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企業の社会的責任

内部統制は、2000年代初頭の企業の不祥事の多発を受けて制度化されたため、不祥事を防止するための仕組みと捉えられていることが多いですが、内部統制の4つの目的:
①業務の有効性と効率性
②財務報告の信頼性
③関連法規の遵守
④資産の保全
からすれば、それらは目的の一部であり、全体としては企業が理念やビジョンの達成に向けて効果的に業務を進めるための仕組みを作ることであると言えます。

「内部統制評価基準 勝ち抜く会社の800のポイント」を活用した内部統制の仕組みづくりでは、内部統制に関わる組織経営のプロセスを8つの側面(カテゴリ)に分けて、質問を通じて具体的に仕組みに落とし込んでいきます。

カテゴリ1.顧客・社会との関係維持について見ています。

最初の質問は、(1)企業の社会的責任の理解・遂行です。

1.(1)企業の社会的責任の理解・遂行
企業の社会的責任(法令順守、環境保護、社会貢献、利害関係者への利益配分等)の重要性についての理解は、経営者から従業員に至るまで十分に浸透していますか。

 企業の社会的責任(CSR)という概念が受け入れられるようになり、組織は、法律や規制の要求事項への対応も含め、製品・サービスや事業運営が与える社会の不利益に対して、積極的に取り組むことが求められています。
 また、現在に限らず、将来の製品・サービスおよび事業運営に関して、社会の懸念事項を予測し、備えることも求められています。
 社会への悪影響や懸念に積極的に備えるには、例えば、天然資源の保護、廃棄や処分まで含めたサプライチェーンの管理プロセス、などが含まれます。
 最近は、人権問題にも注目が集まるようになりました。
 これらを含むSDGsという17の開発目標についても、意識することが求められています。

 環境保全、人権への配慮、反社会的勢力の排除、情報漏洩の防止等の活動などに組織内部で取り組むことはもちろん、サプライチェーン全体での取り組みが求められています。

 組織は、社会的関心事に対して、それらが法律や規制といった形で現在規定されているかどうかに拘わらず、常に敏感でなければなりません。
 大企業だけではなく、中小企業にとっても同様です。
 模範的組織は、法的および倫理的行動の分野でも他より秀でています。

 質問にあるとおり、社会貢献も、企業の社会的責任の一部です。
 社会貢献は、コンプライアンス志向を超えることを意味します。
 
 環境面、社会的システム、経済システムに分けて、その健全性にどのように貢献しているかと考えることもできます。
 環境面、社会システム及び経済システムの健全性に貢献する機会や、主要な地域社会を支援する機会を有することは、全ての規模の組織にとって可能です。貢献のレベルや幅は、組織の規模と貢献能力に依存します。

 組織として取り組むことに加えて、社員のボランティア活動に対して支援することもまた、社会貢献の一部として考えることができます。

 社会貢献をうまく成し遂げるには、組織が適切な評価尺度・指標を使用し、リーダーがそれらの結果に対する責任をもつことが求められます。

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 内部統制評価基準改訂版「内部統制評価基準 勝ち抜く会社の800のポイント」については、NPO法人内部統制評価機構のウェブサイトをご確認ください。

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