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心の中で旅をする

もし幸運にも、若者の頃、パリで暮らすことができたなら、その後の人生をどこですごそうとも、パリはついてくる。パリは移動祝祭日だからだ。

Ernest Hemingway『移動祝祭日』

この一文に触れたのは2度目だ。
1度目はどなたかが書いたnote。そして2度目は昨日アップした記事の写真にあるフランス語学習書の1ページ目だった。こんなところで再び目にすることになったヘミングウェイの「移動祝祭日」の一節。私はまだ読んでいないので、これは読めという啓示かなと受け取った。

残念ながら、私はもう若くはないし、パリに行く可能性は限りなく低い。
パリどころか、近県でさえ訪ねることは難しい。
行けるものなら、ヨーロッパの各都市を巡ってみたいと思うが、それは来世の楽しみにとっておこう。

友人が私にしばしば言う。

「もし、あなたが車椅子でなく健常な身体だったら、すぐにどこか外国へ行っちゃって日本にはいないよね」

あたらずとも遠からずだと思う。
日本的なものは好きだし、食べ物は世界一美味しいと思うが、私には日本はちょっと窮屈で、息苦しさを感じると思うことがしばしばある。
子供の頃から、何となく日本は私が心から居心地の良さを感じる場所ではないという感覚があるのだ。

それは子供の頃から外国に憧れ、言葉を学び、異なる文化を持つ人々と積極的に関わることをしてきた私だから感じることかもしれないし、障害者としてこの国で生きてきて感じたことかもしれない。
また、しかし、おそらく他の国に生まれていたとしても同じことを言っていたに違いない。


だとしたら、私は永遠に放浪の民なのだ。
物理的に移動する代わりに、言葉や映画や写真や知人・友人を通して、私はいつも心の中で世界各地を旅をしている放浪者なのだ。


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