふたりの買い物体験に水を差してしまう気がして定価でお支払いいただきました。お母様によると、すでにたくさん買ってしまってお金もないのにどうしても最後にほしかったそう。後になって、いったい何が刺さったのだろう?と思って久しぶりに読み返してみたら、ふたりが見ていたところは仕事に疲れたサラリーマンの詩なんだけれど、それを土曜の朝のパン屋とか、いわし雲を泳ぐ現実逃避に落とし込んでいることが、もしかしたら20歳以上年が離れていても共通言語になり得たのかもしれません(他の童話・ファンタジーも子ども向けに書いているわけではないです。子どものころから趣味が変わっていないだけかもしれない…)。

というかよくよく考えてみると、見ず知らずの中年が詠んだ詩を手にとって、お小遣いで買いたいと思い、物怖じせず買っていくなんて、すごい小学生ではないでしょうか。話によると昨今の子どもたちは漫画すら活字が多くて読めないほどの動画世代と聞いていたため、これはかなりの衝撃体験でした。手に取りやすい変形小サイズで、可愛らしい本という評判はありますが、小さな女の子たちの手にも読みやすい本を作ったことが、今になって大正解な気がしてきました。そのみずみずしい感性に選んでもらえたと思うと光栄で、本当に得難い体験になりました。それを一緒に見守ってくださったお隣さんとも喜びあえたのも嬉しかったです。

↓『詩集 水の反映』についてはこちら

・他にも、久しぶりに会えた文フリ仲間が息災であったこと、文フリ仲間である大学の後輩がわたしの同期を連れてきてくれて数年振りに会えたこと、買わなくてもいつも差し入れをくれる律儀な後輩が、短歌を始めたと言ってこっそり教えてくれ、「自分と詠み方が違って面白い」と言って『イスタンブール旅行記』を買ってくれたこと、読者からメルマガの感想をいただいて「やっぱり継続したい!」と思えたこと、文フリ京都に来たらゴタンダくんに会えるからと言ってくれる仲間たちなど、いつにも増してつながりを感じられるような、嬉しいこと満載の日になりました。プライベートでいろいろあって二日前まで弱っていたのですが、ぜんぜん関係ないお喋りが励みとなり、心から感謝しております。

#文学フリマで買った本

(少しずつ読んでいます。感想はこのポストに加筆する形で更新していきたいと思います。)

次の出店:2/25(日)文学フリマ広島6

文学フリマ広島、今年も出店します!
『写真集×短歌 イスタンブール旅行記』はこの日までは、会場限定刊行記念特別価格で販売いたします。

◇日時:
2024/2/25(日)11:00-16:00

◇場所:
広島県立広島産業会館 東展示館 第2・第3展示場
〒732-0816 広島市南区比治山本町12-18

◇ブース:B-24

☟WEBカタログ

☟イベント詳細

新刊・出店情報は下記ポストにまとめています。


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