グラレコの効果とは?
グラフィック・レコーディングとは何なのか?
グラレコ界隈ではよく話題にのぼりますが、僕自身は言葉の定義づけにはあまり興味がないので、「効果」という側面から考えを書いてみました。
そんな考えもあるんだね、ぐらいのスタンスで読んでいただけると幸いです。
可視化の効果
よく言われる効果が「空中戦を地上戦に」というものです。
言いっぱなしにするのではなく、紙の上にプロセスを残し俯瞰して見ることで関係性などの気づきを得るなどの効果があります。また、ふりかえりに使ったり、その場にいない人にも伝えやすいという効果もあります。
しかし、この効果だけであれば「ファシリテーション・グラフィック」との違いはなく、スクライビング勢から「わざわざ絵を描く必要があるのか?」と言われるのも頷けます。
図解の効果
次に、図を用いることで複雑な情報をわかりやすく伝える効果があります。アイコンにすることで視認性を高めたり、矢印やフレームを使って関係性を理解しやすくします。
これも「ファシリテーション・グラフィック」ではすでに用いられているスキルです。
傾聴の効果
絵があることの嬉しさを伝えるときに、この効果について話をします。
「傾聴」とは、カウンセリングやコーチングにおけるコミュニケーションスキルの一つです。人の話をただ聞くのではなく、注意を払って、より深く、丁寧に耳を傾けること。自分の訊きたいことを訊くのではなく、相手が話したいこと、伝えたいことを、受容的・共感的な態度で真摯に“聴く”行為や技法を指します。それによって相手への理解を深めると同時に、相手も自分自身に対する理解を深め、納得のいく判断や結論に到達できるようサポートするのが傾聴のねらいです。
書き取る行為が相手の言葉を受け止めていることにつながりますし、そこに表情のある絵を使い感情を表現することで共感につながると思っています。
対話やストーリー性のある講演では効果的ですが、それ以外の場で「まんじゅう人間」を多用すると理解の妨げになり逆効果となる場合もあります。
視認性の効果
文字の大きさを変えたり、色を使い重要部分を際立たせることで視認性を高める効果があります。必ずしも絵である必要はありませんが、絵で表現するとさらに視線を集めやすくなります。
ポイントをおさえ、かつデザイン性を持たせて配置をする必要があるので、描き手による差が大きく出る部分だと思います。
比喩の効果
そのものを表現する図解とは異なり、何か別の表現に置き換えることで共通認識を持たせやすくする効果があります。
言葉であれば「猫に小判」「寝耳に水」などのことわざがイメージしやすいと思います。また絵であれば、成長していく過程を「登山」「階段」「木」などを用いた表現がよく使われています。
的確なメタファーが使えると、議論を一気に加速させることも可能です。
パフォーマンスの効果
リアルタイムに発言が絵で表現されていく様子は驚きや楽しさがあり、注目を集める効果があります。現状では、この効果を期待してグラフィック・レコーディングを導入されるケースが多いでしょう。
注目を集めやすいため、内容が伴っていなかったり、発信の方法が悪い場合には、誤解を生む原因にもなります。
加えて、絵の上手さ、デザイン性の高さ、スピードなどの影響も大きい要素と言えます。
グラフィック・レコーディングのこれから
グラフィック・レコーディングとは本来、目的に応じてこれらの効果に強弱をつけ、かけあわせたものだと僕は思っています。描き方も使い方も多種多様ですし、ここに挙げていない効果もあると思います。
また、一つ一つの効果だけを見れば、他にも優れた手法があり、スキルを持った方々がいます。かけあわせの良さを発揮できなければ、それらの手法の劣化版にしかなりません。言葉の定義づけをすることで、そのかけあわせの良さをなくしてしまっているように感じます。
少しの差に線を引き名前をつけ分類するよりも、もっと違った描き方、使い方を試して可能性を拡げていきたい、そう思うのです。
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