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コーポレート・ガバナンス関連ニュース(2019/12/23)

ESGもう無視できない 企業は本気、投資に妙味

【注目ポイント】環境・社会・企業統治を重視するESG投資が急速に広がってきた。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の本格参入で「ESG投資元年」といわれた2017年から2年が経過。もはや市場関係者や投資家が普遍的に意識すべきテーマとなっている。日本企業が相次いでESGへの対応を行っている背景には、金融機関のESGに対する運用ニーズの高まりがある。欧州から広がったESG投資は、17年に日本最大の機関投資家であるGPIFが参入したことで一気に普及した。GPIFはコーポレートガバナンスや女性活躍の推進、炭素効率の優れた企業へ重点投資する株価指数を選定し、18年度末の資産残高は3兆5000億円と1年前の2.3倍に拡大している。

【コメント】スチュワードシップコードの改正案の中身が報道され始めてから、ESG投資関連の報道も増えてきた。記事でも触れられているように日本のESG投資は2017年にGPIFが参入したことで他の機関投資家にも一気に広がっている。それからもうすぐ3年、2020年にESG投資が更に浸透することは間違いないが、個々の企業の経営にどこまで影響力を与えるかはまだ未知数である。


ユニゾHD、従業員による買収で非公開化へ

【注目ポイント】ユニゾホールディングスは従業員による買収(エンプロイー・バイアウト=EBO)により非公開化すると発表。従業員と米投資ファンド、ローンスターが共同で設立した新会社がユニゾにTOB(株式公開買い付け)を実施し、全株の取得を目指す。7月のHISによる敵対TOB以降、複数の投資ファンドによる買収提案が相次いでいた。EBOが実現した場合、ユニゾの経営陣は全員辞任する。

【コメント】約半年間にわたって買収合戦が続いていたユニゾHDの争奪戦だが、最終的に従業員主導のEBOで決着となりそうだ。もちろん、今後ブラックストーンやフォートレス、エリオットなどの動き次第では更なる展開が考えられるが、ここからの逆転は困難とおもわれる。


かんぽ不正 「知らない」社外取締役では守れない

【注目ポイント】かんぽ生命保険の不適切販売をめぐり、特別調査委員会は18日、報告書を公表。日本郵政グループのガバナンス不在が厳しく指摘されており、特に社外取締役によるリスク管理の不徹底、親子上場企業におけるグループガバナンスの困難さなど、他の企業にとっても教訓となる問題点が含まれている。把握すべき情報を把握できていない社外取締役では、危機時に会社を守れない。「取締役・監査役が情報を把握しておらず、また、自ら積極的に把握しようともしなかったことが、本契約の原因」(日本郵便の社外取締役)「違法と認められた件数と、順調に改善しているという情報しか報告されなかった」(かんぽ生命の社外取締役)――。報告書では、社外取締役など外部人材を活用できていない実態が浮き彫りとなっている。

【コメント】記事の中で國廣弁護士も指摘されているように、形式面でどれだけガバナンスをやっている感を出したとしても、実質的に機能しなければ意味がない。日本郵政が東芝の不正会計事件から何も学んでいないことがよくわかる。ただ、こうした企業は日本の大企業には多い。ここ1年間ほど、指名・報酬委員会を新たに設置する企業が急増し、多くの場合委員の構成は社外取締役が中心となっている。ただ、本来社外取締役が委員として担うべき役割を果たしているといいきれる企業はどれだけあるだろうか。複数企業の指名・報酬委員会のアドバイザーを務めている立場からすると、実態はかなり厳しいというのが実情である。


大手初「平成組トップ」誕生か りそな、世代交代探る

【注目ポイント】りそなホールディングスが大手金融機関として、初めて平成入社組の経営トップが誕生することになりそうだ。一時期国有化に至ったりそなホールディングスでは、外部から登用された細谷CEOのもと、「CEOサクセッション・プラン」が導入された。十数人の若手幹部を対象に、社外取締役や人事コンサルタントらの目を通して資質を見極める。そこでは本人の実力はもちろん「チームプレーができるか」「旧行意識はないか」といった点もチェックされ、次世代・次々世代の経営幹部候補者の選抜と育成を行ってきた。このプランで選抜された中には、現在の東CEOも含まれる。東氏が進める現在のCEOサクセッション・プランでは、有力後継候補として、「平成元年=89年入社」の3名が含まれる。他の大手金融機関では、現時点では平成世代のトップ候補は見当たらず、その誕生はかなり先になりそうだ。

【コメント】CEOサクセッション・プランはコーポレートガバナンス上の最重要取組み事項と言ってよいが、今回の記事のように取組み内容が公表されている例はまだ珍しい。海外では、外部登用の際にエグゼクティブサーチファームが関与することも多い為、比較的事例収集が容易である。有名どころではGEの取組み事例が参考になる。


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