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障害者雇用代行ビジネスに関するアンケート

こんにちは。ゼネラルパートナーズです。

今回は、「障害者雇用代行ビジネス(*)に関するアンケート」をお届けします。

厚生労働省は、今年になって障害者雇用代行ビジネスについて調べた結果を公表しました。
調査によると、今年3月末時点で少なくとも延べ1081社以上が利用。障害者6568人以上が働いているとみられます。

障害者雇用代行ビジネスは雇用主に代わって障害者に働く場や仕事を提供するものである一方、法定雇用率を形式上達成するために利用されているとの批判もあるようです。

一方で障害当事者は「障害者雇用代行ビジネス」について、どのようにとらえているでしょうか。その実態を把握するためにアンケート調査を実施いたしました。

今回のアンケート調査は株式会社Mind One様との合同アンケート調査となります。 アンケート結果につきましては、後日、障がい者総合研究所、並びに株式会社Mind One様それぞれのWebサイトにて公表予定です。

(*) 「障害者雇用代行ビジネス」という用語の定義については、労働政策審議会障害者雇用分科会 第128回参考資料にある「障害者の就業場所となる施設・設備(農園。サテライトオフィス等)及び障害者の業務の提供等を行う事業」を基にしました。

対象者: 20~70代の障害者
実施方法:インターネット調査
アンケート期間:2023/5/12~2023/5/21(有効回答者数:174名)

あなたはいわゆる障害者雇用代行ビジネスについて知っていますか?

■全体

■障害種別

■年代別

障害者雇用代行ビジネスについて知っている人は全体では半数以下という結果になりました。
障害種別で見ると、身体障害者では45.5%が「知っている」と答え、精神障害者では51.9%が「知っている」と答えました。
年代別で見ると、「障害者雇用代行ビジネス」について知っていると答えたのが半数以上となる年代は30代、40代、70代という結果になりました。

あなたは障害者雇用代行ビジネスについてどのような印象をお持ちですか?

■全体

■障害種別

■年代別

障害者雇用代行ビジネスについてどういった印象があるか尋ねたところ、全体では悪い印象と答えた方がおよそ29%、いい印象と答えた方は13%と2倍近くの差がありました。

これを障害種別で見たところ、身体障害者では悪い印象と答えた方は約19%、いい印象と答えた方は約17%とその差は2ポイントでした。
一方、精神障害者では、悪い印象と答えた方は約42%、いい印象と答えた方は約6%とその差は36ポイントとなり、精神障害者の間では障害者雇用代行ビジネスの印象が悪いという結果になりました。

年代別で見ると、年代が上がるにつれ「どちらともいえない」の割合が増えています。
悪い印象といい印象の差については、30代でもっとも悪い印象の割合が多く、次いで20代40代となっています。
一方、30代をピークに、悪い印象といい印象の差は縮まり、50代ではいい印象を持つ割合が、悪い印象を持つ割合よりも上回るということになりました。
   悪い印象/いい印象
20代 約50%、 約33%   17ポイント差
30代 約55%、 約6%  49ポイント差
40代 約35%、 約11%  24ポイント差
50代 約16%、 約19%   3ポイント差
60代 約11%、 約6%   5ポイント差

前問で非常にいい印象、良い印象と答えた方に質問します。それはなぜですか?(複数回答可)

いい印象と答えた方の理由で最も多かったのが、「障害者の自立を支援してくれるから」でした。

■その他で挙げられたフリーコメント
企業が欲している人材と障害者のマッチングを双方の詳細な意見を聞いて就活、転職の手伝いをしてくれる。これがなければ企業も知識のない人事部でも採用に負担なく障害者雇用に入れる。これを否定している人は企業が人にお金をかけないことをしらない。企業は簡単な人件費から削減し企業努力は大手大企業でもしないことを学ぶべきでは?(男性 40代 身体障害者手帳 腎臓)
就職の不安がない。(男性 50代 身体障害者手帳 下肢)

前問で悪い印象、非常に悪い印象と答えた方に質問します。それはなぜですか?(複数回答可)

悪い印象と答えた方の理由で最も多かったのが、「障害者の自立を支援してくれないから」でした。

■その他で挙げられたフリーコメント
障害者を社会から切り離すものだから(男性 30代 精神障害者保健福祉手帳 うつ)
労働者を、ただの数字としか見ていないような気がするから(男性 30代 精神障害者保健福祉手帳 うつ)
法定雇用率達成のために障害者をとりあえず雇用している、現場任せ、作業能力に明らかな差があっても時給の差があまりない、障害者が自分より重たい障害者をサポートしており、とても疲れてしまう(女性 50代 精神障害者保健福祉手帳 注意欠陥/多動性障害(ADHD))

障害者雇用代行ビジネスが運営する職場が自宅の最寄りにあったら働きたいと思いますか

障害者雇用代行ビジネスが運営する職場で働きたいか、という質問に関して、働きたいと答えた方は約20%、働きたくないと答えた方は約35%でした。

障害者雇用代行業者の運営する職場で働くことを検討する場合、何が最も重要だと思いますか?(複数回答可)

障害者代行業者の職場で働く上で重視する項目については上から順に
1.仕事内容
2.給与(工賃)
3.勤務地
という順になりました。

総研より

障害者雇用代行ビジネスについては、障害者の就労支援という観点からも、法定雇用率の達成という観点からも、注目されるべき事業であると考えます。しかし、本調査の結果を見ると、障害者の間でもこのビジネスに対する認知度や評価は低く、働きたいと思う人も少ないことがわかります。これは、障害者雇用代行ビジネスが障害者の自立を支援するという本来の目的から外れていることを示唆しています。

障害者雇用代行ビジネスが本当に障害者の就労支援に資するものであるためには、以下の点に留意する必要があります。
・障害者のニーズや能力に応じた仕事内容や働き方を提供すること
・障害者に適正な給与や福利厚生を供与すること
・障害者が働きやすい職場環境やサポート体制を整備すること
・障害者がキャリアアップや転職を目指せるような教育や相談を行うこと
以上のような取り組みが進められれば、障害者雇用代行ビジネスは障害者の就労支援における有効な選択肢の一つとして認められるようになると期待します。
また、雇用主である企業も、障害者雇用代行ビジネスを利用する際には、形式的な雇用率達成ではなく、障害者の就労支援に貢献することを目的として、業者の選定や監督を行うべきでしょう。

【属性】

■性別

■年代

■障害種別

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■プロフィール
障がい者総合研究所 所長:戸田 重央

2015年より聴覚障害専門の就労移行支援事業所「いそひと(現atGPジョブトレ大手町聴覚障害コース)※」を開所、初代施設長に。 2018年より障がい者総合研究所所長に就任。新しい障害者雇用・就労の在り方について実践的な研究や情報発信に努めている。 その知見が認められ、国会の参考人招致、新聞へのコメント、最近ではNHKでオリパラ調査で取材を受ける。 聴覚障害関連で雑誌への寄稿、講演会への登壇も多数。※聴覚障害者専門の就労移行支援事業所「atGPジョブトレ大手町聴覚障害コース」



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