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香水をめぐるデザイン


エジプトのお土産、香水瓶

エジプトに憧れた要因は、古代エジプトの文化や高度に発達した文化に興味を持った事もありますが、旅の思い出に買ったのは香水瓶!10個くらい買ったかな?とても繊細なガラス細工で、1つ1つ異なる手書きの絵柄。いつか自分でも作れるようになりたくて、ガラス工房に通った時期もありました。香水自体には、あまり知識はないのですが、ブランディングの最終段階は香り作りと教えられてきました。私の中で、香水は文化の最終地点というイメージです。

香水をめぐるデザインです

デザインには、大まかにいうと視覚に訴えるデザインだけではなく、設計とか計画、企画など、ザックリとした意味で何でも含まれていますね。ここ最近はデザイン思考なんて言葉が先行していたりします。
香水のデザインというと、香りそのものの調香やネーミング、パッケージや売り方まで含まれるのかな?香水というプロダクトのブランディングまで、何でも「デザイン」と言えたりします。
香りについて、あまり公に語るのは憚られる気します。その理由は、「香り」は嗜好性が高く、その響きが、かなりプライベートな部分と密接な関係にあると感じるからです。なぜでしょう?靴や洋服、絵画や映画の好みは公言しても何ら恥ずかしくありません。しかし、例えば電車の駅やバス停で聞こえる、知らない人のおしゃべりで「〇〇の香水が。。」なんて言葉を聞くと、ちょっとドキリとしてしまいます。なぜなら、香りは、その人の記憶と密接につながっているからだと思います。DUOのフレーズでも、ボブはすれ違った女性の香りで元カノを思い出しましたよね。人間の動物的な部分をくすぐる不思議な感覚です。香りをデザインするって、記憶に直接働きかける部分のデザインになるんですね。

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香りにはどんな種類がある?

昔住んでいた近所に、気味図書館(SCENT LIBRARY)という名の、香りのセレクトショップがありました。行くたびに結構品揃えが変わる事と、店員さんが子連れにも優しくしてくれるので、散歩がてら度々遊びに行きました。デパートのいわゆる香水売り場と異なるのは、有名ブランドだけではない、様々な香りブランドをラインナップしているところです。世界の都市をテーマにしているのは普通に楽しいのですが、ちょっと変わったものに、革やタバコ、土、雨の香りなどがあります。革靴の香りなんて初めて見ました。でも、レザー系の香水はいろんなブランドから出ているんですね。革靴の香りが無性に好きという話は時々聞きますが、世界中にいろんな嗜好の方がいらっしゃいますね。雨の香りは、ノスタルジーを感じます。小学生の時の校庭や水溜り、厚い雲からのぞく光の筋とか。皆さんも、それぞれ異なる情景が浮かんでくると思います。香りって、かなり力のあるメッセージが伝わるツールです。

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香りの定説と実際のところ

香りに詳しくない人でも、ラベンダーはリラックス。グレープフルーツの香りでダイエット。なんて話を聞いた人は多いと思います。だって、アロマショップや身近なところではドラッグストアでも「ラベンダーの香りで赤ちゃんグッスリ」なんてシレっと書いてありますから。
でも、本当でしょうか?当時も、どこを探しても納得のいくデータや文献が見当たらないのです。まるで疑似科学。私も育児中は、なかなか寝ない赤ちゃんに悩んで家中にラベンダーものを使ってましたが、1全く効果は感じなかったんです。それなのに、成長してしまった、かつての赤ちゃんであるムスメは、ラベンダーの香りがあるとすぐ眠れる!と言っています。行動の刷り込みでしょうか。彼女はラベンダー=安心・やすらぎ を感じている様子。
定説はロマンがあるので物語としては好きですが、嗅覚による心理の変化について、信頼のおける実験データを知りたいです。ご存知の方、おしえてください。

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やっぱりストーリーにはやられてしまう

物(いわゆるプロダクツ)は、ブランディングとともにネーミングされて命が動き出す物ですが、特に香水のネーミングは、いくつものストーリーが込められています。形のないものだからこそストーリーも広がりを見せるのかもしれません。その中でも資生堂のセルジュ・ルタンス香水シリーズは、特に好きなネーミングとストーリーです。それに添えられた詩もオペラっぽくてワクワクします。あの詩を本にまとめた香水の写真集になっていたら、素敵でしょうね。大抵の人は、あの香水コーナーに寄ってしまうと、1つ1つ愛でるように、そして真剣な眼差しになると思います。

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自由になりたい

昔、仕事を辞めて家族で世界一周の旅に出ました。
当然、その間はほとんどがホテルなど公共の施設で過ごすのですが、少しモダンなホテルでは、オリジナルの香りが開発されていました。「ブランディングの最終地点は香りか。。」と、その度に思い出されました。ロビーで微に漂う香りは、疲れた心をリフレッシュさせてくれます。それでも、旅に出て3ヶ月を過ぎた頃からだんだんと寂しさが募ってきました。一人きりではないのに。
そんな時、ショップで出会ったのが旅行カバンのブランドであるグローブトロッターから発売されている缶入りのキャンドルです。グレープフルーツと微かにバニラも香る静かな香りでした。即買いでしたが、香りだけに惚れたのではなく、ポップが「For Traveler」だったから。これさえあれば、どこでも自分の場が作れますよ。知らない場所でもあなたのテリトリーになりますよ。と語りかけてくれるような気持ちになったのです。動物や赤ちゃんも、まずは匂いで安全を確認しますよね。原始的な感覚が強く出るのが嗅覚です。旅をして、不安がこみ上げてきても「いつもの香り」があれば、良い相棒になってくれるんです。
自由になりたくて旅に出るのに、いつもの「日常」が無くなると不安になるなんて不思議ですね。
旅が終わった今。私の「For Traveler」は台所に置かれ、魚料理のあとの臭い消しとして活躍してくれます。

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