オタクと話すのは楽しい
「オタク」という言葉が世に出てきたのは1980年代だそうである…と書いたところで、なんと1950年代くらいから若い人たちの間では使われ始めたとwikiに書いてあって驚いた。元々「おたく(御宅)」、奥さん同士がよく「お宅のお庭、いつもきれいですね」などのように「あなたの家」を指す言葉だったから、祖母や母も近所や養護学校の保護者などに対してよく使っていた。祖父や父はあまり言わなかったように思う。そして私も使うことはない。
痛ましい事件があってからしばらくは、オタクのイメージは特定の趣味を持ち、暗くコミュニケーションがしにくい人たちを指すようなイメージになったが、ごく最近ではファンやマニアや沼と同じように使われるようになったように思う。
さて、そのオタクである。
先日、皇居内で収蔵品を見てから銀座に移動し、松屋銀座のNoseShopに行った。購入したかったものがあり、ほぼ購入決定はしていたが、ついでだからと、あれもこれも嗅がせていただき、楽しかった。NoseShopの店員はどの店舗でも知識が豊富で、あれだけの商品点数から客の要望に応える数本を的確にピックアップしてくるし、中にはどこそこの香水のコレが好きというと、それならこちらもお好きでしょうと言って良い路線のものをセレクトしてくる。
NoseShopでの買い物が終わり、そういえばすぐそばにビュリーがあったなと、フラフラ寄ってみる。
初めてなので代表的な香りを教えてくださいというところから、ああ、こういうのが好き、こういうのは苦手、と会話を繋いでいくうちに、担当してくれる店員の目がキラキラとしてくる。そして私は予定外に購入する。
NoseShopで働く人もビュリーで働く人も、香りや自社製品が好きなオタクなのだ。ゲランやシャネルやディオールにしても、そこで働く人たちはそのブランドを愛しており、またそういう人たちは接客をしていくうちに目が輝いてくるのがわかる。
私はそういうオタクたちと話すのが好きである。
香水やコスメでなくても良い。どんな分野でも好きなことを3時間でも5時間でも話せるくらいのオタクの話は面白い。
好きなものを持っているというだけで、人はこんなにも輝けるのだと思う。
私自身は、多少コレクター癖があるのと、気になったものは集中して知ろうとするが、オタクを自負できるほどではない。
ただ、ヘルパーさんからは度々「好きなもの・ことがあって良いなぁ」と言われる。
いや、私はオタクではない!
3時間くらいは語れるけど、5時間は無理だ。
うむ…無理だと思う。
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