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ビジネスにおけるコミュニケーション円滑化を志向する。株式会社インゲージ代表取締役和田哲也氏インタビュー<後編 ―起業、そして今後の展望―>

今回私は、メールやLINE等の一元管理システムRe:lation(https://ingage.jp/relation/)を提供する、株式会社インゲージ(本社:大阪府大阪市 https://ingage.co.jp )に伺い、和田哲也社長に取材させていただきました。当社製品であるRe:lationや会社の立ち上げ、今後の展望に至るまで熱く、深く、お話し頂きました。

(前編はこちら→https://note.com/gourmet_law/n/n0459d1954dd1

大企業を離れても実現させたかった思い

――大企業ラクスから離れてベンチャーを立ち上げることへの不安はなかったですか。

 ラクスにいたころお給料はだいぶいただいていましたし、当時すでに子供が3人(今は4人)いまして、この給料を捨てるのは……という思いはありました。しかし、ラクスにいながら与えられた責任を全うしていくのか、それとも自分が本当にやりたいと思ったことを自分一人の責任で行っていくのか、その二択をせまられた時、お金じゃないよな、自分が本当にやるべきだと思うことを実行しようと決断しました。家内(注:現取締役 総務財務部長小松みゆき氏)にも相談したのですが、自分の選択を二つ返事で受け入れてくれてありがたかったです。

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成長企業だからこそ大切にしていること

――インゲージの理念や社風について、和田社長が大切にしていることはありますか。

我々が理念として掲げているのは、「お客様がより本業に注力できるITシステム・サービスの提供」、「お客様の喜び、楽しさを提供する」、「先憂後楽」の3つです。この3つはとても大切にしていて、例えば、インゲージのロゴも「ingage」の文字の下に「Make IT Easy」の文字が書かれていますが、この言葉は3つの理念を一言で表したものです。(Make it easyとITを掛けている。)そういう細かいこだわりを持っているという部分で言えば、大手IT企業の中ではアップル社の社風に近いものがあるかもしれません。

――会社としては、どういった人材を集め、評価しているのでしょうか。

 人は十人十色で、得意なこともあれば苦手なところもあるわけですから、一つの側面を見て良い悪いの判断はできないと思っています。だからこそ、個人がもっている力を発揮して、その人の役割を果たしている部分については、きちんと評価していくことを心がけています。
 また、我々はまだまだ成長企業で、日々成長し続けているがゆえに、仕事の幅も広がりを持ってきます。そのため、自分のお決まりの仕事をやっていさえすれば良いと考える人ではなく、仕事の広がりを厭わない、積極的な人を求めていますし、そういう人材がたくさんいることが自社の強みです。

時代の先を見通したシステムづくり

――先日、インゲージは「ASPIC IoT・AI・クラウドアワード2020」支援業務系ASP・SaaS部門においてテレワーク特別賞を受賞していました。コロナ禍でリモートワークが増える中、やはりRe:lationの需要拡大が見込まれるのでしょうか。

 コロナの影響で急速にテレワークへの移行が進む中、短期間のうちに大企業にRe:lationを導入いただくこともありました。ITでコミュニケーションをとることはテレワークでは必須のことなので、我々にとっては追い風が吹いているといえます。ただ、お客様の中には、コロナ禍を受けて大変苦労されているところも多く、決して喜ぶべき状況ではありません。
 コロナ禍によりビジネスチャンスが到来したというよりは、刻々と変化する世の中にも対応可能な、お客様のビジネスを支えていくI Tシステムを作ったことにより、コロナ禍をきっかけとした世の中の変化に対応できたのだと思います。ですからこれからも、我々の理念である「先憂後楽」の思いをもって、世の中の一歩先、二歩先を見通して、サービスを考案できたらと思います。

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インゲージのこれから

――競合としてはアメリカのZendeskだと思いますが、競合他社との差別化戦略についてお聞かせください。

 手の内はあまりお伝えできないんですけど。(笑)どれほど社会が変わっても、我々の原点である、「ビジネスにおいて多様化していくコミュニケーションを、いかにストレスなく築いていけるか」という部分は変わらないものだと思います。ここを中心に据えて大切にしているというのが、我々と他社の違いだと思います。単に機能の充実・進化を目指すのではなく、根本の理念をぶらさないように意識しています。

――正直、Zendeskの存在は脅威なんでしょうか、それともチャンスだと感じていらっしゃるのでしょうか。

 チャンスだと思っています。あれだけ大きな資本を持っていろんなことに取り組んでいる会社なので、Zendeskの動きから色々なことが勉強できると思います。

――Re:lation に続く製品の開発予定はありますか。

先程お話ししたように、いろいろと構想は持っています。そして、今期はいよいよそのうちの一つの開発に乗り出そうと考えています。それ以上は言えないので、乞うご期待!という感じですね。(笑)そのために、エンジニアやチームを見渡せるP M(プロジェクトマネージャー)の採用にも取り組んでいきたいですし、開発力だけでなく研究力も含めたR&D(Research and Development)の部門を強化していきたいです。

――他国語対応などを含めた、海外進出に向けた取り組みを行っていますか。

 行っています。しかし、Re:lationのシステムを全て英語に変えたからといって、海外でそのまま通用するか、といえば、そうではないんです。ビジネスは、各国の文化や価値観がベースになっているので、それに適合したサービスに変えていく必要があります。例えば、日本とアメリカの違いでいえば、アメリカが自動化を目指す文化であるのに対して、日本はおもてなし文化が根強いです。ビジネスにおいても、そういった文化・価値観の違いに対応できなければいけません。
 また、自国のものを他国に持ち込む場合には、他国の人からすると何かしらの違和感を感じることが多いと思います。それは色使いだったりフォントだったり、とても細かな表現についても言えることだと思うのですが、これらを含めて他国の人に違和感なく受け入れてもらえるように改良することが必要になります。
 いずれは海外で勝負できるようにしたいとは考えていますが、そのためには、もう2、3ステップ踏まなければいけないな、と考えています。ただ、少なくともそのステップを踏まなければならないと分かっているのは、強みだと思います。
 
――インゲージがサポートしたいと考えるコミュニケーションは、ただ単に言葉を伝達する、という形のコミュニケーションではないのですね。

 そうです。コミュニケーションの背景を踏まえた上で心を通わせる、慮ると表現したら良いでしょうか。表層的なコミュニケーションにとどまらない、言葉の裏側に隠された心を通わせるビジネスコミュニケーションをこれからも支えていけたらと思います。

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