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アメリカセンダングサは、荒れ地の開拓者

春になる前から、今年は畑をやろうと決めていた。
さらにコロナで活動自粛だったので、たっぷりと畑時間をとれた。

畑にこんなにちゃんと向き合ったのは、はじめて。
だからどんなことをやっても見ても、新鮮な驚きがあった。

今シーズンいちばん気になったのは「アメリカセンダングサ」。
名前を聞いてもピンとこないかもしれないけど、花がとげとげしてくっつくので、子どものころは投げて遊んだことがあると思う。
花が実に代わると、チクチクたくさんのタネがジャージのような柔らかい服にくっついて、取り去るのがめんどくさい植物。


畑を耕して、何よりも先に芽が出てきたのがアメリカセンダングサだったし、除草剤が撒かれた痩せた土地に生えてくるのも、アメリカセンダングサ。
防草シートを貼っているところでも生えてくるのが、アメリカセンダングサ。
草が生えていない裸地で、一番元気な植物かもしれない。
条件が悪くても生えられるので、土地を耕して他の植物が生えやすくするパイオニア的な植物だ。

アメリカセンダングサって、ほんとうにすごい戦略の持ち主でありながら、柔軟だし、働き者だし、もし人間だったら大成功しているんじゃないかと思う。

戦略そのイチ、「手数がとにかく多い。」
タネが多い。
近くにものすごくたくさん落ちているはず。
だから、そこらじゅうにまんべんなくタネが撒かれていて、スキあらばどんな場所でも生えてこようとする。
とりあえずはやってみようと、どんどん手を動かすタイプ。

戦略その二、「行動が早い。先手必勝。」
耕したばかりの土から、なによりも一番最初に芽が出てくる。
とにかく早い。
畑で誰よりも最初に芽が出てきたのが、このアメリカセンダングサ。
葉は細くて厚みもない貧弱なつくりなんだけれど、とにかく他の植物よりも先んじて芽を出して場所をとるのが戦略らしい。

戦略その三、「上へ伸びる。」
早く芽が出たら、こんどは上へ伸びる。
丈が伸びる早さもはんぱない。
放っておくと2メートル近くにまで伸びる。

戦略その四、「いろんな状況に対応できる柔軟さ」
「風の草刈り」で月に1~2回程度刈っていたところでは、株が分かれて低く小さくなりながらも、枯れることなくしっかり生えていた。
風の草刈りをしたあとの植物はみんなそうなるんだけれど、普通は根が小さく浅いんだけれど、風の草刈りをしたところは、広く深く根が張っていた。
強い風に揺られるのと同じことなので、地面の下でしっかり踏ん張るようになる。
そうやって広く踏ん張った根は、硬い土を細かく耕してくれて、ミミズや昆虫が住みやすい環境になる。
土が細かく団粒化されるので、隙間に水が沁みこんでふかふかの土に代わっていく。

なぎ倒されたところでは、ツル植物みたいに地面をはうように生えている。
茎ぞいに根も張って、横倒しで安定する体制になっている。

なんだろう、臨機応変、気が利くし、人間だったらモテモテなやつだと思う。
でも、土地が柔らかく生えやすくなってくると、負けちゃうんだよね。
アメリカセンダングサ。



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